親潮と黒潮がぶつかる茨城沿岸はヒラメやマダイ、青物、根魚類、イカやタコなど釣り物が多彩。
その茨城で初夏から盛り上がる釣り物の一つがフグ。
茨城のフグ釣りに禁漁期間はないが、例年5月ごろから乗合船がスタートし、晩秋まで続くロングラン。
中でも産卵のため浅場に魚が集まる6~8月ごろが数、型ともに有望な時期となる。
5月下旬現在、本誌船宿データベースでフグ船が出ているのは鹿島、鹿島新港、大洗だが、日立久慈でもこれから出船を開始する予定。
釣況を見ると、鹿島出船の釣り場は航程30分ほどの鹿島沖20~30mダチ。
数はトップ30~40尾前後で、良日は60尾以上という好模様。
サイズは20~35cmと幅があるが、ショウサイフグとしては最大級といえる40センチクラスも顔を出す。
大洗港出船の主な釣り場は大洗~大竹沖の水深20~30m前後。
今のところ大竹沖を中心に狙い、こちらもトップ30~40尾と順調に釣れている。
胴に張りがある先調子竿が必須、仕掛けは2段カットウがおすすめ
●竿 ROD
茨城エリアのフグ釣りは、オモリ25~30号のカットウ仕掛けを使って狙うのが基本。
カットウ釣り用のフグ専用竿は各メーカーから発売されており、オモリ負荷表示20~30号、全長1.4~1.8mの8:2~9:1調子が多い。
カットウ釣りはエサ付けしたハリで魚を掛けるのではなく、エサに近寄ってきたフグをカットウバリで掛ける。
アタリ即合わせが基本となるため、合わせの動作が瞬時に伝わるほうがいいので、胴に張りがあり、かつシャクリやすく疲れにくい短めがフグ竿の条件。
専用竿のほか、カワハギ竿を使う人もいる。
●リール REEL
リールは小型両軸か、巻き上げが楽な超小型電動。
道糸は釣り場によっては根掛かりが多いこともあるためPE1.5~2号を巻いておくのがおすすめ。
ただ、小さなアタリを取って釣るには潮切れのいい1号以下の細糸が有利なこともある。
根掛かりしなければ問題ないが、1号以下を使用するときは高切れが続いたときの備えとして予備のリールを携行したい。
●仕掛け RIG
茨城エリアのカットウ仕掛けは下図のとおり、ハリス長を変えた振り分け式の2段カットウが主流。
根掛かりの多い場所や仕掛けを投げる場合は、根掛かりや手前マツリしにくい1段にするのも一手だが、初心者なら取りこぼしが少ない2段がおすすめだ。
カットウオモリは各色あるが、定番のアオヤギカラー(オレンジ)や赤、銀(鉛)のほか、朝方の暗い時間帯や潮が濁っているときは夜光の実績が高い。
しかし夜光は早朝にアタリが集中しても、潮が澄んでいると明るくなった途端に釣れなくなるケースがあるので、そんなときは違う色に交換しよう。
なお、カットウ仕掛けの上に食わせ仕掛け(胴つき1~2本バリ)を接続して、上のタナで食わせる人もいるが、手返しが遅くなるうえキャストしにくいため、カットウ仕掛けだけで十分釣れているようなら食わせ仕掛けは付けないほうがいいだろう。
(左)豊丸では乗船料に含まれるエサは冷凍エビ1パック(8~10匹)。アオヤギは別売りで受付と船で販売。(右)カットウ仕掛けは当地で定番の2段カットウ仕様。 予備も含めて3つ以上は携行しよう。
出典:
ゼロテンションと空合わせを繰り返すのが基本
船下狙いの釣り方
ゆっくりと誘い下げ、ゼロテンで数秒待ったら小さく鋭くシャクる。
出典:
スタンダードなカットウ釣法は上図のとおり、底付近でシャクリ(空合わせ)を繰り返す船下狙い。
まず、投入はハリが絡まないように、前方に軽く仕掛けを振り込むようにして着水させ、底まで沈める。
食い気のあるフグはエサを見つけるとすぐに寄ってくるので、着底したら即座に空合わせすると掛かることがままある。
しかし、エサに対してどん欲でありながらも臆病な一面を持つのがショウサイフグ。
大きなシャクリはエサに寄ってきたフグを驚かせ散らしてしまうのでNG。
シャクリ幅は15~25cm、ハリス分を目安に小さくキュッとシャクる程度でいい。
掛からなければ竿一杯に仕掛けを持ち上げ、竿先をゆっくり戻して再着底させる。
根掛かりが少ない釣り場であれば、着底させたオモリが底から浮かない程度に道糸を張らず、たるませずのゼロテンション状態で3~5秒待ち、再び空合わせ。
基本はこのような、待ちと空合わせの繰り返しだが、もちろんゼロテンで待つときにアタリがきたら合わせる。
また、下ろす動作が誘いになり、この間にアタリが出ることがあるが、そこで合わせを入れてもカットウバリがエサより上に位置することがあるため掛からないことが多い。
そんなときは、そのまま下ろし、底に着いたところで合わせを入れてみよう。
フグが掛かると竿先がグンッと入り、ハッキリとした手応えが伝わるのでリールを巻き始める。
25cm以上の中~大型であればググッとなかなかの抵抗を見せるが、小型のフグは掛かり所によっては「掛かってないかも?」と錯覚してしまうくらい手応えを感じないこともある。
とはいえ、怪しいと思ったらとにかくリールを巻く手を止めないこと。
カットウバリにはカエシがないため、糸を緩めたり仕掛けを下げてしまうと、せっかく掛かったフグが外れることがあるから注意しよう。
大型に的を絞った宙の釣り
鹿島港・豊丸の取材日に釣れたフグは大中小交じりであったが、中でも30~35cm級の良型を数多く上げたベテランは、上図のような「宙の釣り」に徹していた。
釣り方は、着底後に糸フケを取ったら、30~40cmほど仕掛けを持ち上げ、ピタッと止めてアタリを見る。
しばらくしてアタリがなければ、底ダチを取り直し、再び30~40cm持ち上げて待つ、これの繰り返し。
アタリがきたらゆっくり竿先を下げ、仕掛けの周りにいるであろうフグに追わせて下を向かせ、着底したところで合わせる。
仕掛けを底から離して待つ宙層狙いはアタリが少ないため数はムラがあるそうだが、掛かれば大型の確率が高いとのこと。
基本的な底狙いのほか、大型に的を絞って宙層狙いにトライするのも面白いだろう。
船下でアタリが遠いときはキャスト釣法が効く
根掛かりしない砂地のポイント限定ながら、船下でアタリが遠いときに効果的な釣り方が「キャスト釣法」。
当地のファンは、船下狙いのベイトタックルに加え、キャスト用のスピニングタックルと2セット持参する人が多い。
キャスト用の竿は胴に張りがあってシャクリ負けしないジギングロッドなどスピニングロッド。
スピニングリールは小型でもいいが、巻き上げ力に余裕がある4000~5000番クラスのほうが、大型のフグが掛かっても巻き上げやすく疲れにくい。
釣り方は上図のとおり。
まずはアンダースローでできるだけ遠くへキャストする。
キャストするときの注意点は、潮の流れ、船の動きを見て、周りの人の道糸にかぶらない方向に投げ込むこと。
キャストに慣れていない人は、最初は軽く投げ、徐々に遠くへ投げるようにしよう。
着底したら、シロギス釣りのようにズル引きしながら定期的に空合わせを入れる。
時折数秒止めてアタリを見るのも効果的で、何かしらの変化を感じたら即合わせしよう。
(左) 写真は常連さんのタックル。外房用フグ竿のグリップ部分のトリガーを削り取り、スピニング用に改造して使用している。(右)アンダーハンドでできるだけ遠投し、ズル引き&空合わせを繰り返す。
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状況で色いろな釣り方を試して茨城のフグを攻略しよう
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茨城のフグはこれから夏にかけてがベストシーズン。
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アオヤギとエビを使うエサ付けの一例
茨城のフグ釣りのエサはアオヤギが定番。
しかし、ここ数年はアオヤギが不足しており、豊丸ではアオヤギとエビを併用するエサの付け方を推奨。
ここではその一例として、仲乗りの出頭浩二さんのエサ付けを紹介しよう。
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