釣りをしない人に「おいしい高級魚は?」と聞けば「アマダイ」と答える人も多いのではないだろうか。
アマダイは和洋問わず様ざまな料理で使われる、言わずと知れた超高級魚だ。
そんなアマダイは食味のみならず、釣りとしてももちろん魅力いっぱい。
仕掛けはテンビン吹き流し2本バリと超シンプル。
コマセは使わず、付けエサのオキアミだけで勝負するのだ。
広大で薄暗い相模湾の海底にたった2匹のオキアミを送り込み、アマダイのアタリを待つ。
それをイメージしただけで、何か壮大なロマンのようなものを感じずにはいられないのは、私だけだろうか……。
今年は遅れ気味というが、例年10月といえばアマダイのベストシーズン。
さあ、いよいよ本番だ!
![釣行の写真]()
これから深場に移行すると大型も増える
出典:
オキアミの取り扱いに気を使おう!
アマダイはコマセを使わず付けエサのオキアミだけで勝負する釣り。
暑さでエサが悪くなってしまっていては、魚だって食べたくないはずだし、海底に届く前に外れているかもしれない。
「暑さ寒さも彼岸まで」とはいうものの、このご時世、10月に入っても夏のような暑い日はまだある。
密閉容器などに入れてクーラーボックスに収納するのをおすすめしたい。
![オキアミの写真]()
オキアミはクーラーにしまっておき必要な分だけ取り出そう
出典:
「取材のときはいつもダメ!だから今日は最初からよくないって分かってたよ(笑)」と話すのは、湘南の一大観光スポット江ノ島の付け根に位置する湘南片瀬港・ゆうせい丸の早川竜洋船長だ。
実際、船宿ホームページの釣果欄にも「今日はダメな一日でした。お客様にスミマセンて感じ」と書かれていたほど。
取材は9月中旬だったが、その日はそれほど貧果となってしまったわけで、実際に取材日前後の釣果を確認すれば、本当にこの日だけが不調だったことがよく分かる。
取材時はまだショートアマダイ船として出船しており、釣り時間は通常スタイルのアマダイ船よりも短く12時に沖揚がりだったものの、アマダイは小型主体でトップ4尾、シロアマダイは船中1尾だった。
ではほかの日はどうなのかといえば、ショート船でもアマダイはトップ5~7尾やそれ以上、さらにシロアマダイは船中複数尾キャッチされる日も珍しくなく、連日のように写真が掲載されている。
幻といわれるシロアマダイが、まったく幻ではない釣果なのだ。
このように取材日だけ釣果が悪かったその理由は不明だが、これも釣り。
こんな日もある……。
「今年は水温の影響なのかちょっと遅れ気味で、例年では9月ごろには水深100~120mの深場で釣れているのですが、その水深ではあまりいい釣果は出ていません。そのため浅場主体で攻めてはいるのですが、どうも小型が多いですね。例年ならもうちょっとサイズもよくて、50cmオーバーもよく出るんですけどね。ただ、シロアマダイは浅場のほうが期待できるかもしれません。だから、普段だったらシロアマがもう少し出てもいいんですけどね……」
とことんツイていなかったわけだ。
さて、アマダイ釣りの魅力といえば、道具や仕掛けはシンプルで基本の釣り方も難しくないので初心者も手軽に楽しめ、もちろん食味は超一級。
和食、洋食問わず、高級店で扱われるほどの食材だ。
さらにゲストも多彩でアタリの数は多く、そのゲストもおいしい魚が多いというところにある。
その一方で、コマセを使わず付けエサのオキアミだけで勝負するスタイルは、ベテランをも熱中させる奥深さがある。
「10月には深場で始まっていると思いますよ。そうなると、サイズもいいし数も期待できると思います」と早川船長。
10月以降はショート船ではなく通常の出船形態となり釣り時間も長くなるので、まさにこれからが本番というわけだ。
![釣行の写真]()
水深100~120mの深場で釣れ始めれば、サイズも数も期待できるだろ
出典:
PE2号以下なら60号 タックルは軽量で操作性重視
まずはアマダイ釣りのタックルと仕掛けから。
ゆうせい丸では、道糸はPE2号以下推奨のライトアマダイとして出船している。
PE2号以下の場合はオモリは50~60号だ。
これは今後100m以上の深場を攻める場合でも変わらない。
もし、リールに3号以上のPEラインが巻いてあったとしても、釣りができないわけではないのでご安心を。
オモリを重くして対応すれば釣りは可能で、その場合は80号を基準に潮や船の流れ方などによってさらに重くすることなどで対応しよう。
竿は全長2m前後のアマダイ、ライトアマダイ用ほか、7:3調子か8:2調子のライトゲーム用など。
この釣りは基本、終始手持ち竿で誘いをかけてアタリを取って合わせていくというスタイルなので、軽量で操作性のよい竿を選ぼう。
リールは同様の理由で小型で軽量な電動が快適。
コマセを使わない釣りであるが、案外ゲストやエサ取りは多いので、付けエサのチェックはまめに行ったほうが望ましい。
そのため、手巻きよりは電動のほうがはるかにラクだ。
「仕掛けは釣具店などで売っている一般的なアマダイ用仕掛けでOKです。潮はそれほど速くないのでガン玉はほぼ必要ありません」(早川船長)
仕掛けはテンビン吹き流しと呼ばれるスタイルで、全長2~2.2mの2本バリ。
ハリスは3~4号、枝スは30cmが基本だ。
ハリは丸カイズ12~13号やオキアミチヌ3〜4号など。
テンビンは腕長30~40cmのシンプルな形状の片テンビンが最適だ。
オモリは、前述のようにPE2号以下の場合は50〜60号、3号以上の場合は80号以上。
形状は胴つき型が一般的だが、アマダイはタイラバやジグにも反応する魚。
よって、ホログラムが貼られたものや夜光など、アピール性の高いものを使ってもおもしろい。
実際、取材日は多くの釣り人がアピール性の高いオモリを使っていた。
注意したいのは、アピール性が高いということはそれだけほかの魚も呼び寄せる可能性も高いということ。
あまりにゲストやエサ取りが多く掛かったり、エサを頻繁に取られたりしてしまうようであれば、何も装飾のないオモリを使うなど状況に応じて対応するとよいだろう。
あると便利な小物類 オキアミのケアは必須
アマダイ釣りにおいて、持参すると便利な小物類は、刃先の鋭い小型のハサミと魚つかみ、ハリ外し、そしてオキアミ保存用の密閉容器など。
【ハサミ】
どんな釣りでも必需品で、付けエサにオキアミを使う釣りでは一般的に言われていることではあるが、エサのオキアミをハリに刺す際は尾羽根をハサミで切ったほうが切り口がキレイになるため、仕掛け落下中にエサが回転しにくくなる。
ヨレヨレの仕掛けでは釣果が落ちる可能性が高くなるのだ。
【魚つかみ】
アマダイはゲストにいろんな魚が登場する。
なかには触ると危険な魚もいるので、そんなときに魚つかみがあれば素手で触れることなく対応可能だ。
【ハリ外し】
アマダイはハリを飲んでしまっていることも多く、ハリを外すのに手間取ってしまうことがあるので、そんなときにあると便利。
時短にもなる。
【密閉容器】
必要以上のオキアミをクーラーボックスの中に収納しておく際に使用する。
10月とはいえまだ気温が高い日も多いだろうし、直射日光にさらされたオキアミは変色し、ときには異臭を発することもある。
そんなエサを食べたいか……と聞かれれば、アマダイはなんと答えるかは分からないが、人間だって高温下や直射日光が当たる場所に放置した食事は正直食べたくはないものだ。
この釣りに限らず、取材で釣り人を観察していて感じるのは、釣りの上手な人ほど、よく釣る人ほどエサに気を遣っているということだ。
![小物の写真]()
あると便利な小物類。魚つかみ、刃先の鋭い小型ハサミ、ハリ外し、そして密閉容器
出典:
ていねいなエサ付けがアマダイへと通ずる
エサのオキアミの付け方は1匹掛け。
できるだけ形の整ったものを選び、尾羽根は必ずハサミで切り、そこからハリ先を刺してできるだけ真っすぐになるように腹側へ抜く。
ハリ先は出ていてかまわない。
オキアミを曲がって刺してしまうと、仕掛け落下中に回転してしまってハリスにヨレが入るだけでなく、ひどい場合は仕掛けがテンビンや道糸に絡まってしまう。
そうなると当然魚は釣れないし、海底に着底した時点でエサが付いていないということもある。
雑にエサ付けをして1回の投入を無駄にするよりは、エサをていねいに付けて確実に海底まで送り届けることを心がけたほうが、釣果はのびるというもの。
投入時は必ずエサが海中に潜っていく様子を確認し、もし、回転しているようなら必ず付け直そう。
ゲストの釣れ具合で本命を探ろう
「釣り方は基本どおりで大丈夫です。タナは底から1mで、時折ゆっくり竿を持ち上げて誘ってください。底を取り直して1m上げて、時どき誘って、という動作を数回繰り返します。そして、付けエサのチェックはマメにしてください」と早川船長。
基本はたったこれだけでOKだ。
この動作は基本中の基本動作なので、もう少し補足するとすれば、オモリ着底時は竿先を下に向けておき、着底したら素早くリールを巻いて糸フケを取る。
そして数回トントンとオモリで海底を小づいて砂煙を巻き上げるようにしてやる。
こうしてまずは付近にいるアマダイなどの魚たちに「なんだ?なんだ?」と興味を引かせるのだ。
数回小づいたら道糸のマーキングを参考にそのまま竿先を1m持ち上げてタナを取る。
魚たちはオモリの側にきてみたら、あら、エビ(オキアミ)だ!となるわけだ。
コンコンと竿先にアタリが伝わってきたら軽く合わせを入れ、まず手巻きでゆっくり10mほど巻き上げる。
アマダイはハリ掛かりした直後にゴンゴンと強い引きを見せることが多いため、いきなり電動で勢いよく巻き上げると引いた瞬間にバレる可能性があるからだ。
したがって、最初は必ず手巻きで行うようにし、その後はドラグをしっかりと調整した状態であれば電動で巻き上げてきてもよい。
ただ、ヤリトリに不安があるようなら手巻きで巻き上げたほうが突然の強い引きに対応しやすく、バラシを減らすことができる。
さて、前述のようにアマダイ釣りはコマセを使わない割に色んなゲストが登場し、エサ取りも多い。
それゆえマメな付けエサチェックが必須になるのだが、このゲストの種類が本命アマダイを釣るにあたって重要な目安になってくる。
ゲストに何が釣れたのかによって、自分の付けエサがアマダイのタナに合っているかを判別することができるのだ。
・ムシガレイ、ホウボウ、カナガシラ、トラギス、オニカサゴ↓タナが低い。
・キダイ(レンコダイ)↓タナが高い。
・ヒメコダイ(アカボラ)、イトヨリ↓タナが合っている
といった具合なので、ぜひ参考にしていただきたい。
![釣行の写真]()
イトヨリダイとホウボウのうれしいダブル!
出典:
当日竿頭となった釣り人の手の内紹介
さて、冒頭でも紹介したように、取材当日はとにかく渋い一日となった。
そんな中でも釣る人は釣る。シロアマダイ含め4尾を釣り上げ竿頭となったアングラーに、どんな釣り方をしていたのか聞いてみたので、最後に紹介したい。
当日は誘ってもあまり結果に結びつかなかったので、置き竿メインで釣っていたとのこと。
仕掛けは全長2mのシンプルなもので、ハリは一般的なサイズよりも小さいものに替えたらアタリがよく出た。
タナは1~1.5mと、ちょっと高めを探ったという。
釣り方のところでは紹介しなかったが、アマダイ釣りでは案外置き竿が効くこともある。
しかも、大型がヒットする確率が高いといわれる。
誘ってダメなら置いてみるのもいいだろう。
ただし、「置きっぱなし」は厳禁。
時どきは竿をあおって誘いを入れたり、タナを取り直したり、付けエサをチェックすることもお忘れなく!
もうひとつ最後に、アマダイやゲスト魚のおすすめの食べ方を早川船長に聞いたのでこちらもご紹介したい。
「アマダイは火を通したほうがおいしいと私は思うので、酒蒸しが一番のおすすめかな。あとは定番の松笠揚げ。イトヨリやヒメコダイは炙りだね」とのこと。
ぜひお試しを!
![釣行の写真]()
高水温の影響か本命は食い渋ったが、これから食いが上向いていくという
出典:
![釣行の写真]()
船長によるとアマダイは火を通したほうがおいしくて酒蒸しは最高だそう
出典:
船宿information
湘南片瀬港 ゆうせい丸
080・3454・5420
▼備考=予約乗合、6時15分出船。ほかイナダ五目、キハダへも
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