一時は出船することさえままならなかった相模湾のシロギスも、ここ数年は復活の兆しが見えている。
茅ケ崎港からの出船では港前の水深6~8mの浅場を狙って18cm前後の中型主体にいい日はトップ40尾前後の釣果が上がっている。
まだ水温が安定しないため釣れ具合にムラはあるが、迎える6月は水温も安定し、産卵を控えたシロギスが活発にエサを追う時期。
浅場のテクニカルゲームを楽しんでみよう。
![釣行の写真]()
相模湾のシロギスも間もなくトップシーズン
出典:
食い渋り時はエサ付けに一工夫
エサのジャリメは長さ4~5cmにカットして付けるのが基本だ。
しかし、食い渋り時には1匹掛けが効果的なことも多い。
ジャリメの頭も落とさずそのままハリに付けることによりアタリが増える。
もう一つ大切なのはエサの鮮度で、クネクネ動いているようなエサのほうが食いはよい。
またその場合は枝スの絡みが増えるのでハリ数は1本にするといい。
相模湾茅ケ崎沖のシロギスは、船釣りを始めたころによく通った場所だ。
港からすぐ近場で、白砂青松と呼ぶに相応しい景色の中で穂先を派手に震わせてくれるシロギスのアタリは、日常の喧騒を忘れさせてくれた。
ああ船釣りってホントにいいなあ、としみじみ感じたのは、もう40年以上前のことだ。
![釣行の写真]()
浅場のシロギス釣りは楽しい
出典:
水深6mの浅場
久びさに訪れた茅ケ崎港は、駐車場が舗装されきれいに整備されていた。
一般客も利用できる有料駐車場(一日2000円)だが、遊漁船利用者は駐車カードを船宿受付に持っていけば300円で停められる。
クーラーなどの荷物はトラックに積めば乗船場所まで運んでもらえる。
受付でエサのジャリメを申し込み(エサは船で受け取る)、船まで歩き、18号船の米山時晴船長に朝のあいさつを済ませた。
水温が上昇してきて、いい日は40尾前後の釣果が出ているが、数にバラツキがあるそうだ。
深い場所(水深10~20m)ではアタリが少ないので、現在はもっぱら浅い場所(水深6~8m)を狙っているとのこと。
水深が浅いので、キャストして広く探る人が数をのばしているという。
「ゴールデンウイークは近場で食いが悪くて東のほう(材木座近辺)をやったんだけど、あっちはウインドサーフィンの人が危なっかしくて。今は港前で食ってるんでそこを中心に狙っている」とのこと。
近況を聞くうちにいつしか昔話に花が咲き、「前(=数十年前)はどこでもシロギスが食ってきたけど、それに比べりゃ減ってきたな。温度のせいかね」という話題になる。
そのころはシロギス釣りにナイロンラインを使っている時代で、軽くキャストして引っ張ってくれば、だれでもそこそこ数が釣れたものだった。
まあしかし、極細PEラインを使ってわずかなモタレのアタリを取って掛ける現代のシロギス釣りもそれはそれで面白い。
幸いなことに本日はピーカン、ベタナギで快適な海上、思う存分にシロギス釣りを楽しもうと港を出た。
5分ほどでポイントに着いた。辻堂の前辺りだろうか、近隣のシロギス船もみな近くを流している。
水深は6mと浅く、仕掛けを投げると糸フケを取る間もなく着底する。
底は砂地で、仕掛けを引っ張るとコツコツとした感触が伝わってくるのは、小砂利が交じっているのだろう。
トモではさっそくシロギスが抜き上げられた。
サイズは18cmほど。
この日はこの大きさが主体で、全体的に型はそろっていた。
この日は助手として、船長見習いの大塚直輝くんが乗り込んでいた。
エサやバケツを配ったり、オマツリほどきの手伝いなどをしてくれる。
シロギス船だけでなくほかの釣り物にも助手として乗り込んでいるので、分からないことがあったら遠慮なく聞くとよい。
すべての釣りに詳しいスタッフで、この日も(状況に合った)シロギスの誘い方を教えてくれた。
知っ得! カシマとワシオ
茅ケ崎界隈の船長、とくに職漁経験のある船長は、潮の流れ方をこの地方独自の呼び方をする。
それが、カシマとワシオだ。
カシマとは東へ流れる潮、茅ケ崎沖から見ると、江ノ島方面に流れる潮のことだ。
ワシオはその逆で、西に流れる潮、小田原方面へ流れる潮になる。
「カシマにゆっくり流れている」と船長が言えば、船は東へ動いていることで、それにより自分のいる釣り座が潮下か潮上かということが分かる。
ちなみに外房では、北へ流れる潮をマシオ(真潮)、南へ流れる潮をサカシオ(逆潮)と呼ぶ。
潮の呼び名にも地方によって違いがあり面白い。
![釣行の写真]()
潮の流れ方も地域により呼び方が変わる
出典:
かつてないほどの速潮
一昨日に大雨が降ったので、潮には濁りが見られる。
あまり濁った潮はシロギスにはよくない。
それでもポツリポツリと食ってはいる。
魚はいるがエサが目立っていないのではと、エサの付け方を変えてみた。
ジャリメを一匹掛けにして、カットせずに海中でうごめかせるように意識するとアタリが増えてきた。
エサを長くした分、先っちょだけ食い取られてしまうことも増えたが、それでもアタリが多いほうが楽しい。
釣ったシロギスをエサにハモノ竿(泳がせ釣り)を出していた人は40cmほどのヒラメを釣り上げた。
ヒラメやマゴチが多いことは茅ケ崎沖の特徴でもある。
ハモノ狙いをしたい人は、船長に一声かけてから竿を出してみよう。
日が高くなると、潮が速くなってきた。
シロギス釣りは船を流しながら新たな場所を探っていく釣りなので、ある程度潮が流れているほうが条件はいいが、この日の潮はかなり速く、仕掛けを落ち着かせるのが難しいほどで、潮上の席はかなり釣りにくい。
茅ケ崎沖でこれだけの速潮が流れたのは、私の経験ではかつてないことだった。
船長も浅い場所にこれだけ速い潮がくるのは珍しいという。
これも温暖化の影響なのだろうか……。
仕掛けを落ち着かせるために、竿を頭上に立てた状態からテンションをかけたまま竿先を海方向へ送り込むことで、オモリを止めた状態をキープする。
竿先が海面に向かって真っすぐになり、これ以上に送り込めなくなったら竿をゆっくり大きくあおって3mほど仕掛けを移動させる。
そこでオモリを止め、またテンションをかけつつ竿先を送り込んでいくことを繰り返して、アタリを待つ。
この釣り方はアタリは明確で、ひったくられるような浅場シロギスの引きが楽しめた。
沖揚がりの時間となり、私の釣果は17尾。
ほかの人たちも20尾前後の釣果で、シロギス釣りとしては数は控えめだが、濁り潮と速潮の悪コンディションのなかではまずまずだったと思う。
サイズは18cm前後で、天ぷらにも刺身にも、色いろな料理に使えるサイズがまとまった。
シロギスはまだ産卵期に入っていないようで、白子も真子も小さかった。
6月になれば水温が安定し、浅場のシロギスはより高活性になる。
産卵を前に活発にエサを追う時期でもある。
![魚の写真]()
釣れたシロギスは型ぞろいだった
出典:
Tackle Guide
シロギス釣りは専用竿に限る、と言い切ってもいいと思う。
誘いのしやすさ、アタリの取りやすさ、魚の掛けやすさ、いずれも専用竿を使えば倍加する。
それが1万円以下のエントリーモデルでも、専用竿を使えばシロギス釣りが楽しくなることが実感できると思う。
それほどシロギス釣りには行かないからわざわざ道具買うのは……という人も、一本は持っておく価値はあると思う。
船宿information
相模湾茅ケ崎港 ちがさき丸
0467・86・1157
▼備考=予約乗合、6時集合、7時出船。ほかマダイ、アジ、ライト五目、フグ乗合へも出船。レンタルタックルあり。仕立も受付
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隔週刊つり情報(2024年6月15号)※無断複製・転載禁止