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大型狙いのビックチャンス アオリイカ

隔週刊つり情報編集部

アオリイカというと中小型の数釣りに沸く秋~冬シーズンが注目されるが、乗っ込みの大型が狙える春~初夏もファンにはたまらない季節。

中オモリを使った餌木シャクリで出船する相模湾腰越港の蒼信丸ではこの4月に4.3kgのモンスターサイズが上がったほか、2kg級を連発している。

釣り場は茅ケ崎~葉山沖と広範囲で、タナは海面から10m前後と浅い。

型狙いだけに数は望めないものの、記録級の1杯を手にできたときの感動は何物にも代え難い。

6月一杯はチャンスがあるはずなので、自己記録更新を目指してチャレンジしてみたい。

釣れてます!ジャンボサイズ

取材日こそビッグワンは出なかったが、蒼信丸では4~5月に大型を連発。

チャンスはまだあるはずだ。

春が訪れ水温が上がると、アオリイカは浅場へと乗っ込んでくる。

一年を通して最も大型のアオリイカが釣れるシーズンだ。

相模湾腰越港の蒼信丸では、4月から乗っ込みの大型が顔を出し始めていた。

4月9日には船宿レコードとなる4.3kgのモンスターサイズが顔を出し、その後も5月1日には2.9kg、5月14日には2.5kgと、アオリファンのだれもが夢見るビッグワンが上がっている。

いくなら今だ! と張り切って腰越港へ向かった。

強力な助っ人登場

蒼信丸のアオリ乗合は5時半までに集合で、釣り人がそろい次第出船する。

この日は5時を20分を回ったところで全員がそろう。

ていねいな事前アナウンスが蒼信丸の特徴でもある。

まずはおかみさんがマイクを持ち、船のサービスの説明、コロナの感染対策、ライフジャケット装備などをアナウンスする。

離岸すると今度は関塚一浩船長が仕掛けや釣り方の説明などを詳しく教えてくれる。

初めての人でも船での振る舞い、釣り方に迷うことはないだろう、それほどていねいだ。

ほどなく江ノ島裏に着き開始の合図が出た。

タナは海面から中オモリまで8mと浅い。

前日は1.3kgを頭に船中10杯の好釣果。

その前日には2.5kgも出ている。

今日も釣れるに違いない、ビッグワンの幸運はだれがつかむのか?この時点では明るい未来しか見えていなかった。

ここで話は翌日に飛ぶ、私は2日続けて腰越港に立っていた。

そう、昨日は奮闘努力のかいもなく、アオリイカは船中1杯も釣れなかったのだ。

このところ曇り空だったのが急にピーカンになって、潮が澄み気味という条件も加わりアオリは超不機嫌になってしまった。

西はエボシ岩、東は長者ケ崎と船長は実績ポイントをフルに回ってくれたが、餌木を抱いてくれるアオリイカはいなかった。

今日はイカ先生こと富所潤さんがプライベートで乗船している。

取材者にとっては強力な助っ人だ。

イカ先生は中オモリを使わず、重めの餌木をキャストする攻めの釣りで臨む。

空はピーカン、コンディションは昨日と変わらないように思えるが、今日はどうだろうか。

最初に江ノ島裏を流した後、潮が動かないと見た船長は一気に葉山沖へと向かった。

ここで船中1杯目を乗せたのは、やはりイカ先生だった。

ロッドがきれいに曲がり、500gほどの本命が取り込まれる。

「秋イカサイズだね」と笑うイカ先生。

サイズが小さめとはいえ、イカがいることが分かっただけでも周りの人への影響は大きい。

みなのモチベーションは上がる。

しかし、船中2杯目を乗せたのは、またもやイカ先生だった。

今度はkgオーバーの良型だ。

中オモリ式のシャクリ釣りの面々を尻目に、餌木直結仕掛けでイカの触りを取って合わせて掛けている。

さすがティップランの創始者で、その技を目の前にしては驚くほかなかった。

船長は葉山~佐島沖(亀城根)、鎌倉沖へとポイントを移動する。

鎌倉沖のタナ18mでは、反対舷で竿が曲がった。

カメラを持って駆け付けると、ほぼ同時に隣の人の竿も曲がるダブルヒット。

アオリイカは秋~冬は小群れで、春から初夏の産卵期はペアで行動していると言われ、だれかが乗せたとき、連続してほかの人にヒットすることがしばしばある。

これはその典型で、釣れ上がったのは片方はメスで片方はオス、つがいのイカだったのだろう。

釣行の写真

ティップラン式で2杯を釣ったイカ先生、さすがです

二日連続でボウズ

さて、私はといえば、カメラを持ってぼんやりしていたわけではない。

取材の2日間、竿を振って振って振りまくり、なんとか一杯のアオリイカを乗せようとした。

竿は3mのロングロッド、タックルボックスから過去の実績の高い精鋭餌木を取っ替えひっ替え交換する。

澄み潮にはナチュラルカラー、濁り潮にはアピールカラーのセオリーを守ったり、その裏をかいてみたり。

シャクリの加速を大きくし、リアクションバイトを誘ったり、インターバルを短くして周りの人よりもアピールしたり、これまでのアオリ釣りの経験をフル動員して、ただ一杯を乗せようともがく。

しかし、何十回、何百回とシャクリを繰り返すうち、このような理屈は頭から消え去って、気持ちだけでシャクるようになる。

心が大事なんだ、乗ると信じれば乗るのだ、神様アオリをください、そんな唯心的な気持ちになったところで取材が終わった。

二日連続でボウズである。

こんな書き方をすると、アオリはひどく辛い釣りだと誤解されそうだが、春の大型狙いでボウズはよくあることで、これがあるから釣ったときの喜びは大きくなると思う。

かつて相模湾でアオリイカ乗合が始まった1995年春、やはりボウズ連発に泣いていたときに、やっと乗った一杯の感動は今でも忘れられない。

ドラグから糸を引き出し、竿を立てられない強烈な引き、それが2.5kgのアオリイカだった。

数少ない大型狙いだからこそ、春のアオリ釣りには感動があるし、感動を得るチャンスはだれにでもある。

6月も乗っ込みアオリのシーズンは続く。

蒼信丸では釣れている限りはアオリイカ狙いで出船し、8月からはキハダ乗合に変わったあと、10月からはまたアオリイカ乗合が再開となる。

知っ得! ロングロッドを使うときはY字型の竿受けは必需品

アオリイカ釣りは、常に手持ちでシャクるため、ロッドキーパーを使う人はほとんどいない。

とはいえ、ロングロッドの場合はポイント移動のときに竿立て穴に立てると竿先が揺れるので絡みやすい。

このときに重宝するのがY字型の竿受けだ。

オモリを竿先にぶら下げた状態で竿受けに置いておくと穂先絡みも防止できるし、投入もスムースにいく。

シロギスなどの浅場小物釣りのときにも便利なので、常備しておきたいアイテムだ

竿受けの写真

ショートロッドでも竿受けはあると便利

Tackle Guide

アオリ用の竿は全長3~3. 5mのロングロッドと、全長1.5m前後のショートロッドに大別される。

東京湾ではロングロッドが主流になっているが、相模湾ではショートロッドも多く見られる。

竿が満月に絞り込まれる釣趣のロングロッド、イカを乗せたときの衝撃と引きがダイレクトに伝わるショートロッド、各自の好みで選ぶのがいいと思う。

船宿information

相模湾腰越港 蒼信丸

0467・91・0323

備考=予約乗合、5時半までに集合。餌木、中オモリ販売あり。貸し道具あり。各種仕立受付。

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隔週刊つり情報(2023年6月15号)※無断複製・転載禁止

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