［釣具店が3倍面白くなる！頼れるスタッフ（第12回）］ジャイアント水戸南店・大山雅幸さん

地元密着型の大型店。

茨城県海域の最新情報に基づく品ぞろえばかりでなく、休日の釣行は釣法の新規開拓に努める。

一つテンヤ、タイラバをいち早く地元の釣り場で試し、定着させた実績を持つ頼れる店長だ。

幼少のころに昭島市に転居してから父親に連れられ多摩川で小物釣りを経験。

茨城県に移ってからブラックバスや渓流のルアー釣りに没頭。

海釣りは釣具店に勤務してからだが、20数年の釣歴を持つ。

「もちろん外房や内房、東京湾、相模湾に釣行するお客さんもいらっしゃいますが、土地柄圧倒的に多いのは、銚子から北の茨城県海域に釣行される方ですね。そのためアカムツ、ヤリイカ、ヒラメなどが人気の釣り物になるわけですが、効果的な仕掛けや釣り方は他の地区と差があるので、地元からの情報が何より重要になります」

ジャイアント水戸南店の店長の大山雅幸さんは、地元の情報に精通することが、店舗の品ぞろえに不可欠であると言う。
　
理由は茨城県海域の釣り物の特徴にあるようだ。

例えばヤリイカは関東各地で釣れるものの、釣り場ごとに使用オモリや効果的なツノの種類が違うのはご存じのとおり。

水深100m以内の浅場を狙う時期もある茨城県海域は、その傾向が顕著でライトヤリイカが盛んな釣り場でもある。

また乗りのいいツノも他地区とは違いがあるようだ。

「どちらかというとボディにボリュームがあるタイプがいいので、タマゴ針が定番でした。ところが今期は扁平型のダイヤエースの乗りがよく人気が出ています。浅場で好調に乗るときは、とくに釣行する人が増えるので、ツノの違いが分かりやすく結果に出ます。その情報をいち早くキャッチして品ぞろえに反映させることを心がけています」

ヒラメやアカムツにしても同様で、仕掛けの仕様や集魚アイテムは、地元の釣り場の具体的な情報に基づいてディスプレイされている。
　
品ぞろえの豊富な大型店ではあるものの、地元密着型の色合いが濃い店舗だ。

と同時に、これから人気が出ると予想される釣り物や釣法にも敏感に対応している。
　
それは、大山店長の釣行スタイルに起因しているようだ。

「もう随分前になりますが、おそらくマダイの一つテンヤもタイラバも、最も早くこの海域で試した一人だと思います。すぐに人気が出ると確信しました。いずれも茨城県海域にマッチした釣法だと分かりましたから」
　
一つテンヤやタイラバ用のタックルや製品が充実していることは、店舗に入ればすぐに分かる。

最も目立つ中央の通路に一つテンヤやタイラバの製品がズラリと並んでいるのだ。
　
休日は船が出船する限り釣行しているという大山店長は、ただ単に釣況や効果的な仕掛けを確認するだけでなく、積極的に新しい釣法にチャレンジしてきたと言う。
　
一つテンヤやタイラバがこの海域でもブレイクすると判断できた理由は、こうした釣行スタイルにあるようだ。

そこで、大洗沖で昨年末から年明けにかけて、例年になく爆釣したタチウオにどう対処したのかを聞いてみた。

「ある程度は予想していました。例年北の平潟沖でタチウオが釣れる時期があり、年々釣り場が南下している傾向があると思っていましたから。ただ、あれほどの爆釣になるとは思いませんでしたので、すぐさま仕入れを増やしました。タチウオ製品がこれほど動くのはかつてないことですが、実は助かった面もあります。解禁当初ヒラメの模様が芳しくなかったので、それをタチウオが補ってくれた形になりました」
　
ヒラメは魚影ではなく、エサのイワシが小さかったのが釣果に影響したらしい。

そこに現れたタチウオはまさに救世主であったわけだ。
　
北の平潟沖から南の波崎沖まで、茨城県海域は、ライトヤリイカやルアーマゴチに代表される新しい釣法が定着しやすい土壌があるように思える。

「面白い海域だと思います。簡単に言えばヤリイカが浅いポイントで狙えるように、同じ狙い物が違った条件で釣れるので、この海域ならではの釣法が生まれやすい。最近注目しているのは、マルイカとマハタです。どちらも本格的にブレイクしているわけではありませんが、新たな展開の可能性を感じます。おそらく、この海域に適した釣法がどんどん試されることになるでしょう。一方で、最近模様が上向かない魚が少し心配です。その代表がマコガレイですが、4～5月に大型が釣れるように復活してほしいものです」

新しい釣り物、釣法が盛んになるとともに、常磐のマコガレイの看板を維持できればと大山店長は願っているようだ。