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[E2F(第5回)]茨城県日立沖の一つテンヤマダイ

隔週刊つり情報編集部

ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく当連載「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」。

第5回はヨッシーが得意とする一つテンヤマダイ。

小型を中心に数が釣れていて、ゲストも豊富な茨城県日立エリアへ釣行した。

釣れるマダイは300~800g前後を主体に1kg級交じりで好日にはトップ2ケタという釣れっぷり。

ゲストも多彩でカサゴイやメバル、ムラソイ、アイナメ、ヒラメなどが釣れている。

一つテンヤの釣り方

誘いはリフト&フォールが基本となるが、根が荒い場所やフグやベラが多い場合は根掛かりやエサ取りをかわすため底上1~2mでしばらくステイさせるといい。

当日はこのパターンがハマりよく釣れた。

釣行の写真

▲1~2m底を切りアタリを待つ

7月中旬に釣行したのは周年マダイを狙って出船している日立会瀬港のことぶき丸。

船長が向かった釣り場は港前の水深10m前後。

当日は霧が濃く、風はほとんどないため、エンジン流しで根周りを狙っていく。

3~5号テンヤを付けたスピニングタックルを手にアンダーハンドでキャストして広く探ったり、ベイトタックルで船下を狙ったりするヨッシー。

底上1~2m付近を探るとアタリが多く、300~500g前後のマダイを次つぎに釣り上げていると、突然右トモからドラグ音が鳴り響く。

一進一退の攻防の末、上がってきたのは8.1kgの大ダイ。

船上は拍手喝采となり盛り上がる。

ニューロッド「プライザ マダイ」を持ち込んだヨッシーも一発大物を狙ってみるのだが・・・。

釣行の写真

▲リフト&フォールで船下まで探ってきて底でしばらくステイさせたら食ってきたという

#Enjoy Every Fishing Tackle guide

一つテンヤマダイタックル

タックルの使い分けはテンヤを投げて広く探るときはスピニング、船下を狙うときはベイト。

ベイトタックルはスピニングに比べて糸フケが出にくいのが特徴。

糸フケを最小限にすることで着底が明確になり底が荒いポイントでも根掛かりを避けやすく、フォール中のアタリも取りやすい。

#Features of the fishing spot

多彩なゲストが釣れる日立沖

一つテンヤでは豊富なゲストが釣れるのも魅力の一つ。

目下は根魚やヒラメなどが顔を出す。

釣行の写真

▲ムラソイ・フグ・カサゴ・アイナメ・メバル・ヒラメ

#How to attach fishing bait

エサの付け方

釣行の写真

▲根掛かりしにくい場所では底付近でアタリが多かったので、仕掛けを着底させてゼロテン ションで待つと1kg級のマダイが食ってきた

うっすらとした霧に包まれながら、ことぶき丸が茨城は日立会瀬港を離れた。

防波堤が淡く見え隠れして、なんとも幻想的だ。

空を見上げると、真っ白い雲の向こうに太陽の輪郭がぼんやりと浮かんでいる。

7月19日。

日本列島はすでに酷暑に包まれていたが、この日、少なくとも日立沖は過ごしやすい気候だった。

空全体を覆っている薄い雲は、人に一抹の快適さを授けてくれるとともに、釣りのちょっとした高揚感を高める。

ドピーカンよりもちょっと曇っているぐらいのほうが、魚は釣れそうだ。

ましてや、一つテンヤマダイに臨むことぶき丸が狙うのは、水深わずか10m前後の超浅場ポイントである。

ビカビカに晴れていると底まで見えてしまうほどスケスケ度合い。

そこへきて、この日はほどよい曇天なのだ。

こりゃあ、何かいいことが起きそうだぞ。

E2F取材班は夏休みの小学生のように非常に単純かつ前向きである。

期待に胸をふくらませながら、仕掛けの準備をしている。

海と空の境目があいまいなぼんやりとした霧の中を走ること約15分。

1投目のテンヤが着底するやいきなりバタバタッと魚が食ってきた。

ヨッシーことジャッカル・プロスタッフの吉岡進さんが釣り上げたのはショウサイフグだ。

続けざまにトモキこと板倉友基さんが良型のカサゴを、イチロウこと鹿島一郎さんとライターのタカハシゴーはベラを釣る。

E2F取材班の全員が、瞬く間に魚の顔を見ることに成功したのである。

釣行の写真

▲1.5kg級のヒラメも釣れた

ポイントは水深10m前後ゲスト多彩で五目釣りの展開に

「これが一つテンヤの魅力だよね~」とヨッシーが笑う。

「エビエサの威力は強烈。テンヤが落ちた先にいる魚はひととおり食ってくるんじゃないかってぐらい、反応がいい。本命のマダイか、そうじゃないかは別として、アタリがあるのは釣り人にとってうれしいことだよ」

一つテンヤは仕掛けが極めてシンプルだ。

PEにフロロカーボンリーダーを直結し、最先端にテンヤを結ぶだけ。

しかも水深が浅いから、魚のアタリや引きは非常にダイレクトだ。

ショウサイフグでもカサゴでもベラでも、「おおっ!?」というぐらいよく引くし、面白い。

ことぶき丸の齋藤研二船長は、点在する根を狙って船を流す。

根に差しかかると、バタバタッと魚が食ってくる。根を離れると、アタリが遠のく。

そうなったら流し直しだ。

「魚がいれば食ってくる」「食ってこないのは魚がいないから」という楽観的な読みが、一つテンヤに特有の明るさをもたらしている。

周年通して楽しめる釣りだが、気分的には夏がよく似合う。

何度か流し直すが、釣れてくるのは1投目と同じ、ショウサイフグ、カサゴ、そしてベラだ。

いわゆる「エサ取り」と称される連中だが、海の豊かさを見せてくれるし、なんにせよ竿を曲げてくれるありがたい存在だ。

そして、いかにしてこの連中をかいくぐりながら本命のマダイを釣るかが、ここ日立沖での一つテンヤのムズカシオモシロポイントとなっている。

釣り開始から、ちょうど30分。

ヨッシーが「きたよぉ~!」と大きな声をあげた。

カンカン、カンッ!竿がたたかれている。

硬質な金属音が聞こえてきそうな、特徴的なマダイの引きだ。

ホクホクしながらリーリングするヨッシー。

浅場だからすぐに魚影が見えてくる。

海中で舞う、ピンクとブルーとホワイト。

まぎれもなくマダイだ。

「あ~~~っ!」

まさかの、そして痛恨の海面バラシである。

チャリコと呼ばれる小っちゃなリリースサイズではあったが、エサ取りの猛攻に遭っている中、ここはキッチリと本命を取り込んでおきたかったところだ。

「マダイは1mぐらい浮いた所にいるね……」と、弱よわしく言うヨッシーだった。

釣行の写真

▲マダイがヒットすると強烈な突っ込みをみせる

前のヒットパターンが効かない正解を求めて試行錯誤する

テンヤを底に置いてしまうと、たちどころにエサ取り軍団の餌食になる。

これをどうかわすかが、重要な課題である。

同じ面々で同じことぶき丸に乗り、ほぼ同じ時期にほぼ同じ浅場で一つテンヤに興じたことがある。

「あのときはカーブフォールと素早い動きが有効だったね」とヨッシー。

「キャストしてラインを張り、テンヤをカーブフォールさせる。着底するより前にアタってくれば、ほぼマダイだった。おれは着底させずにリフトして、またカーブフォール。これがあのときの正解だったな。あとは、着底させてからピピッと素早くリフトさせるのも有効だった。着底までのフォールでマダイにエサに気付かせ、エサ取りが食う前にピッとリフトして、いち早くマダイが泳いでいる層まで持ち上げるんだ。でも、どれが正解かはその日、そのときによる。今、海面でバラしたマダイは底から1mほど浮いていたから、やっぱり底にテンヤを置かないほうがいいのかな……」

この試行錯誤が、一つテンヤのだいご味だ。

ヨッシーはテンヤを着底させると、ポンポーンと跳ね上げた。

リアクションで何かが食らいつく。

マダイ……にしては重みのある引き。

上がってきたのはヒラメだった。

エサ取りと言うには豪華なゲストに思わずにんまりだが、「どうすればマダイが食ってくるんだ……」と頭を抱えている。

前回とは食い方が違うのだ。

再びショウサイフグ、カサゴ、ベラに見舞われながらも釣りを続ける。

そしてヨッシーがビシッと合わせを決め、「んっ!これはマダイじゃないの!?」と叫んだのは、6時18分のことだった。

上がってきたのは、正真正銘、1kg級の美しいマダイだった。

実はヨッシーより前に、右トモに陣取っていたお客さんの鈴木伸二さんが2枚ほどマダイを上げていた。

「底に5秒ほどテンヤを置いてから、スーッとラインを張ったら食ってきた。今日は底を見てるみたいだね」

好機到来!

エサ取りの連発でダレ気味だったE2F取材班が気合いを入れ直したそのとき。

右トモのほうから突然……。

ジャーーーーーーッ!

静かなナギの海に、ドラグ音が響き渡った。

静かな船上でドラグ音が響く大ダイがヒットし止まらない

ジャジャッ、ジャーーーッ!

激しいドラグ音が止まらない、まだ止まらない。

魚が走り続けている。

これはハンパない……!

ヨッシーがこの日初マダイを釣った10分後、ドラグ音を高らかに鳴らしたのは、右トモの鈴木さんだった。

水深は、わずか8m。

強烈にドラグを引き出したファーストランは、約30m。

根に入られたらおしまいだ。

PEが根に擦れただけでも、たちどころにアウトだろう。

竿が凄まじく曲がっている。

しかも、激しくたたかれている。

間違いない、これは大ダイだ!

E2F取材班は、ヨッシーも含めて全員がいったん仕掛けを上げた。

ものすごいモンスター級が掛かったのだ。

今は鈴木さんの応援だ!

しかし鈴木さんは終始落ち着いてヤリトリしている。

どんなにラインを引き出されても、どんなに激しく走られても、どんなに力強く竿をたたかれても、まったく動じない。

ベテランの風格を漂わせながら、頼もしいヤリトリを続ける鈴木さん。

「一進一退の攻防」などという紋切り型の言葉を使いたくなるところだが、実際は違う。

完全に鈴木さんが主導権を握っているのだ。

強く引くときはいなし、引きが弱まったら巻く。

無理はせず、魚を怒らせず、淡々としたペースで少しずつ大ダイをことぶき丸に近付けていく。

「見えてきたよっ!」

タモを構える齋藤船長も、さすがに興奮気味だ。

鈴木さんに完敗し、海面にその堂々たる身を横たえたのは、紛うことなき大ダイだった。

美しいフォルムの魚体がネットに収まった瞬間、「やった!」「すげえ!」と、わがこと以上に喜びの雄叫びをあげるE2F取材班。

まさに夏休みの小学生。

人の釣果でも大喜びする、純粋な釣り好きである。

それにしても見事な大ダイだ。

沖揚がり後に検量したところ、8.1kg。

「今までの最高は7kg。自己記録を更新できたね」と穏やかに笑う鈴木さんなのである。

出てしまった、大ダイ。

鈴木さんに釣り方を聞くと、「いや、特別なことはしてないんですよ。底でテンヤを止めて、ちょっと置いておいたら、ギューッと走られてね」と教えてくれた。

つまり、ヨッシーと同じ釣り方だ。

今日のマダイは、底にあってあまり動きのないエサを食ってくるらしい。

しかし、ヨッシーが1kg級で、鈴木さんが8.1kg。

なんの違いがこの差を生んだのか、調査せねばなるまい。

より詳しく鈴木さんに話を聞くと、「んー、そうだねえ……。船長と話してたら、急に釣れたんですよ。もしかしたら、殺気が消えたのかもしれませんね」と、あくまでも穏やかである。

殺気を消すと、釣れる。

これは船釣りあるあるとも言うべき、重大な真実である。

釣ろう釣ろうと気合を入れすぎると、ラインを通じてその殺気が魚に伝わってしまう。

フッと力を抜いた瞬間に殺気が消え、魚が食ってくる……。

鈴木さんの言葉には、ウソも偽りもない。

しかし、月に2~3回はことぶき丸に通っている方だ。

殺気が消えただけではなく、なんらかの正当な理由があってこそ、大ダイを釣るべくして釣っているはずだ。

決してまぐれではなく、何かが大ダイを引き寄せたのである。

釣行の写真

▲頭を船側に向けた瞬間、船長が素早くタモ取りした

ヨッシーのメモリアルショット

後半は1~2m底を切ってテンヤをステイさせるパターンでマダイを連発。

ラスト1投もアタリをとらえて合わせも決まり軽快に巻き上げるヨッシー。

しかし抜き上げたらマダイではなく小さなフグが飛んできて大爆笑をかっさらった。

見事な大ダイを見たヨッシーはでっかいマダイの夢を思い出す

6時半にしてとんでもない大ダイを見せつけられたE2F取材班は、見事なヤリトリだったこともあり、「もう十分だね」と、すっかり満足していた。

……と言いつつ、あえてくだらない雑談をしては殺気を消したつもりになり、「ことぶき丸のすぐそばを、もう1枚大ダイが泳いでいるのではないか……」「それを釣るのは自分ではないか……」と、殺気と欲望あふれる釣りを展開した。

本命のマダイは、トモキを除く全員がキャッチできた。

ほかにもメバル、カサゴ、ムラソイ、アイナメ、ヒラメ、コモンフグなどが釣れ、クーラーを飾った。

「やっぱり一つテンヤは夢のある釣りだね!」

沖揚がり後、改めて鈴木さんが釣った大ダイを見せてもらいながら、ヨッシーが言った。

「10年ぶりぐらいじゃないかな、ここまで見事な大ダイを見せてもらったのは。このでっかい夢を、忘れかけてた気がするよ。今日もそうだったけど、マダイがいるポイントで、マダイがいる層にテンヤが入れば、こういう素晴らしい釣りができる。だれにでもその可能性がある。だから準備も楽しいし、釣っていてドキドキする。次は自分の番かな、ってね」

#船宿インフォメーション

茨城県日立会瀬港

ことぶき丸

090・1842・0165

船長はマダイのポイントを熟知していてアタリが遠くなればすぐに移動してくれるためテンポよく釣りができてモチベーションを保ちやすい。

エサの付け方や釣り方など分からないことがあればていねいに教えてくれるのでビギナー連れにもおすすめだ。

備考=4時半集合、集まり次第出船

INFORMATION

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隔週刊つり情報(2023年9月1号)※無断複製・転載禁止

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