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[E2F(第6回)]茨城県日立沖のスロジギ

隔週刊つり情報編集部

ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」。

第6回は茨城県日立沖のスローピッチジャークジギング(以下スロジギ)。

スロジギといえばアカムツなどを狙う中深海など各地に釣り場はあるが、夏から秋にかけて面白いのが日立沖。

釣れるのはヒラメやイシナギ、イナダ、ワラサ、タチウオ、クロソイ、マゾイ、オキメバルなど多彩。

水深が比較的浅く、使うジグも120~150gと扱いやすいため入門にも最適だ。

P r o fi l e ◆よしおか すすむ

1982年生まれ。

ヨッシーの愛称で親しまれている。

一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーを得意とする。

ジャッカルソルトプロスタッフ、シーガーインストラクター。

8月下旬に釣行したのは茨城県日立会瀬港の第二海神丸。

森敬船長が船を向けたのは日立沖水深40~50m前後の魚礁や根周り。

1投目でヨッシーが5.5kgのヒラメを釣り上げると、続いて青物が回遊してきてイナダが次つぎにヒット。

日が高くなってからはさらに勢いを増し、ヒラメに加え、ワラサ、タチウオ、クロソイなども釣れ上がり、文句なしの釣れっぷり。

ヒラメは全員安打を達成し、船上は盛り上がった。

日立沖の豊かな海でスロジギを堪能したヨッシー。

詳しくはこのあと!

Enjoy Every Fishing Tackle guide

日立沖のスロジギタックル

タックルは全長2m前後のスロジギ専用ロッドと、リールは巻き上げ力の強いジギング用両軸リールの組み合わせ。

道糸は着底やアタリが分かりやすい伸びが少なく感度のいいPEラインがおすすめ。

薄曇りから雨、そして晴れ。

安定して好天が続くはずの真夏にしては、目まぐるしく天気が変わる8月22日だった。

第二海神丸は、突き抜けるような青空の下、沖揚がりを迎えて今まさに港に戻るところだ。

その船上で、珍しくヨッシーが爆睡している。

ヨッシーこと吉岡進さんはジャッカルのプロスタッフであり、言うまでもなく当企画「エンジョイ・エブリー・フィッシング(E2F)」の主役である。

主役の爆睡。

釣りを終え、港への帰途とはいえ、あまり見ない光景である。

プロ意識が高いヨッシーが、船上で眠りこけることは(ほぼ)ないのだ。

しかし茨城県日立会瀬港の第二海神丸に揺られるヨッシーの寝顔は、極めて満足気で、その眠りはあまりにも深かった。

いったい、何が││?

スロジギの釣り方

シャクリ幅50cmで1回シャクるごとにハンドルを4分の1~2分の1回転と小刻みに巻き、毎回ジグを持ち上げてフォールさせる。

青物も釣れるので底から10m上まで誘ったら底を取り直す。

明暗を分けたロッド選び 使用ジグとのバランスが大事

ヒラメ狙いのスローピッチジャークジギング(以下スロジギ)を終えた第二海神丸が舳先を日立会瀬漁港に向け、ヨッシーが深い眠りに落ちたのは、沖揚がりの正午ちょうどだった。

時を戻そう。

その1時間前の11時--。

E2F取材班のトモキこと板倉友基さんが、「やった!」と大きな声をあげた。

トモキは釣りの名手だが、この日はなぜか不調だった。

本命のヒラメがなかなか釣れない。

ヒラメ狙いのスロジギは、決して難しい釣りではない。

少なくとも、手練れのトモキが苦戦するはずはないのだ。

スロジギは、いわゆる青物ジギングのようにハードにジャーク(竿をシャクること)させる必要はない。

アクションは基本的にスロー。

体に優しく、イージーな部類に入る釣りだ。

とは言っても、注意すべき点はいくつかある。

なかでも重要なのは、竿だ。

トモキは今回、フルソリッドのかなり軟らかい竿と、スロジギ用のやや硬めの竿の2本を持ち込んでいた。

一般的にスロジギは専用竿を使う。

シャクったとき、粘っこくジワッとジグを持ち上げるような竿だ。

これならジグが必要以上に飛びすぎない。

ヒラメのように泳ぎが得意でない魚には、食い気を誘えるうえにちゃんと追いつくという、

ちょうどいい動きになる。

一方、硬い竿だとメリハリが付きすぎ、ジグが海中で横っ飛びしてしまう。

するとヒラメが追いつけないことになる。

どれぐらいジグを飛ばせばいいかは、魚の活性や海況によるところが大きく、正解はない。

釣りをしながら、答えを探し求める。

これがスロジギのだいご味である。

そしてジグの動きは、竿の調子によるところが大きい。

トモキが持ち込んだ竿は、2本ともなかなか難しいものだった。

フルソリッドは軟らかすぎて十分にジグを飛ばせず、スロジギ用はやや硬く、ジグが飛びすぎた。

「最後のほうはあまりジグが動かないようにシャクリ幅を控えめにしたんです。それでやっとヒラメが釣れました!」

正解を突き止めたときには、釣り開始から実に5時間半が経過していた。

まさに値千金のヒラメ。

スロジギの奥深さと面白さ、そして怖さを改めて痛感したトモキなのだった。

釣行の写真

反応がなければジグを交換する。重くしてフォール速度を上げてみたり、カラーを替えたりと色いろ試してみよう

釣行の写真

底上5mで食ってきた

着底したらスローにシャクリ底から10m上まで探る

スロジギを妙に得意としているのが、イチロウこと鹿島一郎さんである。

もともと本誌にはイソメマンとして登場し、何釣りにおいてもむやみやたらとアオイソメを使うことで知られた彼だが、今やすっかりルアーマンである。

なかでもスロジギにおいては、毎回のように目覚ましい釣果を上げている。

「うーん、得意って意識はないけど、なぜか釣れましたね~。なんでかな~?」と本人は首をかしげる。

ここで、スロジギをヨッシーに解説してもらおう。

「第二海神丸が狙うポイントは水深40~50m前後。潮はそれほど速くない海域だから、ジグの重さは120~150gでいいと思う。ジグを落として着底したら、すぐにリールを数回巻いて底を切り、竿先をシャクリ上げて止める。竿の反発でジグが持ち上がってから、ピッと竿先が止まるはずだ。その瞬間、ジグは横を向いているんだ。これが食わせの間になるんだ。そして竿先を下げながら、リールのハンドルを4分の1~2分の1回転させる。また竿先をシャクリ上げて、竿先が止まる。食わせの間ができる。竿先を下げながらリーリング。これの繰り返しだ」

簡単に言えば、竿先を上下させながらリールを巻くだけだ。

竿先を下げている間は、ジグがフォールしている。

ヒラヒラとした落下が魚の食い気を誘う。

竿先を上げ、しなりがピッと止まったときジグが横を向く。

その瞬間、魚がジグに襲いかかるのだ。

イチロウは、これを淡々と繰り返し続けた。

これがどうも功を奏しているようだ。

「ほぼ同じことを繰り返すだけの釣りなので、逆に集中できるんですよ」とイチロウ。

「ほかの釣りだと、結構色んなことを試したくなっちゃって、結局何がなんだか分からなくなりがちなんです。でもスロジギは、いい意味でやれることの幅が少ない。その中での工夫、ということになるから、集中力が途切れないんだと思います」

イチロウが使用したジグは、バンブルズジグスロー。

メインカラーは、確信を持ってセクシーブルピンを選んでいる。

実はイチロウ、5日前に下見のため第二海神丸に乗船している。

そのときはかなりの難コンディションで、沖揚がり寸前まで丸ボウズという苦境だった。

色いろとアクションを変えても、海からは返事がない。

最後の最後に「ジグの色でも替えてみるか」とセクシーブルピンにしたところ、いきなりヒラメが釣れたそうだ。

まさに奇跡の1枚。

この成功体験が、8月22日のイチロウのルアーチョイスに確信をもたらしている。

あまり工夫の幅を広げすぎない。

自信を持ってセクシーブルピンを使い、迷わない。

そして、集中し切る。

5日前のプラクティスは、誠に有効だった。

森船長は、いつもどおりに魚礁を狙いながら船を流す。

魚がいる場所にいいタイミングでジグが落ちればアタリが出るが、この日は割と散発的で、そうそう続かない。

そんな中、釣り開始から沖揚がりまで、イチロウはコンスタントに魚を釣り続けた。

本命のヒラメはもちろんのこと、ナイスサイズのクロソイ、タチウオ、オキメバル、イナダと豪華な五目を達成してみせたのである。

「そういえば僕、今回は座ることなく、ずっと立ったまま釣りしてました(笑)」

釣行の写真

良型のクロソイも上がった

釣行の写真

プラクティスのおかげで良型ヒラメを筆頭にタチウオ、 クロソイ、オキメバル、イナダを釣り上げ五目達成

静かな船上にドラグ音が響く 大ビラメらしきがヒット !?

ライターのタカハシゴーは、永遠の釣り初心者である。

記憶力が悪い彼は、前回の釣りのことを覚えていない。

だから、毎度ゼロスタート。

つまり、永遠の初心者なのである。

だが一方、釣りには「ビギナーズラック」という言葉がある。

初心者がワケも分からないまま魚を釣ってしまうことだ。

タカハシゴーはそのパターンが多い。

スロジギは3回目だが、今回ももちろんリセットされており、相変わらずの初心者ぶりの彼である。

8時15分、「あっ」とタカハシゴーが声をあげた。

スロジギロッドがブチ曲がっている。

重おもしい引き。

ヒラメだ。

しかも、デカイ。

まさにビギナーズラックである。

ドラグ音が鳴り、PEラインが引き出される。

リールを巻いても糸が巻き取れない。

焦る。

どうしたらいいか分からない彼がスプールに親指をかけ、出ていくラインを止めようとした瞬間、バツンと音を立ててリーダーが切れ、(推定)大ビラメはゆったりと日立沖の海底へと戻っていった……。

「あ~あ……」という森船長の嘆息が響く。

茫然とするタカハシゴー。

ヨッシーが、そんな彼に優しくアドバイスする。

「スプールを止めた瞬間に、全部の力がラインにかかってしまった。いくら5号のリーダーでも耐えられないよ。ドラグ設定は適切だったと思う。ほどよくラインが出てたから。だけど慌てちゃいけない。とにかくリールを巻く。いくら巻いても、ラインは巻き取れないよね。空回りしてるだけみたいに感じると思う。でも、それでいいんだ。とにかくリールを巻き続ける。巻き続けてさえいれば、魚に常にプレッシャーをかけられるからね。ヒラメは根に潜るタイプの魚じゃないし、とにかくリールを巻いていれば、やがて浮いてくるはずだ」

ビギナーズラックで(推定)大ビラメを掛け、「逃がした魚は大きい」を思い知る。

「大物、巻く、大物、巻く」と強く念じるタカハシゴーであった……が、次回はどうせキレイさっぱり忘れていることだろう。

さて、いよいよヨッシーである。

日立会瀬港が近づいてきたが、まだ気持ちよさそうに寝ているヨッシーである。

釣行の写真

ビッグチャンスを逃してしまったタカハシゴー

今回はラスト1流しではなく開始1投目で本命をキャッチ

いったいなぜ彼は、満足気に大爆睡しているのか。

なぜここまで脇役あるいは解説役としてしか登場していないのか--。

5時35分に釣りが開始された、わずか5分後のことだった。

「あ、アタった!」

「あれ? 放したか?」

「いや追ってる。アタってるアタってる……せーの!」

ドン、と合わせた。ひん曲がる竿。

乗った!

落ち着いたヤリトリ。

魚に主導権を与えないよう、リールを巻き続けている。

プロの技に観念して上がってきたのは、なんと5.5kgの大ビラメだった。

1投目で本命を、しかもデカイのを釣ってしまったのである。

文字どおりの、ワンショット・ワンキル。

恐ろしい。

「何しろ1投目だから、探りながらだったんだけどね~。底から早巻きで追わせて、大きなシャクリを入れて食わせる、というやり方だったんだけど、3回アタったからね。かなり食い気があったんだと思う。食わせの間を作った瞬間にドカンと食ってきた。150gのジグを丸飲みだよ(笑)」

そういえばイチロウが、スロジギの魅力として「夢がある」と語っていた。

1投目、開始5分での大ビラメは、まさに夢のような出来事だった。

その後、6時50分にもヒラメを追加したヨッシーは、朝イチで大仕事を終えてしまったのである。

もちろん、その後も釣り続けた。だがヨッシーは、ヒラメしか釣らなかった。

五目を達成したイチロウとは対照的だ。

港に戻り、そのことをヨッシーにたずねると、こう答えた。

「今回おれは、バンブルズRBのスロジギ用ロッドを2本持ち込んだ。軟らかいほうから661と662だね。そして今回はヒラメに狙いを絞って、主に661を使った。イチロウさんは、662を使ってた。ちょっと硬めだった分、ジグが少し飛んでたね。だから多彩な魚をキャッチできたんだ」

寝ぼけ眼を感じさせないほどの、的確な状況把握と分析。

そして改めてスロジギにおける竿の重要性を説く。

この男、プロフェッショナルだ。

釣行の写真

1投目で5.5kgのヒラメを ゲット

釣行の写真

朝イチにイナダが回遊してきてトリプルヒットもあった

釣行の写真

4kg級のヒラメ

ヨッシーの写真

ヨッシーは取材のたびにバナナを持参して、取材班の皆さんにお裾分けしてくれるのだ。このバナナがとっても甘くておいしい。栄養補給もバッチリだから疲れも吹っ飛ぶってもの。今では取材班が各自でフルーツやチョコなど色いろなスイーツを持ち寄るのが恒例となっている。

船宿インフォメーション

茨城県日立会瀬港 第二海神丸

090・1887・7753

▼第二海神丸はスロジギやS L J、青物ジギングなどのルアー釣りと一つテンヤマダイ&タイラバで周年出船。6kg以上のヒラメ、3キロ以上のマダイを釣った方は「大物賞」、7kg以上のワラサ、ヒラマサ、サワラを釣った方には「青物賞」として半年間有効の無料乗船券が贈呈されるので挑戦してみるのも面白い。

▼備考=予約乗合、5時集合、5時半出船。一つテンヤマダイ&タイラバへも出船

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隔週刊つり情報(2023年10月1号)※無断複製・転載禁止

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