今や周年の釣り物として定着している東京湾のタチウオ。
秋を迎えてさらに好況で、アジやシロギスと並ぶ安定株と言っても過言ではないだろう。
9月中旬に取材した東京湾奥川崎のつり幸では、走水沖の水深60~70m前後を中心にテンビン仕掛けのエサ釣りで狙い、中小型主体に1mオーバーを交えつつ、いい日はトップで40~50本以上釣れている。
このところ良型が増えてきており、110~120cm級もポツポツ取り込まれている。
秋のタチウオもこの調子で楽しめそうだ。
![仕掛け]()
▲仕掛けはハリス7~8号2mの1本バリが標準。逆テーパー仕掛けも人気。オモリは60号と80号。エサはコノシロの切り身
出典:
9月13日、東京湾湾奥の老舗船宿、川崎のつり幸へテンビンタチウオ釣りでお邪魔した。
このところの釣果はトップ40~50本。
数釣りが魅力のテンビンタチウオでもかなり好調だ。
しかも130cmを超える大型もキャッチされており、期待に胸を膨らませる。
船宿で船長に話を伺うと、「トップはかなり上手な方ですが、そうでない方でも数、型ともに十分楽しめますよ」とのこと。
期待を抱いた釣り人を乗せて6時50分に出船。
1時間ほどで航路寄りのポイントに到着。
「はいどうぞ、やってみてください。水深63m。まずは底か7mくらいを探ってみてください。
今回は底からですが、タナの指示は基本的に海面からになりますので、カウンターの数字をあてにせず、必ず糸の色で見てください」とのアナウンスでスタート。
知っ得!エサ付けに始まりエサ付けに終わる
タチウオ釣りはとくにエサ付けが命で、エサ付けによって釣果が大きく変わる。
今回提供されたコノシロの切り身は身側からハリを刺す。
場所は端から4~5mmの真ん中で中心から少しでもズレると台なしになってしまうので要注意。
皮側に抜いたハリ先をすぐ中心線上に刺して身側へ抜く。
抜いたら切り身をハリの上部までこき上げて、もう一度皮側から身側へハリを刺す。
最後に真っすぐ付けられているかチェック。
少しでも曲がっているとエサが回ってしまい、食いが極端に落ちてしまう。
Tackle Guide
竿は専用竿でもゲームロッドのほか軟ら子は8:2くらいの硬めがおすすめで、キビキビとした細かい誘いを軟らかい竿でやろうとするとなかなか大変だ。
仕掛けは逆テーパーやストレートなどを状況により使い分けるのが望ましい。
長さは2mを主体に、今回のような食い渋り時用に2.5mもあるといい。
朝イチはアタリ活発
タチウオ釣りはタナ取りが命。
指示ダナより仕掛けを下げると、魚が沈んだり、反応が消えたりするので、必ず船長の指示を守ること。
釣れるものも釣れなくなってしまうのでご注意を。
着底直後からアタリは活発にあるようで、すぐに数人が本命をヒット。
サイズは小型中心だが1mオーバーも1本交じった。
釣り方は短いピッチのノーテンションフリーフォール。
ゆっくりと誘う方にもアタリはあるものの、ハリ掛かりせずにエサをかみ切られるケースが多かった。
実はこのエサの取られ方はタチウオにハリを見切られている証拠。
誘いのピッチを上げたり、シャクリを強くしたりするなどして魚に見切られないようにするとハリ掛かりへと至るケースが多い。
ハリを飲まれて切られる方がいる中、流行りの逆テーパー仕掛けを使っている方が順調に釣り上げていた。
しかし好調だったのもつかの間、すぐに渋くなってしまい移動となる。
続いてのポイントは走水沖の通称「台船の東側」。
到着時には船団ができており、ヘリに沿って横一直線に船が並んでいた。
このタイミングで筆者も釣りスタート。
始めは全長2mの逆テーパー仕掛けにして、早めのノーテンションフリーフォールで探っていく。
すぐにアタリがあり、無事フッキング。
指幅3本級のレギュラーサイズを取り込んだ。
その後も同じ釣り方でコンスタントにアタリがあり、同サイズのタチウオを数本ゲット。
しかしだんだん渋くなっていき、アタリはあっても食い込まずハリ掛かりまで至らないケースが増えていく。
そこで逆テーパーはそのままに仕掛けの全長を2.5mに。
すぐに1本ゲットするもその後はのびず。
チモトの太いハリスを嫌っているのかと思い逆テーパー仕掛けをやめ、2mのストレート仕掛けに変更するとすぐに掛けられるようになったものの、やはり長くは続かない。
船長に状況を伺うと、「他船もみんなテンビン釣りは苦労しているみたいですよ。反応はそこかしこにあるけどなかなか口を使ってくれないみたいです」とのこと。
前日までと潮の濁り方が変わってしまったらしい。
![釣行の写真]()
▲つり幸ではテンビン仕掛けのエサ釣りをメインにルアー釣りも便乗できる
出典:
シンプルな仕掛けで連発
ここで船内を観察しているとコンスタントに釣り上げている方を発見。
話を伺ってみると、2.5mのストレートの仕掛けを使っているとのことで、装飾品の類は一切なし。
しっかりと誘いは入れるものの、誘いと誘いの間に長めのステイを入れている様子。
その釣り方を周りの方が実践するとすぐに結果を出す。
基本的には少し活性が低くても、早め強めの誘いで活性の高い魚を拾っていくのがいいとされるタチウオ釣りだが、やはり限度はある。
ちなみに渋いときに有効とされている電動置き竿デッドスロー巻きを試している方がいたが、アタリはあるものの一向にハリ掛かりしないとのこと。
反応の出る幅や高さが頻繁に変わっていたので、それが原因だと思われる。
このように色んな釣り方を試して、そのときに合った最適解を見つけるのもタチウオ釣りの魅力の一つ。
いち早く答えを見つけて、一人だけ爆釣する快感は病みつきになる。
最後のポイントは先ほどの台船の西側。
再開してしばらくは難しい状況が続いたが、午前船やショート船が沖揚がりしたタイミングで活性がやや上向きに。
船数が減ってやる気スイッチが入ったのかは定かではないが、タチウオが取り込まれるペースが上がる。
アタリが遠くても誘い続けていた初挑戦の方や、慣れていない方も着実に釣果をのばしていく。
しかも今までより釣れるサイズが少し大きくなっていた。
このタイミングで初挑戦の方が当日最大の115cmを釣り上げた。
ドラゴン級の120cmには届かないが、テンビン仕掛けのエサ釣りでこのサイズが釣れれば大満足だろう。
最後まで強烈な引きを楽しんでいて実にうらやましい限り。
釣果は70~115cmのタチウオがトップ21本でオデコはなし。
釣果が控えめだった方にも仲乗りさんが釣ったタチウオをお土産として提供。
皆さん笑顔で帰宅していた。
当日は渋めの日に当たってしまったが、変な濁りに慣れたのか、翌日から復調。
まだまだ楽しめそうだ。
最後に小型のタチウオは敬遠されがちだが、個人的には小さいほうがおいしいと思っている。
天ぷらにしたり、骨まで食べられるくらいにしっかりと揚げた空揚げは絶品。
リリースしても生き残るのが難しいと言われるタチウオ、ぜひ持ち帰っておいしく食べてあげてほしい。
![釣行の写真]()
▲アベレージサイズは70~90cm
出典:
![釣行の写真]()
▲当日最大は115cm
出典:
船宿INFORMATION
東京湾奥川崎
つり幸
044・266・3189
▼備考=予約乗合、6時50分出船。
アジ、シロギス、フグへも出船
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隔週刊つり情報(2024年10月15号)※無断複製・転載禁止