相模湾のフグ釣りでトラフグが高確率で交じっている。
東京湾のように専門に狙っているわけではないが、当地では以前からトラフグが交じりで釣れることは知られており、今年はその割合がことさら高くなっているのだ。
茅ケ崎港からの出船では真沖の水深20m前後を中心に狙い、いい日はトップで20尾前後。
メインに釣れるのはショウサイフグだが、人によってはトラフグの数が上回ることもある。
釣れるトラフグは30cm前後の小型が多いものの、2月上旬には2~3kgの良型も釣れており、今後の回遊次第では相模湾でも大トラフィーバーが巻き起こるかもしれない。
釣り場は茅ケ崎沖周辺、水深は20m前後が中心
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仕掛けや釣り方はいわゆる湾フグスタイル
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2016年に東京湾で専門の乗合船がスタートしてから今年で8年目を迎える。
年により好不調はあったものの毎年大型のトラフグは釣れ続いており、さらに昨年あたりからは産卵群とは別と思われる小型のトラフグが東京湾や相模湾のフグ乗合で交じる割合も高まっている。
神奈川県では2006年からトラフグの種苗放流を行っており、それが資源量の増加につながっているのか、はたまた遊漁船で釣れるトラフグは全くの別ルートから回遊してきた魚群を釣っているのか。
真相は依然として分からないが、トラフグが春の船釣りターゲットとして認知されてきているのは確か。
そこで今回の特集では、2023年のトラフグ追跡第一弾として、相模湾のフグ釣り事情と来るべき東京湾のXデーを昨年のデータから予想してみた。
トラフグという魚
フグ目フグ科トラフグ属
津軽海峡以南、東シナ海;黄海。
関東の釣りでは水深100m以浅の砂地や岩礁域で姿を見せる。
幼魚は湾内の浅場でも釣れる。
トラフグは成長が早いことでも知られており、相模湾などで釣れている30cm前後の個体は2歳魚と思われる。
関東では千葉県や神奈川県で種苗放流されており、天然魚か人工種苗かを見分けるには鼻の穴の数が目安になる。
天然は左右2つずつ、計4つの鼻の穴があるが、人工種苗は鼻腔隔壁が欠損し、穴がつながって、片側1つ、計2つになっていることが多い。
今年の相模湾はトラフグが高確率で釣れている。
とはいえトラフグを専門に狙っているわけではなく、あくまでメインはショウサイフグで、それにトラフグが交じってきているのが実情。
個体数が急増した理由については明確なことは分からないと今回取材したちがさき丸の米山時春船長は話す。
同宿でフグ乗合を始めたのは3年前。
当時からトラフグの姿を見ることはできたそうだが、時折交じってくる程度で、現在のように一人で2ケタ以上釣れるようなことはこれまでなかったという。
今年の相模湾は例年以上にトラフグが釣れる割合が高まっている
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小型多くも数を狙える相模湾 タックル&仕掛けは湾フグと共通
現在釣れているトラフグは30cm前後のいわゆる「軽トラ」サイズがメインだが、2月上旬には2~3kg、50cmオーバーの良型(「大トラ」)も釣れており、回遊次第では相模湾でも大トラがまとまって釣れる可能性は否定できない。
数は日によるムラはあるものの、好日にはトラフグだけで一人10尾以上釣れることもあり、ショウサイフグを上回る日もあるというから驚きだ。
ポイントは辻堂~茅ケ崎沖の水深20m前後。
海底は平場もあれば、根掛かりしやすい場所もありと様ざまだが、基本的には平場を攻めることが多い。
タックルは湾フグ竿のほかマルイカ竿、カワハギ竿などでもよいが、アタリを取りやすいのは穂先が軟らかめの先調子。
リールは小型両軸にPE0.8~1号前後を巻いておく。
使用オモリは10号を基本に、潮の速さによって20~30号を使い分ける。
仕掛けは湾フグ用と同じでエサバリと掛けバリからなる一般的なフグ仕掛けでよい。
トラフグを意識してワイヤーハリスを使う人もいるが、現在釣れているトラフグは30cm級が多いからフロロカーボン8号前後で十分だろう。
そのほかカットウ仕掛けの上に食わせ仕掛けを付ける人もいるが、取材日に釣れたフグはほぼカットウ仕掛けに掛かっていた。
活性の高いときはフグが浮き気味になるため食わせ仕掛けも効果的ではあるが、潮が速いときや混雑時にはオマツリの原因にもなるので注意したい。
キャストして広範囲に探ると 遭遇率アップ
釣り方については、取材日に同船した若林直樹さんに話を伺った。
若林さんは元もと東京湾のフグ釣りに通い詰めていたが、昨年鎌倉へ引っ越したのを機に相模湾で釣るようになったそうで、ちがさき丸では2月5日に2kg級の良型、18日にはトラフグだけを13尾も釣り上げたという常連竿頭である。
そんな若林さんにトラフグを高確率で釣る方法はあるのか尋ねると、「船下よりもキャストして広く探るほうがトラフグのヒット率が高いと思います。そのため、キャストして底を取ったら3~5秒ほど待ってチョン、チョン、チョンと底から30~50cmほど浮かしながら誘いを入れてテンションフォール。これを数回繰り返して仕掛けを回収し再投入というのが私の基本的な釣り方になります」とのこと。
明確にコツコツッと竿先に出たりモタッと重くなるようなアタリが出たら即合わせする。
また、「食わせ仕掛けをカットウ仕掛けの上に付けると仕掛けも絡みやすく手返しが悪くなってしまうので、普段は1段バリのカットウ仕掛けでやってます」と話してくれた。
キャストして広範囲に探ったほうがトラフグとの遭遇率は高くなるようだが、船下で絶対に釣れないというわけではない。
ただし掛かってくる割合としてはショウサイフグのほうが多くなるという点は間違いないようだ。
30cm前後のいわゆる「軽トラ」が多い
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35cmを超えるショウサイフグも釣れた
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今後相模湾でもトラフグ釣りが定着する可能性はある
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下処理はプロにお任せ
取材したちがさき丸ではふぐ包丁師の免許を持ったスタッフが釣れたフグをさばいてくれるから安心。
プロの料理人だけに仕事はていねいで、帰宅したらすぐに食べられるのはうれしい。
勝手に持ち帰っての素人調理は厳禁だ。
お土産物も充実!
ちがさき丸では土産販売もしており、乗船客だけではなくご近所の方たちにも好評。
地物の釜揚げシラスやヒジキも人気だが、無農薬レモンを使ったちがさき丸のおかみさん手作りのレモネードシロップがおすすめだ。
IN F O R M A T I O N
相模湾・茅ケ崎港 ちがさき丸
0467・86・1157
▼備考=予約乗合、木土日のみ出船。別船はマダイ、アマダイ、アジなどへ
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隔週刊つり情報(2023年4月1号)※無断複製・転載禁止