6月1日に解禁した三浦半島剣崎沖のイサキが絶好調だ。
トップ50尾オーバーは当たり前で、好日には束釣りも珍しくない釣れ具合。
丸まる太った30~35cm級の良型も交じり、脂の乗った極うまイサキを心待ちにしている釣り人を喜ばせている。
釣り場は航程30分の吉野瀬で、指示ダナは海面から12~17mほど。
幅を持って出されるため、いち早く当たりダナを探し出して集中的に狙うのが数をのばすコツ。
剣崎沖のイサキは様ざまなタイプの仕掛けが使われるのも特徴で、ウイリーやカラーバリなどの擬餌バリ仕掛けで釣る人もいれば、空バリ仕掛けにオキアミやイカタンなどを付けて食わせる人もいる。
7月は一番の釣りどき、ぜひお出かけを!
![釣行の写真]()
頭が小さく体高があるのが当地のイサキの特徴
出典:
付けエサを持参しよう
イサキ釣りは、食いが立っているときはウイリーなどの擬餌バリで手返しよく釣り、渋くなったらオキアミやイカタンを付けると効果的なので付けエサを持参しておくことを忘れずに。
また、エサを付けるとイシダイやメジナなどのヒット率も高くなる。
![エサの写真]()
付けエサはオキアミやイカタン
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イサキは早いところでは3月より乗合船がスタートするが、剣崎沖では毎年6月1日に解禁を迎える。
もっと早い時期からでも釣れないわけではないが、狭いポイントゆえ早い時期から攻め続けてしまえば、最盛期を迎える前には場荒れしてしまう。
解禁ルールが設けられてからだいぶ年数がたつが、釣期を8月末までと限定したことにより資源も守られ、安定した釣果に恵まれるようになった。
剣崎から東南東に突き出るように張り出す一帯の瀬を松輪瀬と呼んでいるが、その先端に位置するのが吉野瀬だ。
海底地形図を見てみると最浅水深は18m。
その先をさらに進むと水深500m以上に達する東京湾海底谷へ続く急深な地形となっており、複雑な潮流と東京湾奥からの栄養素に富んだ潮が通ることでエサが豊富で魚種多彩、豊かな漁場が形成されている。
そんな環境で育まれたイサキは頭が小さく体高のあるメタボ体形が特徴。
釣れるサイズは大中小交じりで、潮に適度な濁りが入った好条件であれば30cmを超えるサイズも珍しくないが、アベレージとしては20~25cm。
伊豆や外房エリアのイサキになじんだ人には物足りなさを感じるかもしれないが、意外なことに小さいほうが脂の乗りがよく、うまいと言われているのも当地のイサキの特徴でもある。
前置きが長くなってしまったが例年解禁当初はイサキがまだコマセ慣れしていないところもあり、控えめな釣果となるパターンが多い。
ところが今シーズンは初日からトップ50尾を超える好スタートを切った船もあり、今回取材した成銀丸では6月3日にトップ1束を超える釣果を記録。
ゲストもイシダイやメジナ、マダイ、クロダイのほか、今シーズンはコショウダイがよく上がっているようだ。
![釣行の写真]()
当地のイサキの魅力は食味のよさにもある
出典:
オモリ 40~60号が標準 ウイリー巻きが剣崎流
当地のイサキ釣りは20年ほど前まではコマセダイと同じ80号のビシを使用していたが、現在は南房や外房エリアと同じ40~60号を使用している。
ビシのサイズはサニービシであればFLサイズまでが規定だが、オモリ40~50号であれば潮流を考慮してライトFLやちびライトなどのスリムタイプをおすすめする。
ほかにも意外にマッチするのがカッタクリで使うステン缶の50号だ。
コマセ穴の調整もいらず、ポロポロと適度にコマセを放出してくれる。
愛用している常連さんも多く、成銀丸のレンタルタックルでもこのステン缶が用いられている。
なお剣崎沖のイサキ釣りは、一般的なラインが立つように船を流す操船ではなく、根から船が流れないように常に前進をかけながら定位置に留まるように操船されるので、アンカーを打ったときと同様にもろに潮流の抵抗を受ける。
潮が速いときは40号のビシだと潮に流されて釣りにくくなることもあるので、ビシは50号、60号と各サイズを用意しておくことをすすめる。
また釣り座が潮上となった場合は、80号を使うのも一手だ。
オマツリの軽減にもなる。
竿はコマセが振り出しやすく、一日シャクリ続けても持ち重りしない7:3調子で全長1.8m前後のゲームロッドが適している。
リールは小型の両軸または電動。両軸の場合はハンドルが長めのタイプのほうが力が入りやすく、巻き取りが楽である。
道糸はタナを正確に把握できるように1mごとにマーカーが入ったPE1.5~2号を200m以上巻いておき、先端を10mごとの色変わりに合わせておく。
船宿で購入できる仕掛けは全長2.5~3m、ハリス1.5~1.75号、チヌ0.8号のウイリー巻き4本バリ。
エサを付ける展開も考えて、枝バリはウイリー巻き+先バリは空バリ、または空バリ3本仕掛けなども用意しておくとよい。
イサキの活性が高いときはウイリーのみのほうが効率はいいが、イサキは目の利く魚。
潮が澄んだりしてしまうと途端に口を使わなくなってしまう。
そのようなときはオキアミやイカタン、バイオベイトなどの付けエサの使用が有効だ。
ただし、船宿からは付けエサの支給はない。
各自持参となるのでお忘れなく。
ちなみにオキアミはマダイやワラサ用のLやLLサイズでは大きいので、ハリの大きさに合わせてMサイズがおすすめ。
そのほかの食い渋り時の策として、クッションゴムを長さ50cmに替えてみたり、仕掛け上部に4号程度のリーダーを1mほど足すなどして、仕掛け全長を長めにしてみると効果がある場合も。
コマセを振り出しながら指示ダナの範囲を探る
釣り場の水深は20m前後。
取材当日のタナは12~17mだったが、おおよそ5m前後の幅で指示されることが多い。
この範囲をコマセシャクリ釣りで狙う。
投入は釣り座が右舷であればミヨシ側となる左手で竿を、トモ側の右手でビシを持ち、振り子の要領で軽く前方へビシを振り込み、指示ダナの下限まで落とし込む。
このとき潮が速い場合は完全フリーにすると道糸が大きくフケてしまうので、サミングしてテンションをかけながら下ろしていくと糸フケを抑えられてオマツリも軽減できる。
仕掛けが指示ダナの下限まで下りたら、竿先を下げた状態から水平位置くらいまで(30~50cm幅)キュッとシャクリを入れてコマセをまく。
2~10秒ポーズを入れたところでリールのハンドルをひと巻きしながら竿先を下げ、再度キュッとシャクる。
これを指示ダナの上限まで繰り返し行い、2往復したら仕掛けを回収しコマセを詰め直して再投入する。
この動作を基本とし、1シャクリごとのポーズの間を変えてみたり、3~4回シャクリ上げたら10秒ほどポーズを取る、またはチョンとコマセを振ってゆっくりとリールを巻くなどコマセの振り方を変えてその日の当たりパターンを探していく。
上のほうのタナで釣れた場合は次からは下限ダナまで下ろさず、釣れたタナの2m下からシャクリ始めるといった具合に、アタリが出たタナを集中的に狙ってみると効率よくヒットさせることができる場合も。
アタリはクククッ、キュンと竿先に明確に出るので軽く竿を立てるように合わせを入れる。
シャクリを入れたと同時にガツンとくる出会い頭的なアタリの場合はこれで合わせはOK。
ハリ掛かりを確認したら、すぐには巻き上げず、2mほどゆっくりと巻き上げていくと2尾目、3尾目と追い食いし、効率よく数をのばすことができる。
ただし、ハリスが細いので型がよさそうと感じたら追い食いは狙わず、大事に巻き上げに入ったほうがいい。
コマセカゴの調整
コマセはポロポロと少しずつ振り出すのが理想。
下限ダナで一度にドバッと振り出してしまうとイサキが浮いてこないばかりか、コマセを追って船下から離れていってしまう。
コマセカゴの放出窓は上部は4分の1~3分の1開ける程度、下部は全閉にし、コマセは8分目ほど詰める。
タナ間を2往復したら仕掛けを回収するが、この時点でコマセがカゴの中にわずかに残っている程度であれば放出窓の調整とシャクリのバランスが合っていることになる。
6月15日、三浦半島剣崎松輪港は多くのイサキ狙いの釣り人で各船満席と大にぎわい。
成銀丸18号船も20名が乗船。
開幕から連日好調。前日もトップ1束を超える釣果とあって、皆さん釣り談義に大盛り上がりだ。
準備が整い5時15分に岸払い。
港口を出るといったん待機して5時半になったところで一路、吉野瀬を目指す。
15分ほどのクルージングでポイントに到着。
イサキ狙いの船が集結し、あっという間に大船団が形成される。すぐさま開始のアナウンス。
「タナは12~17m。チョンとコマセを振ってリールをひと巻き、これを繰り返しながら12mまで探ってみて」
「コマセを一度にまくと仕掛けが目立たなくなるし、魚も浮いてこなくなるからね。ポロポロとね」
「反応が一番濃いところは14~15mだけど、そこで待っているだけでは食わないよ。12~13mまでシャクリ上げてきたところで仕掛けがちょうどいいところに入るから、コマセの帯に通しながら上げてくればそこでアタリがくるよ」
仕掛けが投じられると、潮はかなり速くトモ側へ鋭角に入り込む。
さっそく何名かにアタリがあり、20cm前後のイサキが取り込まれた。
これを皮切りにモーニングラッシュ突入かと思われたが、パタパタと釣れ上がったあとはパッタリ。
釣り場到着と同時に気になっていたのが潮色。
まるで南国の海のように澄み切っている。
「いい潮になっちまったなあ。こりゃヤバイなあ」と船長。
目が利くイサキは潮が澄むとしっかり仕掛けを見切ってくる。
![釣行の写真]()
小さくても脂はよく乗っている
出典:
澄み潮に苦戦 !?
左舷ミヨシ席の清水さん親子は失礼ながらも手つきを見る限り初心者のようで、速い潮とオマツリに悪戦苦闘の様子。
出しゃばりではあるが、娘さんの茉莉衣さんに釣り方を伝授。
「潮が速いので仕掛けを下ろすときは道糸が張り気味になるようにスプールを親指で押さえながら下ろしてみて」
「潮が速く実際に出ている道糸の長さ分まで仕掛けは下りていないから、あと3m下ろしてみよう」
「チョンとコマセを振ったら、リールのハンドルをひと巻きして、またチョンとね」
すると竿先がキュキュンッと引き込まれるアタリ。
「あっ、きた!」
「よし、巻いてみようか。ビシが見えてきたらキーパーに竿をかけて、ビシをコマセオケに入れたらハリスをつかんで魚を取り込むよ」
危険とみなしたとき以外は一切手を出さず、すべて本人にやらせるのが私流の教え方。
「わっ、釣れた!」
本日一発目の画撮りはこれ以上にない純粋無垢な笑顔だった。
コマセを詰め直して投入すると、またアタリ。
「今度はすぐに巻き上げず、2mくらいゆっくり巻いてみよう」
1尾取り込んだところで、「あっ、もう1尾いる!」と2尾目を取り込む。
ダブル掛け成功だ。
イカタンやオキアミを付ければ多少は違うかもしれなかったが、ほとんどの方が持参しておらず、結局釣況は好転することなく12時の沖揚がりを迎えた。
トップは15尾くらい。
かの茉莉衣さんは激シブ釣況の中、その後2尾を追加。
最後までシャクる手を止めずに頑張り、レクチャーの結果を出してくれたことに感謝だ。
翌日も全般に釣況は渋めのようだったが、翌々日には潮も直り、再びトップ1束を超す釣果。
今シーズンはよほど悪い日でもなければビギナーでも20~30尾は堅い釣況が続いている。
成銀丸では竿、リール、ビシのレンタルは無料。
沖釣り入門には最適な剣崎沖のイサキ釣りにチャレンジしてほしい。
![釣行の写真]()
ビギナーでも20~30尾は釣れる
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![釣行の写真]()
当日は潮が澄んでソウダガツオが回遊していた
出典:
INFORMATION
三浦半島・剣崎松輪港 成銀丸
046・886・1719
▼備考=予約乗合、5時半出船。仕掛け常備。アジ、マダイへも出船
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隔週刊つり情報(2024年7月15号)※無断複製・転載禁止