照りゴチと呼ばれる夏は、湾奥の浅場にマゴチが集まってくる好期。
それとともに使用するエサがサイマキからハゼに変わり、浅場でスリリングな釣りが楽しめる。
取材した東京湾奥横浜新子安のだてまき丸は横浜沖の水深6m前後を狙っているが、どのポイントでも魚影は濃く、条件さえよければトップでツ抜けは当たり前、型も35~45cm級を中心に連日のように50cmオーバーも上がっている。
今号発売は9月とはいえ照り込みは当分続きそうだから今後も期待十分だ。
![釣行の写真]()
ハゼエサのマゴチ釣りは浅場で好調
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連日の猛暑でクーラーの効いた室内にいると釣りに行くのもおっくうになりがちだが、そんな時期に盛り上がってくるのが東京湾のマゴチ釣り。
産卵期を終えて、濁りが入った浅場で活発にエサとなるハゼやキスなどを捕食するこの時期が本来はマゴチの最盛期。
水深5m前後で強烈な引きを味わえるのがだいご味だ。
個人的にはサイマキ(小型のクルマエビ)を使う春先の釣行が多いが、久しぶりにハゼエサでマゴチ釣りを楽しみたくなり、東京湾奥横浜新子安のだてまき丸にお邪魔した。
舵を握るのは宮地至人船長。
東京湾で40年近くマゴチを釣らせ続ける凄腕船長だ。
船着き場に着いてあいさつがてら近況を伺うと、「マゴチのご機嫌次第だけど、濁りさえ入ってくれてれば十分に楽しめるでしょう」とのこと。
受付を担当している奥様の真由美さんも「頑張っていっぱい釣ってくださいね!」と笑顔で釣り人を迎えていた。
エサとなるハゼは船上での販売もあるが、自分で釣って持参する人も多い。
例年だと船着き場でハゼ釣りをする人が多く見られるが、この日は一人もいない。
今年は釣れないらしく、常連さんは近所の運河で調達しているそうだ。
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自分で釣ってきたハゼを持ち込んでもOK。 エアポンプで生かしておこう
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開始早々の連発
初挑戦の方へのレクチャーも終わり、初挑戦2名、ルアーマン1名を含む12名で6時半に出船。
船内を見渡してみると和竿(リールのない手バネ)を使っている方が3名。
宮地船長の船ではマゴチに和竿を使う方が他船よりも多い。
「魚を掛けたときの感触は和竿が一番気持ちいいんだけどね、年々使う人も売っている釣具屋も減ってきているのがちょっと寂しいね」と話していたのが印象的だった。
運河を抜け、ほどなくして横浜沖へ到着。
ここは船長の一番のお気に入りポイントのようで、理由を尋ねてみると、「ここは何度か流し変えてもコンスタントにアタってくれるんだよ。しかも釣り座にあまり関係なく全体的にアタってくれるからいい」とのこと。
「はいどうぞ!水深は6m前後。底に着いたらオモリを1m上げてください。タナ取りはこまめに。生きのいいハゼを使うのがポイントだよ。ヘタな小細工はいらないからね」とのアナウンスで釣り開始。
すると開始わずか15秒ほどで早くもミヨシのルアーの方にヒット。
幸先よくマゴチが取り込まれた。
しかも続けざまに初挑戦の方にもアタリ。
「ちょっと竿先を下げてみて。そう、そしたらゆっくり持ち上げてみて。今度はリールを巻きながら巻いた分だけ竿先下げて。またゆっくり聞き上げてみて。押さえ込むようなアタリになったら合わせて。まだだよ、今だ!」
なんとも細かくてありがたい船長のアドバイス。
無事にハリ掛かりし、本命をゲットできた。
このように船全体を見ながら的確にアドバイスしてくれるのが宮地船長流。
初心者でも安心である。
そんなヤリトリの最中にも立て続けに二人がヒット。
写真を撮るのも追い付かないような電光石火に朝から早くも汗だくに。
ちなみに、開始からここまでわずか1分ほど。
その後もポツポツとアタリがあり、皆さんも今か今かと魚信を待つのだが、流し変えたあたりからペースが落ちる。
どうやら潮止まり直前の荒食いタイムだったらしく、流れもほぼなくなってしまった。
同時にマゴチのやる気も急降下で、活性の高い魚だけがハリ掛かりする状況に。
ペースも落ち着いたこのタイミングで私も釣りを開始する。
![釣行の写真]()
手バネで5本釣り上げた
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知っ得! 釣れる釣れぬはハゼ次第
生きエサを使うマゴチ釣りにおいて、エサは最重要事項。
当然生きがよくてよく泳ぐハゼのほうがマゴチによくアピールできる。
そのため前日などに自分でハゼを釣って持ち込む方も多い。
当日も竿頭の方はハゼを持参していた。
泳ぎが弱くなったらすぐに次のエサに替えてチャンスをものにしていく。
自分で用意すれば追加料金やエサが足りなくなることを気にせずに済むし、船長のところまで買いに行く必要もないので、結果的に手返しアップにもつながる
![エサの写真]()
エサのハゼは7~10cm前後
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潮が動けばチャンス
船長おすすめの船宿仕掛けをチョイス。
ハリは市販品ではあまり見ないカイズを使用している。
チヌや丸セイゴを使った仕掛けが多い中、船長のこだわりが伺える。
始めて少ししてアタリが訪れるが全然食い込まず、エサを放されてしまった。
カメラを構えながら観察して多少は分かっていたが、ここまで渋いとは。
エサのサイズはわずか7cm、口が大きいんだから一発でバクッと飲み込んでくださいよマゴチさん。
早く1本を手にするべくまめにタナを取り直し、ハゼが弱ったらすぐに新しいエサに替えるがうんでもすんでもない。
普段なら「アタリは自分で出すものだ!」くらいのことを恥ずかしげもなく豪語しているが一気に自信喪失、ガラスのハートが粉々である。
少ししてようやく潮が流れ始め、食いが活発になるが、それも長くは続かなかった。
相変わらず魚のご機嫌を取るのはなかなか難しい。
船長も首を傾げてしまっていたが、しばらくしてポイントを移動。
5分と走らず到着し、仕切り直しするも、ここでもアタリは少なめ。
少し流して再び移動となった。
そして3カ所目。投入してすぐはアタリは出なかったが、少しするとパタパタとアタリが出るようになった。
「橋の陰で涼しいし、ここで釣れてくれればいいよね」と船長もご満悦。
ここで私にもようやくやる気のあるアタリが訪れる。
少しだけ竿先を下げて、徐々にテンションをかけて仕掛けを張っていく。
そこで押さえ込む強いアタリが出たのでスイープに合わせると無事にヒット。
40cmほどの本命をゲットできた。
ちなみにこれで船中全員ヒット。
船長もホクホク顔だ。
そしてラストのポイントへと移動すると投入直後に3人がほぼ同時にヒット。
その後もバンバンとアタリ、食い込みもよく次つぎにマゴチが取り込まれる。
私も撮影の合間を縫って竿を出し、1本を追加したところで沖揚がり。
釣果は30~52cmのマゴチを一人1~14本。
皆さんアタリはそこそこあったようで、あとはうまく掛けて打率を伸ばせるかどうか。
マゴチ釣り最大の魅力は今年も健在だ。
船長に今後の展望を伺うと、「潮が濁っていて青潮さえこなければ期待できると思うよ。うちは今年も大晦日までマゴチ船を出すから、いっぱい釣りたい方はジャンジャン来てください」とのこと。
マゴチとの駆け引きはまだまだ楽しめそうだ。
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持ち込んだハゼエサで14本キャッチ
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当日は潮が濁り、アタリも多かった
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Tackle Guide
専用竿もあるが、硬さや長さなどの好みも、ライトヒラメ用やルアーロッドを使う方も多い。
ハリはチヌや丸セイゴ、だてまき丸の船宿仕掛けにも使われているカイズを使う。
自分の好みで問題ないが、サイズには要注意。
エサとなるハゼが小さいため、ハリ掛かりのよさを優先させて大きくし過ぎるとハゼが弱りやすくなってしまう。
船宿information
東京湾奥横浜新子安 だてまき丸
080・6577・3742
▼備考=予約乗合、6時半出船。仕掛け、オモリ、氷の販売あり
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隔週刊つり情報(2024年9月15号)※無断複製・転載禁止