釣り人なら自分で釣り上げたマダイで祝い膳を飾りたいもの。
何かと忙しい年の瀬におすすめしたいのが、都心からもアクセスがいい東京湾のコマセダイだ。
三浦半島久里浜港の網屋丸では久里浜沖の水深40mを狙い0.5~1.6kgのマダイがトップ4~5枚の釣れ具合。
推奨仕掛けはハリス4号8m、目下のところワラサも交じるのでハリス8号6m前後の仕掛けも用意しておこう。
ここ数年は冬になっても深場に落ちることはなく、水深40~50m前後のポイントをメインに狙っている。
また、最近は寒くなると数、型ともによくなる傾向とのことなので今後も期待できそうだ。
![釣行の写真]()
年の瀬は東京湾で正月用のマダイを釣り上げよう!
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釣り物多彩! 久里浜沖の船団
![船の写真]()
久里浜沖には連日のように船団が形成されている
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11月下旬、釣り場は久里浜沖の40mダチ。
連日船団ができているが、そのほとんどが根の中心部分を狙うワラサ船、コマセ五目船、カワハギ船だ。
網屋丸も傍目には船団で釣っているように見えるが、船団の中(根の中心付近)を釣るようなことはなく、根の際を狙っている。
船団の中の船の釣果がイサキ、イシダイがメインなのに対し、網屋丸はあくまでマダイ狙いに徹し、この日も船中15枚とマダイ船の面目躍如の釣果だった。
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ここ数年は冬になっても深場に落ちないとか
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タナ取りは海面から コマセカゴはFLサイズ
三浦半島久里浜沖はコマセダイの黎明期より実績のある釣り場だ。
以前は冬場に入るといわゆる落ちダイの時期となり、水深90mほどの深場を狙っていたが、最近では深場へ落ちることなく厳寒期でも水深40m前後での釣りとなっているようだ。
聞けばコマセダイ船が隆盛を誇った久里浜港も、今や周年コマセダイ専門で出るのは今回取材した網屋丸ともう一軒だけらしい。
11月下旬現在の釣り場は航程15分ほどの久里浜沖。
ポイントには船団ができているがほとんどがコマセ五目船やワラサ船で、カワハギ船の姿も見える。
網屋丸も船団に交じるように釣るが、終始船団の端をキープする。
コマセ五目船などが根の中心部を釣るのに対し、根の際であくまでもマダイ狙いを貫くスタンスだ。
それこそ船団のすぐ横で釣りをしているのだが釣れる魚種は大違いで、根の上を釣る船はイサキを中心にイシダイやカワハギ、ウスバハギなどで、根の際を釣る網屋丸はアタればほぼマダイといった感じ。
ただしワラサは回遊次第、普通は根の上が有利とあって当日も船団の中心部分をワラサ船が陣取っていたが、朝イチにアタリが連発したのは根の際の網屋丸だった。
ポイントへ到着後の朝イチに出された指示ダナは上から30m。
久里浜沖のコマセダイといえばポイントに船を停めて、タナも下(底)からでハリス分マイナス2mとかだと思っていた私は、「それはずいぶん昔の話ですよ」と船長に笑われてしまった。
確かに久しぶりの久里浜沖のコマセダイだった……(苦笑)。
今でもポイントを1隻でやるようなときには下からの指示ダナを出すこともあるそうだが、ほとんどは海面からの指示とのこと。
ただポイントの上に船をビタ停めする(潮に乗せて流さない)のは、今も昔も変わっていないとのこと。
ビシを下ろす位置、コマセワークは基本どおりでよいそうで、指示ダナ+ハリスの半分(指示30mでハリス10mなら35m)までビシを下ろし、コマセを振りながらリールを巻き、30mに合わせる。
リールのカウンターではなく道糸のマーカーで合わせるのは、久里浜沖に限らずどの釣り場でも共通のお約束。
30mの道糸マーカーが海面ちょうどにくるよう合わせる。
ちなみに船によっては「指示ダナは厳守!」で落とし込み誘いをするにもビシは指示ダナまでで、それより下を狙いたい場合はハリスを長くしたりガン玉を打ったりすること、と言われたりするが、網屋丸ではそれほどこだわらないそうだ。
「あくまでも遊びですからねー。工夫もできないとつまらないでしょ?(笑)あまりにオマツリが多くなるなど人に迷惑がかからなければ仕掛けも長くしたりテーパーにしたり、2本バリやガン玉を打ったりと、自由にやってもらって構いません。タナも同様で多少なら色いろ試してもらっていいですよ。あまりひどいようなら注意しますけど」
とコマセダイ船担当の三冨智明船長。
アタリが出ないときに色いろと工夫の範囲が広がるのはありがたい。
それが釣果に結び付くかはともかく、なんやかんやと試してみたくなるのが釣り師の性ですからね(私だけ?)
ワラサに備えて最適なドラグ設定を
この日のワラサは根の際を回遊していたようで、朝の1投目からズドーン!ズドーン!とあちこちで竿が海中に突っ込んだ。
上がってくるのは丸まるとしたワラサで、4kgはありそうな良型だった。
右トモ、左トモ2番、右トモ2番、左胴の間、左トモと次つぎと上がって、中にはこの日初めての沖釣りという若者も乗っていたが、同行者のアドバイスを受け見事人生初のワラサを釣り上げていた。
仕掛けは、朝イチなのでワラサ狙いでハリス6~10号の方もいれば、あくまでマダイ狙いの延長と4号の方、ワラサがきてもいいように5号の方など様ざまだった。
仕掛けはマチマチでも全員共通していたのが電動リールでのヤリトリ。
それぞれのハリス強度に合わせてドラグを設定しておき、電動巻き上げでヤリトリする。
以前はご法度扱いされるヤリトリだったが、電動リールのドラグの進化もあり最近は推奨する船も多くなった。
私も同じ考えで〝ヘタに手巻きでポンピングするよりキャッチ率は高い〟に賛成だ。
ドラグ設定は、ハリス4号ならリールの前で道糸を片手でやや強めに引っ張ってスムーズに出る強さに、ハリス8号なら両手でやや強めに引っ張って出る程度に設定する。
片手でとか、やや強めとか、かなりアバウトであくまで目安ではあるが、しっかりとしたメーカーのハリスなら経験上この設定でまず大丈夫、オマツリ以外では切られたことはない。
ドラグが緩過ぎてもマダイならそれほど問題ないが、ワラサの場合はオマツリが多発し取れる魚も取れなくなる。
走られたときにはしっかりと糸を出し、ワラサが止まったら強気でガンガン巻いてヤリトリ時間を短くするのも確実に取り込むためのコツだ。
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釣り始めはワラサに備えてハリス8号にしておくのも一手
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久里浜沖はワラサの群れも濃厚
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3つのエサ取り対策で久里浜沖のマダイを攻略
私も途中から竿を出す。
ワラサに備えて持参したのは、全長3mでやや硬調なオモリ負荷50号のマダイ竿。
ハリスは6号6m、クッションゴムはロングライフクッションの1.5mm径1mで臨むことにした。
しかしワラサの回遊は一段落し、モーニングタイムは終了していた。
では、ということでハリスをハリの部分でカットして6号のサルカンを結び、そこから先はハリス4号4mの2本バリとした。
上ハリス6m+下ハリス4mのテーパー2本バリ仕掛けだ(ここまでを想定しワラサ狙い時に6号6mハリスとしていて、省エネ仕掛けと自画自賛)。
ワラサがいなくなったせいかエサ取りがものすごく、3分と付けエサが持たない。
エサ取りの正体は近くにカワハギ船がいることからもカワハギやウマヅラの類と想像するが、ハリが取られていることもありサバフグもいるようである。
インターバル3分で何度もビシを入れ直すがそのたびにハリはスッカラカンで、エサ取り対策その①へ。
それまでコマセカゴ(当日はプラビシFLサイズ、オモリ80号)の調整を上窓全開、下窓6~7mm(オキアミの幅分)としていたが、下窓を全閉する。
竿を意識的に振ったときだけポロッとコマセが出るようにするためで、詰めるコマセも半分以下にする(詰め過ぎるとほとんど出ない)。
それでもエサ取りの猛攻は続いたので、エサ取り対策その②へ。
仕掛け投入時、指示ダナの30mでビタ止めし、それより下に下ろさない。
その位置で仕掛けが潮になじむのを数秒待ち、軽く2回ほど竿を振ってそのまま置き竿に。
これでもインターバル3分でハリはスッカラカンに。
ではエサ取り対策その③へ。
ビシを30mまで下ろし軽くコマセを1~2回振り、すぐに5m巻き上げてタナ25mで置き竿にする(要するにタナを5m上げる)。
時には竿を振らずに25mで待つようにすると、さすがにエサが取られることは少なくなった。
ただこのままではマダイも食ってこなさそうだったので、リールから糸を引き出して少しずつ落とし込んでいく。
30mの指示ダナまで落とし込んでしばらく待ち、アタリが出なかったら25mまで電動のデッドスローでゆっくりと巻き上げていく。
これを何度か繰り返しているうちに、オキアミの頭だけが取られるエサの残り方をすることもあった。
このエサの取られ方に気をよくして続けていると、30mまで落とし込んでしばらく待っているときにストン!と竿先が海中に沈み込んだ。
ワラサのようにフワフワッときてギューン!ではなくアジやイサキのようにクンクン!キュンキュン!でもない。
マダイの最初のアタリはあくまで静かに上品に(?)竿先を滑らせるように海中に引き込むのだ。
竿を持ってヤリトリ開始。
まずは段引きといわれるゴンゴンゴン!と強い引き込みがくる。
これは竿の弾力でかわし、あとは電動巻き上げでのヤリトリ。
途中二度三度と引き込みがくるが、ドラグが出るほどではなく電動の巻き上げが止まる程度で、それほどの型ではないと知れる。
それでも水深が浅いこともあり海面下まで元気一杯で、船長にタモ取りされたのは1kg級のまずまずサイズ。
久里浜沖らしい体高があって色もキレイ、見るからにうまそうなマダイだった。
9時ごろにはワラサの回遊の第二波があって、それも一段落すると船長は船団を離れやや南寄りへとポイントを移動した。
指示ダナはやや深く39m。
ここでもマダイがポツポツと上がって私ももう1枚追釣。
先ほどの場所よりもエサ取りは少ないが、それでも5~6分が限界で、それ以上置いておくとハリは空っぽで上がってくる。
ラストはまた朝の場所へ戻り、トリプルヒットのシーンもあるなど数枚を追加して沖揚がりとなった。
釣果は0.6~1.5kgのマダイを一人0~4枚で船中15枚。
ワラサはトップ4本が2名でこちらも船中15本だった。
今後も網屋丸では久里浜沖のマダイをメインで狙う(別船で一つテンヤ船もあり)。
「ここ数年、寒くなってくるといい釣りをすることが多いですからこれからですよ」と船長。
年末年始のコマセダイ釣り場として楽しみな存在だ。
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アベレージは1kg前後
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当日は4名がマダイを2枚釣り上げた
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I N F O R M A T I O N
三浦半島・久里浜港 網屋丸
070・4493・5220
▼備考=予乗合、6時集合。一つテンヤへも出船
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