例年、早春ごろから釣れ盛る銚子出船のアカムツだが、今シーズンは沖の潮が速く開始からしばらくは不調だった。
ところが、ここにきて潮が緩み始めるとアカムツの活性もアップしにわかに注目を集めている。
「以前のように45~50cmなんていう大型は少なくなりましたが、40cm級交じりで釣れています」とは銚子犬若港・孝進丸の大川文博船長。
取材日は潮を気に入らないのか開始早々は大苦戦。
しかし、そのうち食い出すだろうと粘ったのが正解で、25~43cmをトップ5尾の釣果だった。
従来ほどの大釣りは少ないが、そもそも超が付く高級魚。
元の姿に戻ったとも言えるだろうか。
釣期は6月一杯までだが、今月がチャンスなので早めの釣行をおすすめする。
![釣行の写真]()
▲前日までは規定数の8尾を達成する人も多かったというから魚影は濃いはず
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マグネット不要で便利!
孝進丸の船ベリには強力なマグネットが内蔵されているので、マグネット板などを持参しなくてもOK。
ホタルイカのエサを装着した状態でもしっかりと固定されていたのでとても便利だ。
銚子犬吠埼沖のアカムツが4月に入り赤丸急上昇!
犬吠埼沖は45~50cmといった特大アカムツが高確率で釣れる超一級ポイントで、一般的に夏~晩秋にかけてが釣期という釣り場が多い中、毎年1月に解禁し6月末までと、まさに今の時期に狙える貴重な釣り場でもある。
今回は犬吠埼沖アカムツの実績が高い銚子犬若港・孝進丸のアカムツ釣りを解説しよう。
狙えば一年中釣れるアカムツだが、夏~晩秋にかけての産卵期に狙うのが一般的なシーズンと言われている。
いわゆる乗っ込み状態で釣りやすくもあるからで、逆に言うとそれ以外の時期はいれば釣れるけどなかなかアカムツの着き場が見つからない、というのが実情でもある。
そんな中、6年ほど前に開拓された犬吠埼沖は、この時期にアカムツがまとまって釣れる稀有な釣り場だ。
釣れるアカムツは大中小交じり、25cm級の小型も釣れるが45cmオーバーの特大サイズも当たり前のように釣れる。
まして産卵から回復した魚体なので、腹に真子がない分、脂の乗りやうま味ともに申し分のないアカムツだ。
なお、同釣り場は資源保護の観点から1~6月末までと釣期を定め、操業時間は1~3月は12時まで、4~6月は11時までと決められ、仕掛けも2本バリまで、釣果は一人8尾までと制限されている。
釣り場は犬吠埼から東南東に約19マイルほどの位置にあり、大きく分けて3つのポイントで構成されている。
水深250m前後のポイントが2つ、水深150m前後の浅場のポイントが1つで、それぞれ航程15分ほどの距離がある。
「今年は解禁当初は潮が速くて釣りづらかったというのもありますが、全体に魚っ気が薄い感じでしたね。ここにきてようやくアカムツが回ってきたんでしょう、4月に入ってからは連日定数到達の日が続いてます」と話すのは孝進丸の大川文博船長だ。
また、「最近は深い所がメインになってきている」とも話してくれ、主に水深270~300m辺りを狙っているようだ。
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▲レギュラーサイズの35cm前後
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仕掛けは2本バリまでオモリは200号使用
孝進丸でのオモリ指定は200号。
したがって竿は200号に対応できるアカムツ専用竿か中深場用ロッドということになる。
手持ち派なら軽量な全長1.8m前後の竿が持ち重りせず扱いやすく、置き竿なら全長2m前後とやや長めのグラスムクの竿のほうが、多少重いが竿先が跳ねにくいのでおすすめだ。
道糸はPE4号以下との指定なので、水深を考えるとPE3~4号を400mは巻いておきたい。
オマツリその他で高切れの可能性もないわけではないので、予備のリールもしくは道糸を持参しておくと安心だ。
仕掛けは胴つき式で、犬吠埼沖はハリ数2本までの規定。
ハリスの接続は回転ビーズか親子サルカン、どちらかは好みでOK。
ゲストが多くハリスがヨレることが多いときには、ヨリ取り効果が大きく老眼でもハリス交換が容易な親子サルカンがおすすめだ。
ハリはムツかホタで、最近はホタバリを使う方が多いようだ。
個人的なおすすめは太地ホタバリの16号。
細軸や平打ちバリはアカムツのもろい口が裂けるようにハリ穴が広がるためバレやすく感じる。
またアカムツには光り物は有効と筆者は考えるが、アカムツ以上にサメやサバを寄せるのと、犬吠埼沖は速潮の日が多いので、オマツリ防止の観点からケミホタルなどはないほうが無難。
食い渋り時のお助けアイテム程度に考えたほうがよいと思う。
オマツリやサバ、サメの被害で仕掛けの消耗が激しい日もあるから、仕掛けやオモリは多めに用意しておこう。
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▲前日はダブルも結構あったとか
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ADVICE ホタルイカで十分?
エサはホタルイカが配られる。
「ホタルイカだけで十分釣れると思いますがほとんどの人が何かしら持ってきますね。まあそれはお好みで」と船長。
サバやサケ皮、ロールイカタンなどを持参しホタルイカとの抱き合わせにするケースが多い。
エサ持ちのよさとボリューム感が増しアピール力アップに期待といったところだが、「サバやサメが多いときにはホタルイカだけのほうがいいですよ」とも言うから臨機応変に。
動かしすぎはNG!静かに待つのが吉
中深場釣り、深場釣りでは仕掛けの投入がビギナーにとって第一関門となるが、犬吠埼沖のアカムツはハリ数が2本なので難しいことはない。
船ベリにエサの付いたハリを並べて置き(孝進丸の船ベリにはマグネットが内蔵)、合図でオモリを放り投げればいいし、仕掛けを竿先一杯に巻き込んで吹き流し状態にしてオモリを軽く投げ入れてもよい。
なんならより確実にオモリからハリ1本1本順番に落とし込んでいっても、2本バリ仕掛けなのでほかの人たちとの時間差はそうは出ない。
ただし潮が速いときは一斉投入となるから、遅れることのないよう潮回り時にエサ付けその他の準備を終えておくこと。
釣り方で最も重要なのはしっかりと底ダチを取ること。
通常時は問題ないが、潮が速いと着底が分かりづらいことも多い。
リールを軽くサミングして極力糸フケを出さずに仕掛けを下ろし、竿先と道糸の動きを注視して着底を見逃さないようにしたい。
着底後は5~6m巻いて糸フケを取り、再度オモリを着底させる。
一般的に中深場の釣りではオモリトントン状態が推奨されるが、アカムツ釣りではもう少し糸を出し、いわゆるゼロテン状態でアタリを待つのが基本となる。
ときにはオモリを引きずるようにして少し仕掛けをたるませるのも有効だ。
ただしオモリを海底に着けっぱなしにするとオマツリの原因となるので、20秒に1回くらいはオモリを底から切って再着底させることも忘れないようにしたい。
誘いに関しては、「動かし過ぎはよくない」と船長。
「手持ち竿の人に多いけど、しょっちゅう竿を上下させているような人はまず釣れませんね。オモリを切るときにも30~50cm底から離れれば十分で、静かにじっくり狙う人のほうが数はのびますよ」とのことだ。
アタリは本命の場合はクックッと鋭くハッキリと出る。
竿を手で持っている場合は合わせを入れよう。
強い合わせはいらないが、聞き合わせるようにストロークを大きくしっかりと合わせること。
置き竿の場合はほぼ向こう合わせ。
そのまましばらく待ち2度目、3度目と竿先にアタリが出たら巻き上げ開始だ。
どちらの場合もしっかりとハリ掛かりを確認してから巻くように。
「300m、巻いて空っぽだと時間の無駄だしショックもデカイですからね(笑)」と船長。
巻き上げ途中の引き込みで「本命かな?サメ?」などと一喜一憂するのもこの釣りの楽しみ。
45cmを超えるサイズともなると、ときにサメかと思わせるほどの強い引き込みがある。
竿がたたかれるように鋭く引くようなら本命、引き込みのストロークがやや大きくグーングングングングンと4~5回も続くようならサメ。
また本命なら約50mおきに竿先をたたき、ラスト30~50mで最後の引き込みがあってその後はおとなしくなる、などアカムツ特有の挙動で判別する(潮が速いときはアタリ、引き込みともに弱いこともある)。
取り込みはタモ取りが必須。
多くの場合は船長が見ていて駆けつけてくれるが、ダブル、トリプルヒット時など間に合わないようなときには隣同士でアシストしよう。
![釣行の写真]()
▲シーズンは6月一杯まで
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遅れて4月にピーク到来!良型の規定数も夢じゃない
毎年1月に開幕する犬吠埼沖のアカムツ釣り。
今年はどうしたことか開幕当初は不調をかこっていたが、3月下旬ごろより釣果が上向き、4月に入ると連日規定数達成と爆釣ともいえる復活ぶり。
この機を逃すべからず、とさっそく銚子犬若港の孝進丸に予約を入れた。
人気のアカムツ釣りとあって平日にもかかわらず2隻出しで、私は大川文博船長の1号船に乗船した。
釣り場までは1時間半少々。
辺りが明るくなってきたころに到着した。
「昨日より水温が2度上がってますね~。潮も速そうなので、すみませんが中オモリ付けている人は外してください。あと1流し1投になると思うので、仕掛けを上げたら投入しないで待っていてください」など、相変わらずのていねいなアナウンスがある。
「水深250m。少しずつ深くなると思います。どうぞ」期待の投入も1投目、2投目と空振りが続く。
3投目に私の竿に小さなアタリが出て、30cm弱のアカムツとユメカサゴが一荷で釣れる。
しかしその後の追従はなく、4投目も空振りとなり「15分くらい走ります。右側の人は潮をかぶるかもなので後ろに下がるかキャビンに入っていてください」と船長は移動を決断する。
移動中に話を聞くと、先ほどまでの場所は昨日までの本命場所だったらしいのだが、「潮が速くなったせいか昨日までとは全然様子が違った」とのことだった。
移動直後にアタリが!
270mとやや深い所から再開。
「水温は少し下がったけど、ここも潮が速そう」と暗雲立ち込める雰囲気ではあったが、ここでは1投目の着底後すぐにアタリが出たようで、左舷ミヨシの方が巻き上げを開始する。
そして上がってきたのは35cm級の中型の本命だった。
魚っ気が出てきたのかこの後クロムツが何尾か上がり、ゼロテン状態をキープしながらアタリを待っていた私にもククッと割とハッキリとしたアタリが出る。
「良型のアカムツならいいな」の願いは届かずクロムツの一荷だったが、ぜいたくは言えぬいいお土産だ。
船中徐々にアタリは増えていってポツリポツリながらアカムツが上がり始め、40cm級の良型の顔も見られるようになった。
左2番の田中さんも、「最初はケミホタルを付けていたんですが、サメとサバばかりだったので外して、ようやく本命が釣れました」と良型を連発。
エサは釣れたサバの切り身とホタルイカの抱き合わせとのことだった。
その後も単発とはいえ中大型交じりで釣れてはいたのだが、「朝のポイントで食い出したっていうので戻ってみましょう」と再移動。
朝の場所で粘っていた大船長の2号船では一荷もあったとの情報だ。
ただ食いが立った時間は短かったらしく、我われが急行したときには「時すでに…」状態。
それでも30~35cm級を船中で3~4尾追加したが、残念無念の沖揚がり時間を迎えてしまった。
「いや~、なんか俺の勘が悪かったですね」と文博船長は恐縮気味だが、いやいや移動したポイントでポツポツながら一時盛り上がり、移動が正解と思ったのも事実。その間、朝イチのポイントのほうがもう少し盛り上がり方が上だったのは時の運ということだろう。
この日の釣果は25~40cmのアカムツが0~3尾。
田中さんが竿頭で、お一人だけ顔見ずの方が出てしまった。
大船長の2号船は43cmを頭に0~5尾だったそう。
典型的な「昨日までは……」の日に当たってしまったが、釣行の翌々日からはまた規定数達成の日が続いている。
例年は5月一杯くらいで食いが落ちるという話だが、今期は食い出しが遅かった分、禁漁となる6月末まで続くのでは?と期待したい犬吠埼沖のアカムツだ。
船宿インフォメーション
銚子犬若港
孝進丸
0479・23・1020
▼備考=予約乗合、3時集合
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隔週刊つり情報(2024年5月1号)※無断複製・転載禁止