東京湾のエビメバルが2月に開幕した。
東京湾奥東大井の「いわた」に乗船した初日は川崎~本牧沖の水深20~30m前後の護岸や建造物周りを狙い、15~26cmをカサゴ交じりでトップ30尾と順調な滑り出しとなった。
ここ数年はカサゴの魚影が濃くメバル・カサゴ乗合で出船する船宿が増えているが、生きたモエビをエサに使い、オモリ20号の胴つき3本バリ仕掛けを用いる釣り方は変わらない。
釣り方のコツは仕掛けを底近くでキープし、静かにアタリを待つこと。
根掛かりに気を付けさえすればだれにでも手軽に楽しめる。
メバルのシャープな引きを早春の東京湾で楽しもう。
![釣行の写真]()
▲生きたモエビをエサに使う通称エビメバルは、東京湾に春を告げる風物詩
出典:
モエビエサの付け方
生きたモエビをエサとすることからエビメバルと呼ばれるこの釣りは東京湾奥の早春を代表する釣り物で、2月1日の解禁を待ち焦がれる人は多い。
ここ数年カサゴの魚影が濃く、カサゴがたくさん交じるため、「メバル・カサゴ船」と看板を掲げる船宿が多い。
取材した東大井の「いわた」もそのうちの一軒だ。
今年の解禁日は晴れのベタナギと天候に恵まれ、出船した各港の乗合船はまずまずの釣果を上げていた。
釣り場は川崎沖や横浜~本牧沖で水深は浅い所で12m、深い所では30m前後と幅があるが、ほとんどの場所が岸近くになるので、船に慣れない人でも船酔いの心配が少なく、悪天候にも強い。
目下はメバル、カサゴ交じりでトップ30尾というところで、25cm前後の良型メバルも交じるし、本牧沖など釣り場によってはカサゴが多い。
さすがにまだ寒いためか、活性は高くなくバリバリと入れ食いになるような模様ではない。
アタリを出すにはそれなりのテクニックがいるものの、決して難しくはなく、だれにでもできる簡単なことだ。
タックルと仕掛けの準備、エサの扱い、釣り方の基本の三つのポイントを覚えておくだけで、シャープな浅場のメバルの引きを存分に楽しめるだろう。
仕掛けは胴つき3本バリエサは「生きていること」が必須
タックルは竿が全長2.4m前後で胴調子のメバル専用竿もあるが、長竿に慣れていない方は全長1.8~2.1mでオモリ20号に対応する6:4~7:3調子のゲームロッドでもいい。
エビメバルの基本仕掛けは胴つき3本バリで、全長は1.8~2mが標準。
竿を立てたときにオモリがつかみやすい位置にくるためには、短くても全長1.8m以上の長さがほしい。
リールは小型両軸で、道糸はPE1~1.5号を巻いておく。
仕掛けは幹糸3号、枝ス1.2号30~40cm枝間60~80cm、ハリはメバル専用8~9号、同号数のヤマメバリがエビエサには向く。
オモリは20号を使用。
枝スが細く長いため、エビメバルの仕掛けでは幹糸に枝スが絡む手前マツリがよく起こる。
これを防ぎ、またほどきやすくするために接続部分に回転ビーズなどを用いれば、ハリの交換が楽にできるし、枝スのヨリも取りやすくなる。
枝スが幹糸に単純に絡んでいるだけならば、幹糸とハリを持って枝スをピンと張ってやれば簡単に絡みは取れる。
ただし、どんなに小型の接続パーツを使っても、幹糸と枝スを直結にする方法に比べると、アタリの伝わり方には影響が出る。
エビメバルの船宿仕掛けは直結式が多く採用されている。
いわたの船宿仕掛けも枝スは幹糸に直結してある。
これはアタリをより敏感に出すには直結のほうが有利であることと、根掛かりでハリ先が甘くなったり枝スが切れたときは残っている枝スもダメージを受けている場合が多いので、仕掛けごと交換したほうが効率がいいという判断に基づいている。
仕掛けの選択はどちらの仕様でもいいが、船長は直結式をすすめている。
本命はあくまでメバルでカサゴは交じり物、といっても良型ならうれしいもの。
カサゴは活性の高いときは上のエサを追うこともあるが、普段は底にいるので総じて下バリに掛かる割合が多い。
メバルもカサゴも釣りたいのならば、捨て糸を20cmと短くすると効果的だ。
いわたを含め船宿仕掛けがこの仕様になっているものが多いのは、なるべくお土産を確保できるようにという配慮だろう。
メバルオンリーで狙いたいのなら、捨て糸を40cmと長めにすればいくらかはカサゴを避けられるはず。
エサはおおよそ3~4cm前後のモエビだが、殻がしっかりしており扱いやすい。
エサ付けは尾羽根を少し残してカットし、切り口からハリ先を入れたらすぐにハリ先の向きを変えて背側に抜く。
こうすると尾羽根に近い一節だけにチョンとハリが刺さった状態になり、これがエビの動きを妨げない基本的なエサ付けになる。
エサ持ちはいいほうだが、死んでしまっては効果が極端に薄れる。
死ぬとモエビは白くなるので交換する。
生きているかどうかの判断はエビの足が動くかどうかでも分かる。
使う前のモエビを観察するとよく分かるが、生きているモエビは足を開いて盛んに動かしている。
ハリに付けたあとも元気なモエビは足を開いている。
仕掛けを底に着けて静かにアタリを待つ
釣り方は仕掛けを投入し着底させたら糸フケを取る。
メバルのアタリが分かりやすく伝わるのはオモリを底に着けて道糸を張らずたるませずのゼロテンション状態で待つことだが、そのままずっと動かさないと根掛かりしてしまうので、10~15秒待ってアタリがなければゆっくり1mほど仕掛けを上げて再びゆっくりと底に戻す。
この操作で根掛かりを避けるとともに仕掛けの位置を変え、さらにエサをアピールする誘いの効果も得られる。
仕掛けはゆっくり動かすことが大切で、シャクるように速く上げたり、ストンとオモリを落とすように戻しては、メバルを散らすことにもなり逆効果。
メバルのアタリは、必ずしも決まったパターンで出るわけではない。
いきなり竿をひったくるように引き込んでハリ掛かりしてしまう魚もいる。
とはいえ多くの場合、モソモソとした微妙に手に伝わるアタリが次第にはっきりと竿先に出る大きさになり、最後はギュンギュンと竿先を派手に引き込むようにと、段階的な形で出る。
合わせは引き込みに変わる最終段階まで待つことがセオリー。
これがいわゆる向こう合わせで、その前段階で合わせてもハリ掛かりしないことも多い。
ハリ掛かりしたらゆっくり巻き上げて、魚が海面に浮上したら竿を立てて船内に取り込む。
東京湾に春を告げる癒し系今年も開幕メバル・カサゴ
2月1日、エビメバル解禁の模様をお届けするため、東京湾奥東大井の「いわた」のメバル・カサゴ船に乗船した。
6時半ごろ船着き場に到着。
メバル・カサゴが得意な古高亘船長にあいさつすると、初日のためなるべく多くのポイントを探ってみたいとのこと。
私を含めて乗船者8名で定刻より少し早めの7時過ぎに出船となった。
メバル、カサゴは東京湾のほぼ全域に生息しているが、同船が狙う釣り場は神奈川県側の川崎沖や横浜~本牧沖の水深20~30m前後、護岸や建造物の周辺の岩礁帯や根周りなど。
古高船長が最初に選んだ釣り場は横浜沖の水深15m前後。
右ミヨシの方が20cm級のメバルを釣り上げ幸先のいいスタートを切ったかに思えたが、まだ寒いためかメバルの活性は高くなくバリバリと入れ食いになる感じではない。
何カ所かポイントをずらして粘ってみたが、カサゴのみで本牧方面へ向かう。
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▲このサイズになると引きも強い
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▲メバルは15~20cmがアベレージ
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カサゴ優勢の展開
メバル・カサゴ船はアタリがなければ次つぎとポイントを移動する。
古高船長もポイントの見極めが早いため、釣っていて飽きることなく楽しめる。
9時過ぎ、本牧沖の水深20~30mで再開。
そろそろ潮が効いて食い出すはず……と思っていたら、まさにそのとおりになった。
護岸に沿って流し始めると船内あちこちで竿が曲がり、メバルがポツポツ釣れると今度はカサゴが次つぎとヒット、メバルを上回る勢いで釣れてくる。
仕掛けが着底してすぐにゴゴンと派手なアタリが出て、まるでエサが落ちてくるのを待っているかのような食いっぷり。
本牧沖では同じポイントを狙い続けると場荒れするので、船長は食い気のある場所を転々と探っていく。
右トモ2番の川上さんが上バリにメバル、下バリにカサゴのダブルを披露。
「仕掛けが着底したらオモリ1個分底を切るイメージでアタリを待っていたら強いアタリがきて、上げたらメバルとカサゴのダブルでした」と川上さん。
おそらくカサゴが掛かったことで仕掛けが動きエビエサが踊って誘いとなり、メバルが食ってきたのかもしれない。
カサゴは大中小と交じるがメバルは20cm前後が主体。
このサイズのメバルなら引き味も十分堪能できるし食べてもおいしいのだが、皆さんは満足していない様子。
続いて向かったのは川崎沖の建造物周り。
ここは良型の実績が高いポイントらしい。
開始早々に左ミヨシの霜鳥さんの竿が絞り込まれ、上がってきたのは26cmの良型メバル。
さらに24cmのメバルを追釣すると、これを皮切りに左ミヨシ2番の清水さんと右胴の間の高橋さんがそれぞれ20~25cm級を3尾ずつ釣り上げた。
その後アタリが遠くなり、再び本牧沖へ。
カサゴは飽きない程度に竿を曲げてくれ、14時半に沖揚がり。
釣果は15~26cmをカサゴ交じりで一人5~30尾(当日はメバル2割、カサゴ8割)。
シーズン初期は主に水深20~30m前後を狙うが、水温が上がるとともに10mを切る浅いポイントでも釣れ始めるそうだ。
それにともないメバルの活性も高まるので釣果アップも期待できるだろう。
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▲解禁日を心待ちにするメバルファンは多い
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▲上バリにメバル、下バリにカサゴ
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船宿INFORMATION
東京湾奥東大井
いわた
03・3471・1322
備考=予約乗合、7時半出船。
ライトアジ、シロギス、タチウオ、カワハギ、各種リレーへも出船
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隔週刊つり情報(2024年3月1号)※無断複製・転載禁止