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[ツリガチ!(第14回)]茨城県日立沖のバチコンアジング

隔週刊つり情報編集部

ヨッシーこと吉岡進がエサ、ルアー釣りを問わず様ざまな釣り物にガチでチャレンジしていく連載「ツリガチ!」。

第14回は茨城県日立沖のバチコンアジング。

バチコンとはバーチカルコンタクトの略称で、軽量のジグヘッドに3in前後のソフトルアーを付けた胴つき1本バリ仕掛けを船下に投入してアジを狙う釣り方。

6月下旬に釣行したのは茨城県日立久慈漁港の釣友丸。

当宿でバチコンアジングがスタートしたのは今年6月。

本誌コラム『釣具店の独り言』でおなじみのジャイアント水戸南店の大山雅幸さんが、SLJ(スーパーライトジギング)でアジが釣れたので試しにバチコンで狙ったところよく釣れたというのがきっかけ。

これを機にバチコン、SLJ、サビキなど自由な釣り方で楽しめるアジ船が始まった。


林一船長が船を向けた釣り場は日立沖の水深30~50m前後で、根に着いたアジを狙う。

ポイントに到着すると1投目からアタリがありアジがヒット!

まるでイナダでも掛かったような強い引きでスリル満点なファイトを楽しむヨッシー。

しかしながらあと少しの所まで寄せてきたがバレてしまう。

その後、良型のメバルやオキメバルが釣れ上がり、再びヨッシーがアジを掛けた。

ギュンギュン走り回りながら上がってきたのは36cm。

これはアベレージサイズで40cmオーバーも釣れるらしいので期待は高まる。

今回は、日立沖のアジにバチコンスタイルで挑んだヨッシー。

バチコンアジングタックル

バチコンの釣り方イメージ

船長の指示ダナを探る。

たとえば「25mから底まで反応があります」とアナウンスがあれば、仕掛けを底まで落とし、着底したら糸フケを取り、3回竿先を揺らしてソフトルアーをアピールさせ、5~10秒止めて食わせの間を入れる。

これを海面から25mまで繰り返し誘い上げる。アタったらロッドを立てて即合わせする。

都心から140kmほど離れた茨城県日立久慈漁港に集う男ども。

空を眺め、海を眺め、船着き場で静かに揺れる釣友丸を眺めては、気合を高めている。

それぞれ、複数のタックルを抱えている。

竿は細身で、スピニングリールもベイトリールも小型だから、巨大魚狙いというわけではなさそうだ。

だが、空気は張り詰めている。

ライトな装備の割に、ものものしい雰囲気である。

「よし」

「うし」

「おし」

活を入れ、釣友丸に乗り込んだのは、ツリガチ取材班の面々だ。

いつもお気楽にテキトーなトークを繰り広げてはバカ笑いする連中だが、今日は少しばかりガチな面持ちである。

ヨッシーこと吉岡進プロ、その釣友としてほぼレギュラーメンバー化しているイチロウこと鹿島一郎さん、そして万年ビギナーの座を不動のものとしているライターのタカハシゴー。

全員が船上の人になるいなや、「じゃ、出発しますね」と、若船長の若林一さんが船を出した。

午前4時45分、梅雨明けの朝日はまだ柔らかかった。

日立沖はベタナギだ。

とろんとした滑らかな海が、男どもを出迎える。

港を離れ20分ほどして減速すると、総員の目が緊張と輝きを増した。

いよいよだ。

行くぞ。待ってろ、アジ!

そう、今回のツリガチのターゲットは、日立沖のアジである。

しかし、ただのアジではない。

40cmを超えるギガアジを、ライトなタックルのバチコンアジングで釣ろうというのだ。

そりゃあ気合も入り、緊張感も高まるというものだ。

釣り場の写真

釣り場は日立沖の水深30~50m前後

釣友丸のアジ船はフリースタイル バチコン、SLJ、サビキもOK

バチコンアジングとは、船からソフトルアーを使ってアジを狙う釣法だ。

岸からのアジングは、ソフトルアーを投げて横方向にアジにアプローチするが、船からだと縦方向──すなわちバーチカルな釣りになる。

ソフトルアーをバーチカルにアジにコンタクト(接近)させる釣りだから、バーチカルコンタクト。

略してバチコンである。

三重や福井が発祥で、今や各地に広がっている人気ゲームだ。

東京湾でもバチコンアジングが浸透しつつあるが、ライトアジに同船するケースが主流。

コマセに着いたアジをソフトルアーで拾っていく釣り方で、本場に比べると、アジのサイズも小ぶりだ。

一方の釣友丸は、ガチのギガアジをランガンで狙う、本場さながらのスタイルである。

茨城県はコマセ釣りが禁止されている。その分、ソフトルアーを始めとするルアーにアジがよく反応する。

釣友丸のアジ船も、バチコンアジング、SLJ(スーパーライトジギング)、そしてサビキ釣りもOKのフリースタイル。

新しいアジ釣りのかたちとして注目を集めている。

 ……ということはつまり、日立沖のバチコンアジング盛り上げのために、我われは成果を出さねばなるまい。

取材班が緊張の面持ちなのは、当地で初めて体験する未知の釣りに対しての期待と、結果を出さねばならないという義務感とが入り交じってのことだった。

その緊張は、しかし、1投目でいきなり歓喜に変わった。

水深30mの根周りから釣りが開始されると、ヨッシーが着底と同時に良型のメバルを掛けたのだ。

「いわゆる着ドンだよ」とヨッシー。

「おいおい、この海域、すごいんじゃ……」

みんながそう言いかけた2投目、今度はメバルとは明らかに異なる強い引きで、ヨッシーの竿が大きく曲がった。

「アジだ! これはデカイ!!」

叫ぶヨッシー。

チリチリとドラグ音が響く。ヒザを曲げて強い引きをいなす。

「コッチも食った!」

ヨッシーとダブルで竿を曲げているのはタカハシゴーだ。

二人とも、チョンチョンチョンと細かく1mほど誘い上げてからスッとソフトルアーを止めるスタンダードな釣り方で、いきなり良型とおぼしきアジを掛けたのである。

そして、「ああーっ!」という嘆息は、ほとんど同時だった。

両者ともにバラしてしまったのだ。

突然のギガアジ(と思われる良型)の来襲に、総員ガチで放心状態だった。

「なんだ、この海域は……」

「どうなってるんだ……」

2尾を同時にバラしてしまった影響からかアタリは遠のいたが、ツリガチ取材班のワクワク度は高まるばかりだった。

「キタッ!」

声を上げたのは、またしてもタカハシゴーだ。

「うおっ、ヤバイヤバイ」と言いながらも今度は慎重にリーリングして、釣り上げたのは待望の良型アジだった。

尺は余裕で超えている。

「この釣り、すげぇ……」

言葉を失う。

よりによってタカハシゴーが1尾目。

しかもデカイ。

いったいどうなっているんだ……。

呆気にとられるヨッシーとイチロウをよそに、饒舌なタカハシゴーである。

「アタリは意外と小さいよ。モゾモゾッという感じだった。それを見抜いてバシッ!気持ちよ~く合わせが決まったね。いやあ、すんげえおもしれぇ!」

最近のツリガチ取材では1尾目を釣りガチなタカハシゴー。

「すんげえおもしれぇ」とは、ライターとは思えない貧弱な語彙ではあるが、日立沖バチコンアジングの魅力を見事に表していた。

釣行の写真

船中1尾目のアジはタカハシゴーがゲット

釣行の写真

当日はメバルは底付近、アジは底から少し浮いていることが多かった

とにかくデカい日立沖のアジ ファイトも実にスリリング!

そう、すんげえおもしれぇのだ。

釣りには色んな魅力があるけれど、日立沖のバチコンアジングはとにかくスリリングである。

細糸、細竿に、細軸の小さなハリのジグヘッドというタックルながら、掛かってくるアジは軒並み40cm近い。

当日は食い渋りでアタリが小さかったため、掛けるのもちょっとムズカシオモシロかった。

だがそれ以上に、掛けてからのスリルがたまらない。

ドラグ設定は弱めで、ラインを引き出しながら暴れるアジ。

ヨッシーも、そして万年ビギナーのタカハシゴーでさえも、「うひ~」「たまんねぇ~」と雄叫びを上げながら、ポツリポツリとナイスサイズのアジを上げていく。

意外にも苦戦していたのは、手練れのイチロウだ。

アタリはある。

何度もバシバシッと合わせるものの、うまくハリ掛かりさせることができない。

「うーん」とか「あっ」とか言いながら1尾目のアジをようやく釣ったのは、開始から3時間ほども経過してからだった。

アジの口元には、1gの小型ジグ、ジャッカル・ナノドロップがあった。

ソフトルアー+ジグヘッドと同じような感覚で使えるスーパーライトメタルジグだ。

「色いろやってたら、フォールへの反応がよかったので……。ジグヘッドより重めのナノドロップを使ってみたら、ようやく釣れましたよハハハ」

水深はおよそ40m。

底から20mの中層で掛けた貴重な1尾だった。

これを機に、イチロウも加速する。

試行錯誤でつかんだコツが正解だったことが、後に明らかになる……。

釣行の写真

ナノドロップでアジを上げたイチロウ

釣行の写真

釣れるアジのアベレージは30~35cm前後

釣りの魅力が凝縮されている 日立沖のバチコンアジング

ナギの日立沖に、ツリガチ取材班の嬌声が響く。

アジの引きは本当にアグレッシブで、イナダとヤリトリしているかのよう。

だから、1尾1尾の充実度がすごい。

大きなアジがタモに収まったときの歓声は、大物釣りにも負けていない。

「まぁ、今日はちょっとシブいようだけどね」と、ヨッシー。

「食ってくるときはみんな一斉にバタバタッとアタるけど、それほど長くは続かない。難しい日に当たっちゃったみたいだね。ただ、アタリが遠のくとアジを探してポイントを巡るランガンスタイルだから、竿を出しているコチラ側としては飽きがこないよね」

積極的に流し変え、ソフトルアーに反応するアジを追い求めてポイントを探し続ける、一船長。

船が止まり合図が出た直後の1投目が最も食ってくる可能性が高いことが判明し、ツリガチ取材班は船の減速と同時にサッとオモリを持ち、スキなく投入体勢を取るようになった。

釣り味が本当にスリリングで楽しいから、アタリが遠くても常に高いモチベーションをキープできるのだ。

「フリースタイルっていうのもいいよね」とタカハシゴー。

お仕着せを嫌う彼は、自由という言葉に弱い。

「今日はバチコンアジングだから」とストイックにソフトルアーで粘るヨッシーを横目に、SLJでオキメバル、ジャッカルのジグサビキ「SLJサビキ」でアジと、落ち着きなく色いろな釣り方で楽しんでいる。

「ゴーさんが色いろやってても釣れることから分かるのは、この釣り、だれにでもチャンスがあるってことなんだよね」

冷静に分析するヨッシー。

「シブかったから、自分なりに誘いを変えたりハリスの長さを変えたりしてみてるけど、正直、コレという結論はなさそうだね。 むしろ食い気のあるアジさえいれば、ゴーさんでも釣れる……ってことは、だれでも釣れることは間違いない(笑)。30m前後とちょっと深いポイントを舞台に、ちっちゃなソフトルアーで勝負をかけるバチコンアジングと聞くと『かなりトリッキーで難しい釣りかな』と思う人も多そうだけど、決してそんなことはないよ」

ヨッシーの言葉を裏付けるのは、一船長だ。

「いい反応は出てるけど、今日はなかなか口を使ってくれませんね……。でもいいときは、40~50尾ぐらいは当たり前のように釣れるんです。しかもフォールで食ってくるから、難しいアクションもいらない」

息を飲む、ツリガチ取材班。

「ゴクリ……」

「これだけ引きの強い良型アジが……」

「40~50尾……」

そしてイチロウが発見した「フォールでのアタリが多い」は、まさしくこの海域でのバチコンアジングの特徴だったことが、一船長の口から明らかとなったのである。

終盤、イチロウはスパートをかけた。

フォールの釣りでアジとオキメバルを連発し、にんまりだ。

ヨッシーがハナダイ、タカハシゴーが34cmの尺超えメバルを釣ったところで正午を回り、沖揚がりとなった。

アジは3人合計で11尾とまさにシブかったものの、とにかくサイズがいいので、クーラーはたっぷりと充実していた。

ヨッシーも満足げだ。

「最後、鹿島さんが連発してたのは、フォールというだけじゃなくてソフトルアーの色も関係あったみたいだね。潮が澄んでいたからだと思うけど、ナチュラルカラーであるイソメグロークラッシュへの食いがよかった。

一船長いわく『45cmも釣れる』ということだから、掛けてからのスリリングさはたまらない魅力。でもやっぱり、『どう食わせるか』も大事……。平均サイズが尺オーバーの日立沖のバチコンアジング、釣りの魅力が凝縮されてるよ!」

釣行の写真

当日最大の39cm。日立沖では45cm級のアジも釣れるという

釣行の写真

34cmのメバルを釣り上げたタカハシゴー

釣行の写真

良型のハナダイも交じった

釣行の写真

オキメバルは大中交じりでよく釣れた

船宿インフォメーション

茨城県日立久慈漁港 釣友丸

0294・22・7436

備考=4時半集合。駐車場あり。ほかルアー青物、一つテンヤマダイ、タイラバへも出船

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隔週刊つり情報(2022年8月1号)※無断複製・転載禁止

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