「剣崎沖は型がよくて数も出ていたけど、今は城ケ島沖がメインかな。アタリが小さくバラシも多くて難しいけど、ヤリイカはまずまずいそうだね」と声を弾ませたのは三浦半島長井港・はら丸の泊幸一船長。
シーズン初期ゆえ胴長15cm前後の小型ヤリイカが中心ながら、9月中旬の取材日はトップ30杯以上を確保。
アタリは釣果の倍はあって、身切れバラシが頻発したものの、今後大いに期待が持てる好感触を得た。
小イカ主体の初期に釣果アップを狙う秘訣は、最初の微かなアタリを見逃さないようにして、追い乗りは狙わずすみやかに巻き上げること。
本編では、こうした初期ならではの釣り方のコツや仕掛けの工夫を紹介したい。
目下の釣り場は城ケ島~剣崎沖の水深100~150cm前後がメイン
出典:
城ケ島~剣崎沖を中心に好調な滑り出し
相模湾~東京湾口にかけてのヤリイカ釣りが開幕した。
城ケ島~剣崎沖をメインに狙い、すでにトップ50杯オーバーの釣果も出ており景気のよいスタートになっている。
「まだムラがあるけどイカはいそうだね。小型が多くアタリが小さいのでちょっと難しいけど、どのポイントでも釣れ始めたので楽しみです」と三浦半島長井港・はら丸の泊幸一船長。
確かに現在釣れているヤリイカのサイズは小~中型が多いけれど、小さくても身が厚くて超美味なのが最大の魅力。
年中イカを追い求めているベテランたちもこの時期は「刺身が最高」という人が多い。
そんなおいしいヤリイカを釣るためには、シーズン初期の釣り方を理解する必要がある。
水深は100~150mと比較的浅い。
ただし船長が言うように「アタリが小さい」。
小型でも微かなアタリが出るのだが、これを逃すと、「あれ?乗ったかな?乗ってるような乗ってないような」と、ベテランでさえ判断が難しくなってしまうことがある。
まずはそんな状況だということを理解したうえで挑もう。
ただ、後述するが乗りがいいときはアタリも大きくなる。
微かなアタリを見極められるようになれば、活性が上がったとき簡単に乗せられるようになる。
竿は微細なアタリを表現してくれる高感度穂先を備えたヤリイカ専用竿がおすすめ。
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リールは道糸PE3~4号を300m以上巻いた軽量コンパクトボディの小型電動がおすすめ。
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船長はブランコ仕掛けを推奨サバが多くても何とかなる !?
タックルは、竿は全長1.7m前後、先調子のヤリイカ専用竿を使用する。
小さなアタリも鮮明に出る、できるだけ穂先感度の優れたものを使用したい。
リールは中小型の電動で、道糸はPE3~4号。
現在はまとまってスルメイカが釣れる状況ではないので、通常のヤリイカタックルのみでOK。
仕掛けはプラヅノ11cm5~8本のブランコ仕掛けを使用する。
プラヅノはブルー、ピンク、ケイムラをメインに赤白の糸巻きプラヅノやウキスッテを1~2本交ぜておく。
中オモリ、小型のヨリ取りリングなどを使用する人は多いが、これらを使うとアタリは出にくくなる。
使用してもいいが、アタリが分かりにくかったら外したほうがいいだろう。
9月中旬の時点では、海底付近にサバが回遊し度たびプラヅノにヒットしてきた。
ただし、サバが多いからといって直結仕掛けにするのはあまりおすすめできないと船長は言う。
もし、あなたがこれからガチでイカ釣り師を目指して通うならゼロから始めるのもいいが、たまに行くくらいならばブランコ仕掛けで通したほうが確実に釣果を得ることができる。
この時期は小型のヤリイカが多くブランコ仕掛けでもバレるのに、直結仕掛けだと難易度が何倍もアップする。
とくに今のヤリイカは海底付近で乗ることが多く、そうなると下のほうのプラヅノに乗り、取り込みでは何手もたぐらなくてはならない。
イカ自体の重量が軽いので、ほんのわずかな糸の緩みや衝撃であっけなくバレてしまうのだ。
さらに高水温のためか、釣り上げたヤリイカは流水のオケの中でもすぐに絶命してしまうことが多い。
つまり巻き上げ中にもかなり弱っているということが考えられる。
イカにある程度の重量があればそれで糸を張ってくれてバラシを防いでくれるが、小型で元気がなく、さらに下のほうに掛かっているのではベテランでも取り込むのは容易ではない。
ではサバが多いときはどうするか?
①プラヅノの数を減らす
プラヅノが多いと抵抗が増し落下も遅くなるうえに、アピール度が高まるのでサバを寄せてしまう。
ツノ数を5本程度に少なくしてみる。
②予備のプラヅノを用意
サバが掛かったら全力で巻き上げて回収するが、ハリス切れやプラヅノを飲み込まれて仕掛けがダメになることも多い。
そんなときのために、あらかじめよく使うプラヅノに10cmのハリスを結んでいくといい。
トラブルがあったら、元のハリスを切り新しいプラヅノを結び直す。
「今のサバは海底付近に多く、途中で仕掛けを止めるようなことはあまりないから、サバが掛かっても我慢して釣ってみてね」と泊船長。
船長は自らも操船しながら竿を出し、直結仕掛けでバンバン釣っている。
本気でチャレンジしたい人は船長に釣り方を聞いてみよう。
仕掛けの収納はブランコも直結も掛け枠が便利。
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(左上)予備のプラヅノやウキスッテに12cmほど枝スを結んでおくと便利。(左下)ヨリ取りリングを付けてもいいが、アタリが分からないときは外してしまおう。(真ん中)渋いときでもよく乗る赤白の糸巻きプラヅノやウキスッテはヤリイカ仕掛けのマストアイテム。(右)幹糸にチチワを作って枝スを結ぶ仕様は素早いプラヅノ交換が可能。
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(左)目下のサバは底付近でプラヅノにアタックしてくるから予備の仕掛けは多めに持っていこう。(右)サバが釣れたらカンナを確認。カンナが開いていたら元に戻すか、新しいツノに交換しよう。
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激しい動きを控え微かなアタリを見極めよう
泊船長は何度も何度も「アタリが小さい」「バレる」と繰り返す。
ではどうやって対処したらよいのか?
【激しい動きは控える】
小さいアタリを見極めるには、まず激しい動きは控えたい。
同時にバラシも軽減できる。
例えば水深100mとこの釣りでは浅い場所の場合、激しく大きなシャクリを入れると仕掛けの
動きも大きくなる。
強い動きをすることで微細な触りを見逃す可能性が高くなる。
さらにせっかく抱きついてきたイカがいたのにそこから激しいシャクリを入れたがために足切れを起こしてバラすことも多くなってしまう。
【誘い下げと聞き上げで変化を見る】
仕掛けを投入してオモリが着底したら、ゆっくり糸フケを取りながら竿先が震えたり上下していないか、しっかりと竿先を見ておく。
ここで変化、つまりアタリがあったと思ったらそのままゆっくり竿を持ち上げてすぐにリールを巻き始める。
触り=アタリはフワッと竿先が軽く浮き上がる、ツンと竿先が下がる、上下に竿先が震える、など。
触りがなければ、竿先を水平より少し下げた状態からゆっくりと聞き上げていく。
ここでも竿先に変化がないか注視する。
何か変化があればそのままゆっくり竿を持ち上げて掛ける。
ここで強く上げてしまうとゲソだけ付いて上がってくることになる。
触りがなければ頭上まで聞き上げていき、次は最初の位置(水平より少し下げた状態)までストンと落とし、プラヅノが上から落ちていく誘いを演出する。
この位置で触りがないか見て、なければ再びゆっくりと聞き上げる。
この上下の誘いの繰り返しで微細なアタリをより分かりやすくしてやる。
現在はほとんど海底付近で乗るので、この誘いを数回繰り返したら20~30m巻き上げてから落とす〝巻き落とし〟をして、また同じ誘いをする。
「もしかしてイカがいるのかな?」と思ったときは、10mほど電動の低速で巻いてみて、竿先の変化を見てみよう。
ちなみに船長の直結仕掛けの釣り方は「低速で巻くだけ」。
それで触りを見ている。
なお海底が砂泥地のことがあるが、この場合オモリが抜けるときにアタリと勘違いすることがあるので注意。
【追い乗りは狙わず巻き上げる】
バレやすいというのは、イカがしっかりと抱きついていないことが多いから。
もし口の周りの硬い所にカンナが掛かっていたらそう簡単にはバレない。
低活性のイカが、ちょっと足(腕)を出したら掛かっちゃった、という感じだとバレやすい。
「バラシが多いときは乗ったと思ったらそのまま電動を入れて巻いたほうがいいよ。待ってても外れちゃうよ」ヤリイカの足は短く細い。
どうせバレるならと少し速めに電動で巻くのもありだが、今の時期は中速で巻いたほうが無難。
アタリを感じて合わせたら、重みがなくともまずは巻き上げてみよう。
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高活性時は強く大きい誘いもOK追い乗りも狙ってみよう!
今まで解説したのは低活性時の比較的難度の高い釣り方だが、活性が高くなればすべてが容易になる。
まず、アタリがハッキリ大きく出る、巻き上げ中もよく暴れるなど、目に見えて分かりやすくなる。
こうなったら、誘いを大きく強めにしてもOK。
動くものに反応してくるときは、プラヅノをしっかりと抱いてアタリも大きく出る。
もちろんバラシも少なくなる。
こういったサインを見つけたら、すぐに巻かないで追い乗りを狙ってみよう。
まずは10mくらい重みを感じながらゆっくり手で巻き、それから電動に。
活性が高く多点掛けが見込めるときは、乗った場所でテンションをかけたまま竿をゆっくり上下して誘いをかけて追加で乗せていく。
こんなときはバラシも減って一気に数をのばすことができる。
活性が高いときは多点掛けのチャンス!積極的に追い乗りを狙らおう。
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沖イカ釣りは仕掛けを絡ませないことが重要。プラヅノを1本ずつ投入器に収めながら取り込もう。
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