三浦半島久比里の山下丸でこの時期になるとメニューに加わるのがスッテで狙うスミイカ。
ご存じのように今シーズンはスミイカの模様がよくないので、モンゴウイカを視野に入れながらの出船となっている。
釣り場はスミイカが久里浜~鴨居沖の水深30m前後、モンゴウイカは竹岡沖の水深25m前後。
いずれも数は多くないが、シャクった竿をズシリと止める快感は変わらない。
春にカサゴが始まるまでの期間限定の釣り物なので、なるべく早めに釣行しよう。
![釣行の写真]()
▲モンゴウイカは1kgを超える大型も交じる
出典:
澄み潮と濁り潮でスッテを使い分け
スミイカシーズンが後半に入ると三浦半島久比里では乗合が始まる。
東京湾のスミイカは秋になると中ノ瀬や木更津沖など湾奥の浅場で開幕する。
秋から冬に移るにつれてポイントは南下し、千葉側は大貫~竹岡~金谷沖となり、神奈川側は鴨居~久里浜~下浦沖と広がりを見せる。
久比里の山下丸がスミイカを狙うのは鴨居沖以南で釣れ始めるころからで、時期は年によって異なるが年末から年明けにかけてがそのスタートになる。
今年は湾奥ポイントでもスミイカ開幕が大幅に遅れていた。
その影響もあってか山下丸では1月29日が初日となり、取材に伺ったのは開始2日目の30日だった。
スッテスミイカの釣り方
スミイカにはいくつかの釣り方がある。
古くから行われている生きシャコを使ったテンヤ釣りはその代表的な釣り方だ。
ほかにも初期の浅場で多い中オモリと餌木を使った餌木スミイカがある。
対して山下丸ではスッテを使った胴つき仕掛けで狙う。
現在はこの釣り方はダウンショット(リグ)と呼ばれることが多いが、元もとダウンショットはブラックバス釣りで枝スを使わない仕掛けのことを指すため、本稿では昔から使われている胴つき仕掛けと表記したい。
この仕掛けは捨て糸よりも枝スが長いのが特徴的で、スッテを潮に乗せて海底近辺に漂わせることを狙っている。
出船時間になり、船は平作川を下って海へと出る。
ほとんどの人は今シーズンスミイカ釣りが初めてという。
普段イカ釣りはやらないが、この時期だけは山下丸で胴つき仕掛けのスミイカ釣りをするというファンも多い。
道具を見渡すと、テンヤスミイカのタックルを使っているのは私だけで、ほかの人はカワハギ竿やライトゲームロッドなど、全長1.8m前後のスマートな竿を使っている。
年齢層も比較的若く、テンヤスミイカの船宿とは異なるところが面白い。
山下克範船長の話では、昨日はオレンジのスッテが乗ったようだ。
「潮が澄んでるから青や緑がいいかなと思ったけど、底に濁った潮がかぶったみたいでオレンジがよかった」という。
スッテはヨーヅリのウルトラスッテまたはヤマシタのととスッテを使う。
色によって乗り具合が変わるので、オレンジ(またはピンク)のアピール色と、青(または緑)のナチュラル色の両方を用意する。
できれば4色そろえたい。
釣り方はシンプルだ。
オモリを海底に着けて、糸を張らず緩めずの状態で5秒から10秒待ち、糸フケを取ってシャープにシャクる、の繰り返しになる。
オモリを落とすときにテンションをかけてゆっくり下ろしたり、イカが乗ったときの重さに負けないようにしっかりとシャクくる、という点ではテンヤスミイカの釣り方と変わらないが、この釣りの基本はスッテがフワフワと漂ってイカを誘うので、シャクリ方や強さは、あまり神経質になることはない。
気をつける点は、待っている間にオモリが動かないようにすること、そのためには糸フケが出るくらいに道糸のテンションを抜くところだろう。
![釣行の写真]()
▲スミイカは300~500g前後が多い
出典:
知っ得!浮くスッテと浮かないスッテ
胴つきスミイカで使う魚型スッテは海中でゆっくりと沈下する。
海底付近を潮に乗ってフワフワと漂う動きがイカを誘うと思われる。
また、市販の魚型スッテには浮くタイプもある(イカメタルのドロッパー用など)。
こちらは水平バランスを取りながらゆっくりと浮き上がる。
かつてモンゴウイカに対し浮くタイプのスッテが効果があった経験から、その後も仕掛けの長さを替えたりしながら浮くタイプのスッテを試してはいるのだが、まだこれといった使い分けパターンが見つからない。
これは私の今後の課題となっている。
Tackle Guide
ダウンショット仕掛けのスミイカ釣りの場合、テンヤスミイカのような極端な先調子の竿でなくとも使える。
山下丸はカワハギ釣りの客が多いせいか、カワハギ竿を流用している人も多かった。
先調子の竿であれば、カワハギ竿やテンヤタチウオの竿もこの釣りに使える。
もちろんテンヤスミイカ専用竿を使うのもOKで、各自が使い慣れた竿を選ぶのがよいだろう。
墨噴射に注意
さて、この日は久里浜沖の水深30mから開始したが、ちょうど満潮時ともあって潮がほとんど動かなかった。
ひと流しした後、船長は竹岡沖への移動を告げる。
竹岡沖のポイントは水深23m前後、モンゴウイカが狙える場所だ。
最初の流しで、大ドモでイカが乗った。
タモに収まったのはモンゴウイカ、1kg半はありそうな大型だ。
さて、これからが私の仕事で、写真を撮るためにイカを持ってもらうのだが、モンゴウイカの場合、これが難題だ。
なにせ墨噴射はすさまじい、首根っこを強く押さえてつかめばいいのだが、それでは写真が撮れない。
スッテを持ってぶら下げてもらうと、突然に墨を吐くことがしばしばある。
案の定、何度かシャッターを押してから角度を変えて撮ろうとしたところ、大噴射してしまい私は墨まみれに。
ごめんなさいと恐縮する釣り人に対し、いやいや私が悪いのですよ、無理を言ってぶら下げてもらったのだからと話しつつ、デッキブラシと海水で墨を洗い流す。
下げ潮が効き始めると、ポツポツとイカが乗り始めた。
モンゴウイカが多い中、スミイカも顔を出した。
500gほどの良型だった。
これはピンクのスッテに乗っていた。
午後になると潮が止まり、乗りはストップ。
船長は鴨居沖の水深30mへ移動した。
ここはモンゴウイカは交じらない。
午後1時半の潮止まりから、上げ潮が利き始めると私にスミイカが乗り、ほか何人かも乗せる。
この日のトップはスミとモンゴウを合わせて4杯だった。
今シーズンはスミイカの湧きがよい年とは言えないが、2月の低水温期に入り深場に群れが固まってくれば好釣日もあるだろう。
2kgに迫る大型のモンゴウイカが釣れるのも、これからの時期の楽しみではある。
この釣りは、潮が効くかどうかで釣れる釣れないが大きく左右される。
イカの乗りは突然に訪れる。
乗りが遠い時間帯でも辛抱強くシャクリ続けることが釣果を上げるコツと言えるだろう。
船宿INFORMATION
三浦半島久比里
山下丸
046・842・8856
▼備考=予約乗合、7時半出船。
カワハギ乗合、アマダイ乗合へも出船。
各種仕立も受付。
無料駐車場あり
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隔週刊つり情報(2024年3月1号)※無断複製・転載禁止