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Xデーの期待に膨らむ東京湾のトラフグ開幕

隔週刊つり情報編集部

東京湾でトラフグ乗合が始まってから今年で9年目を迎えた。

取材した東京湾奥羽田のえさ政釣船店では1月下旬より乗合船を開始。

2月11日の取材日は初期のポイントである久里浜沖周辺を探ったが、例年見られるような反応が見つからないため、観音崎沖の水深60~70mへ移動。

宙層のタナを探り、30cm級を頭にトップ6尾の釣果が上がった。

昨年は乗っ込みの大型と思われる4~5kg級が多く交じるXデーは3月下旬と4月上旬の2回あったが、果たして今年はどうなるだろうか。

今後も東京湾のトラフグから目が離せない。

釣行の写真

▲いつヒットしてくるか分からないから集中力が大切

釣行の写真

▲群れが固まってくればヒットのシーンも増えてくるはず

ワイヤーカットウ仕掛けが主流

早春を迎えると開幕する東京湾のトラフグ。

昨シーズンは各港とも3月からの開幕だったが、今シーズンは魚影が濃いようで年末から出船している船もあり、いい日はトップでツ抜けする好釣果を上げていた。

東京湾奥羽田のえさ政釣船店でも1月から週末限定で乗合出船を開始し、コンスタントな釣果を上げている。

来たる本格シーズンを前に東京湾トラフグの釣況をリサーチしてきた。

シーズン初めの東京湾のトラフグは、久里浜~鴨居沖が主なポイントになる。

えさ政釣船店の柳沢明男船長によると、今年は久里浜沖はまだサバフグが多く、トラフグの魚影が薄いそうだ。

このため、現在は観音崎沖のアジ船団の周りに出る反応を狙っているとのこと。

水深は70m前後で、タナは海面から船長から指示のあったレンジを探る釣りだ。

ワイヤー仕掛けがおすすめ

タックルは湾フグ用の竿が使えるが、オモリが30号なので全長1.8m前後のテンヤタチウオ竿やライトゲームロッドも使える。

リールは小型両軸にPE1号を巻いておく。

シーズン後半になると水深80m前後を攻めることもあるので、超小型電動リールを使うのもよいだろう。

指示ダナの間を探る釣りであるが、アタリが集中するタナがあった場合には正確にそのタナを狙えるよう、道糸のメーターマークでタナを取るようにする。

オモリとカットウはワイヤーでする。

ショウサイフグのカットウ仕掛けのようにナイロン接続だと噛み切られることがある。

トラフグはアタリがそれほど多い釣りではないので、貴重なアタリを得てハリスを切られ逃がすリスクは避けたいところだ。

ワイヤー仕掛けは船宿で販売しているので、仕掛け作りに慣れない方は利用するとよいだろう。

主に宙層を狙う釣りなので根掛かりで仕掛けをロストすることはない。

道糸の高切れなどのトラブルがなければカットウ仕掛けは一つあれば足りるだろう。

エサは冷凍アルゼンチンアカエビが船宿で販売されている。

尻尾側の2節を除いて皮を剥む き、エサバリにセットする。

このほかにイカの切り身やイワシなどを持ち込み、エビと一緒にハリに付ける人も見られる。

また、エサバリを複数付けてより目立つようにしている人もいる。

特エサを色いろ試してみるのも面白い。

誘ったあとは必ず止める

初期のトラフグは宙層を攻める。

船長は反応の上に船を流していく。

トラフグはポイント近辺を回遊しており、反応は船下に入ったり出たりを繰り返す。

フグが船下に入ってきたときに、タナが合っている人の仕掛けにアタックしてくると考えよう。

タナが上下に広く変わることもあれば、特定のタナでアタリが集中することもある。

広くタナを探るか、アタリがあったタナを集中的に攻めるかの戦略も釣果に影響すると考えてよいだろう。

誘い方はこれが決定版というものはないと考える。

図1に示すように、誘い上げ、止め、落とし込みの3つの要素を組み合わせてトラフグにアピールしよう。

組み合わせは自由だが、この中で一番大事なのは止めの動作だ。

必ず止めの時間を入れるのがポイントで、止めているときにアタリが出ることが多い。

極端な話、タナを決め打ちにしてずっと止めていて(置き竿で待つ)もアタリが出ることがある。

対して止めを入れずに動かしっぱなしだとアタリはまず出ない。

ワンパターンの誘いではなく、誘い上げの速度や幅、止めの時間を調整しよう。

大きく動かすか小刻みに動かすか、素早く動かすかゆっくり動かすか、長く止めるか短く止めるか、色いろと試してそのときのヒットパターンを見つけることこそ、この釣りの面白さと言えるかもしれない。

アタリの多い 誘い方を見つける

当日にアタリが多かったパターンを図2に示す。

常連の竹田さんは誘い上げと落とし込みをミックスしつつもその幅を変えて、ゆっくりと上へ上へとタナを探っていた。

特徴は落とし込みの誘いを毎回入れることだ。

フグは落下してくるエサに反応がよい、という経験則から下への動きを取り入れていた。

また、竹田さんは6:4調子のタイラバロッドを用い、シャクり上げたときの動きをスムースにする工夫を見せていた。

フグが掛かったときも竿の弾力で危なげないヤリトリを見せて、5尾のトラフグを釣り上げた。

もうひとつは筆者のパターンだ。

こちらは単純で、リールを巻いて止めるの繰り返しだ。

止めを長くすることで、トラフグにじっくりとエサを見せることを意識している。

特徴は竿を振る動作が少ないので疲れが少ないこと。

一日誘い続ける釣りなので、疲れの多少は集中力に影響すると考えているため、なるべく疲れない誘い方を選んだということもある。

筆者はこの誘い方で4尾を釣り上げた。

二通りの誘いの例をあげたが、これらはあくまで一例と考えて、読者は各自オリジナルな誘いパターンを見つけて楽しんでいただきたい。

ちなみに取材日の指示ダナは完全に宙層で、20mくらいの幅を探るように指示があった。

筆者にアタリがきたタナはいずれも同じくらいのタナに集中していた。

本号発売のころもまだ宙層狙いが続いていると思われる。

状況によって指示ダナの範囲が変わるので、船長のタナのアナウンスを聞き逃さないようにしよう。

合わせは小さく優しく

次に合わせについて解説したい。

宙層で出るフグのアタリは千差万別で、怪しいと思ったらとにかく合わせてみよう。

アタリの出方と合わせのコツは図3に示した。

ショウサイフグでも同様だが、合わせる幅は小さいほうがよい。

掛け損なったときにフグがエサを見失わないよう、びっくりして逃げないよう、小さな幅の合わせを意識したい。

カットウのハリ先は尖鋭で、軽くなでるくらいでもハリは刺さるので、乱暴にシャクらず優しくシャクってやる。

そこで重みが伝わったらキュッと竿先を立てて追い合わせをする。

これは糸にしっかりテンションをかけることにより、次のフグの行動(下に突っ込む、上に泳ぐなど)に対応しやすくし、バラシを防止するためだ。

なかにはなかなかハリ掛かりしないフグもいる。

そんなときはエサを上下にゆすってやって、フグがエサを食うことを妨害する動作=食いづらくする動作を入れてみるとよい。

ゆすって止めた直後に、ガツン!と向こうから食い込んでくることもある。

ハリ掛かりしたフグは踏ん張るような抵抗を見せたり上に泳いだりする。

強い引きがきたら竿でため、上に泳いで軽くなったときはリールを素早く巻いて、常に道糸を緩ませないようにしてハリ外れを防ぐ。

海面にフグが姿を見せたら、小型の場合はごぼう抜きをし、良型の場合はタモ取りを頼もう。

トラフグは途中で水を吸ってパンパンに膨らんで上がってくることがある。

水を吸うと小型のフグでもキロオーバーの重量になるため、膨らんでいた場合は無理に抜き上げようとしないで、タモ取りするようにしよう。

カットウにはカエシがないので、取り込んだフグのカットウを逆さ向きにすれば容易にカットウから外れる。

トラフグは歯が鋭いので、釣り上げたフグに噛まれないように注意し、口にハリ掛かりしている場合は指で触らずペンチを使うようにするのが無難だ。

えさ政釣船店の船は釣り座に海水循環パイプがあり、釣り上げたフグはバケツで生かしておけるが、帰港までの間は海水が出ないので、沖揚がり時には絞めてクーラーに移しておくようにする。

このときに血抜きをしておけばよりおいしく食べられる。釣ったフグは船着き場に戻ってから身欠きにしてくれる。

ビニール袋に入れて氷で冷やして持ち帰ろう。

えさ政釣船店では、3月から平日も含めて毎日トラフグ乗合の出船を予定している。

取材日は観音崎沖を攻めたが、3月に入れば鴨居~久里浜沖と反応が増え始めポイントも広がるはずだ。

昨年の実績から久里浜沖のマダイ場の周りでは良型トラフグも期待できるだろう。

そして、3月の後半からは乗っ込みシーズンに入る。

富浦沖の水深70~80mで底反応が現れると、大型トラフグの爆釣デーが到来するのが例年のパターンだ。

早い時期から釣れ始め、魚影の濃さそうな今シーズンの東京湾トラフグ、盛期にどんな釣れっぷりを見せてくれるか楽しみだ。

釣行の写真

▲シーズン初期は小型が主体

釣行の写真

▲トラフグ釣りは東京湾の春の風物詩として定着した

船宿INFORMATION

東京湾奥羽田

えさ政釣船店

03・3743・1585

▼備考=予約乗合、7時出船。

ほかショウサイフグ、カサゴへも

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隔週刊つり情報(2024年3月15号)※無断複製・転載禁止

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