「一番好きな魚って何?」
先日、そう尋ねられた私はしばらく考え込んだ後、「そうだなあ、オニカサゴかな」と答えた。
あふれる魚愛をもって釣りをしている私にとって、どの魚が一番と決めるのは心苦しいけれど、オニカサゴは特別な存在。
覚えている読者がいたらうれしいが、本誌で「鬼研」という連載を担当し、オニカサゴにまつわるネタだけで24回にわたって取材、執筆したことがあった。
当時は取材のみならずプライベートでも足繁くオニカサゴ釣りへ出かけたことを思い出す。
10年以上前のこと。
私がつり情報のライターだということを知らない船宿へお忍びで釣行したことがあった。
初めて訪れたその船宿の船長は、朝からとても陽気で、テンポよくポイントを回ってくれて、1kg前後のオニカサゴを4~5尾と大きなウッカリカサゴを釣らせてくれた。
納竿して船が着岸すると、女優の奈美悦子似で、笑顔が素敵なおかみさんが出迎えてくれた。
船長もおかみさんもとても気さくに話しかけてくれて、素直に楽しかったから、1カ月後くらいに再訪。
すると、「釜井さんはつり情報のライターさんなんだってね!」と声をかけてくれて、翌月から本誌の船宿データベースに加入してくれた。
その船宿が今回訪れたしまや丸。
以来、今日までずっと島野一男船長と優子さんにめちゃくちゃかわいがってもらってきた。
![魚の写真]()
オニカサゴの標準和名はイズカサゴ
出典:
![釣場の写真]()
乙浜港はイカもオニカサゴもポイントが至近
出典:
プロフィール
カマちゃん・釜井 昌二(かまいしょうじ)
アトリエぷらりおさかなイラストレーター。
A.T.LAB フィールドアドバイザー。
実家のような船宿
島野一男船長は昭和36年9月24日生まれの61歳。
南房白浜の乙浜に生まれ、安房水産高校卒業後、15年間に渡って漁協勤務。
その後、家業である船宿の船長になった。
現在は、しまや丸の店主として釣り船業を切り盛りしながら約4600人の組合員と準組合員が属する東安房漁業協同組合の筆頭理事をも務める。
若かりしころに友人の誘いで出かけた飲み会で優子さんと出会い、恋に落ち、結婚。
一女一男の二人の子供に恵まれ、今では孫もできた。
ケンカもあるらしいが、仲よしな二人を眺めていると、ほのぼのさせられる。
明るくて、生き生きとしていて、いつも元気がもらえる。
だから、直近の釣果がどうで釣り物がなんであれ、純粋に二人に会いたくなると、二人から元気をもらいたくなると、しまや丸へ足を運んできた。
そう、私にとって、落ち着く実家のような存在なのだ。
![船長の写真]()
乙浜沖の海を知り尽くすベテラン船長
出典:
![釣行の写真]()
値千金の1尾 。オニカサゴは釣れて当たり前の魚ではない
出典:
オニカサゴ釣りを満喫
そんなしまや丸を訪れたのは2月6日のこと。
当初はヤリイカで出船だと思っていたのだが、釣り物がオニカサゴになると聞いてうれしくなった私は、タックルと仕掛け、エサをしっかり用意。
取材しながら思いっきり釣りも楽しませてもらった。
まずはフラッシャーサビキでエサにするサバ釣りを2流ししてからオニカサゴへ転進。
航程20分ほど、真沖の水深130~170mを狙った。
深場を狙った序盤は小ぶりなリリースサイズが多かったが、浅場に移動するとキープサイズがちらほらと顔を出し、私は1.1kgの良型を手中にした。
この1尾だけでも十分だったけど、いいサイズのキダイ、ウスメバル、ユメカサゴを交えて4尾のオニカサゴをキープ。
隣の方には2kgを超えていそうなウッカリカサゴが釣れ上がり、「それも釣りたかった!」と欲張ってみたけれども、満足して沖揚がりの時間を迎えた。
港内へ船が進むと、いつもどおり優子さんが出迎えてくれて、「カマちゃん、どうだった?」と声をかけてくれたから、ピースサインで返すと、ニコリと笑顔を浮かべてくれた。
そうして滞りなく取材を終え、さよならのあいさつをすると、「また、いつでも来てくださいよー」と二人が見送ってくれた。
後ろ髪を引かれる思いで大好きな南房を後にし館山道、アクアライン、首都高、外環道、関越道と車を走らせた約200kmの帰路は感慨深いものがあり、眠気を催すこともなく帰宅できた。
ハンドルを握りながら、しまや丸のみならず、これまで「カマちゃんの船宿探訪」で出かけた44軒の船宿さんのことを振り返った。
船長やおかみさん、スタッフさんのおかげで、今がある。
今の私がいる。
心から、ありがとうございました。
次からは、私が暮らす山間の町村を舞台にして新しい連載をスタートさせる。
お世話になる船宿さん、そして読者の皆様、どうぞこれからもよろしくお願いします。
![釣行の写真]()
当日は大中小のオニカサゴが入り交じった
出典:
![釣行の写真]()
2kg級の大きなウッカリカサゴも登場
出典:
![釣行の写真]()
私にも1.1kgのオニカサゴ
出典:
船宿information
南房乙浜港 しまや丸
URL:http://shimayamaru.com
● 予約乗合。第2、第4水曜日定休。
● 釣り座は船長が指定して、船宿入口に掲出。
船宿アクセス
●車/館山自動車道終点の富浦インターチェンジを出て、国道127号を館山方面へ。那古交差点を左折して約5km進み、安房グリーンラインを九重方面へと右折。田園と山間を抜け南房の海岸線にたどり着いたら、突き当りを左折して南房フラワーラインを千倉方面へ。1kmほど直進して、海岸側の乙浜港へ進入。港内にしまや丸の船体を見つ
受付から下船までの流れ
しまや丸の設備とサービス
しまや丸の釣り物とシーズン
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隔週刊つり情報(2023年3月15号)※無断複製・転載禁止