決して上手ではないのだけれど、一つテンヤの釣りが好きで、しばしば一つテンヤマダイに釣行している。
魚のアタリと引きをダイレクトに楽しめて純粋に面白いし、本命のマダイのみならず色いろな魚が交じって釣れるのがいい。
何より道具立てがシンプルなので、準備と片付けが楽チンだ。
そんな一つテンヤマダイを周年楽しませてくれる茨城県日立久慈漁港の大さん弘漁丸が今回の舞台。
初めて訪れたのだが、港の入口近くに「弘漁丸P」の看板をすぐに見つけられ、迷わず船着き場にたどり着けた。
プロフィール
カマちゃん◆釜井 昌二(かまいしょうじ)
魚をさばきながら飲むビールが好き。
アトリエぷらりおさかなイラストレーター。
A.T.LAB フィールドアドバイザー。
当日は日立沖の水深30m前後を狙った
出典:
大学進学を断念して家業を継ぐ
大さん弘漁丸は、店主の小泉秀彦船長操船の弘漁丸と、秀彦船長の長男、大輔船長操船の大さん弘漁丸の2隻体制。
大さん弘漁丸が中心となって出船し、釣り人が多い日や仕立船がある日などに2隻出しとなる。
また、12月のヒラメ解禁以降は1隻がヒラメ、もう1隻が一つテンヤマダイになるなど、臨機応変に出船しているそうだ。
大さん弘漁丸の小泉大輔船長は、昭和55年2月29日生まれの42歳。
あれ?とお気づきの方もいると思うが、うるう年の4年に1回しかやってこない日が誕生日だ。
日立生まれ(出生地は東京とのこと)の日立育ちで、小中と野球三昧だった大輔少年は、高校進学後はラグビーに明け暮れたという。
「高校でも野球をやるつもりだったのですが、担任がラグビー部の顧問だったものだから、すすめられるままラグビー部に入部しました」とのこと。
ガッチリしたその体格は、たしかにラグビー部顧問の目に留まってもおかしくない。
高校卒業後は大学進学を考えていたものの、当時、弘漁丸で漁をしていた大輔船長の祖父弘さんがそろそろ引退するタイミングとなり、大学進学を断念。
長男であること、爺ちゃんに無理をさせたくないこと、そんな自分の立ち位置や思いを鑑みて、高校卒業後すぐに家業を継ぐ決断をしたという。
それから3年くらいは祖父弘船長、父秀彦船長、大輔船長と親子三代で働いていたが、祖父の引退後は父と二人三脚で今日まで弘漁丸を営んできた。
当初、平日は主に職漁、土日祝は遊漁という半漁半遊漁のスタイルだったが、平成25年に19tの大型船、大さん弘漁丸を就航したころからは、平日も遊漁船で積極的に出船。
それと同時に一つテンヤマダイに注力してきた。
「この釣りは、釣り方そのものが純粋に面白いし、釣り人が納竿まで飽きずに楽しめる釣りだと思うんです。本命のマダイはもちろんですが、ゲストが色いろと交じるのも魅力の一つですよね」と大輔船長は熱く、そして優しく語ってくれた。
初心者でも楽しめるのが一つテンヤのいいところ
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幾重にも重なった思いからの船名
このほか書ききれないほどのたくさんの話をしてくれた大輔船長に大さん弘漁丸の「大さん」の由縁について尋ねてみた。
「この船は元もと山形県酒田で使われていた船を買い取り、改装して就航しました。当時譲ってくださった船主さんの名前が“ 希枝”で、旧船名は“希枝さん”でした。
前船主さんのこの船への想いを汲み取り、新しい船名に旧船名の一部を引き継げないかと考えたんです。
それから家族とも相談を重ねて大輔の船だから“大”、第三のような“大さん”、そして希枝さんの想いを紡いで“さん”を入れるなど、色いろな意味を重ねて大さん弘漁丸と命名したのです」と分かりやすく、穏やかに語ってくれた。
そんな大さん弘漁丸に揺られて、この日は水深30m前後の真沖を狙った。
朝からハナダイ交じりでポツポツとマダイが釣れるものの、アタリはやや遠い感じでスタート。
そのうち盛り上がるだろうとカメラをぶら下げていたら、予想どおり中盤から魚の活性が急上昇。
紅一点の女性の竿を1.2kgのマダイがギュギュンッと絞り込んだのを皮切りに1kg超えのマダイが船中3枚釣れ上がった。
あと一歩でワラサになるようなイナダや小型のカンパチであるショゴ、カサゴ、ウマヅラハギなども交じり、日立の秋の海らしい顔ぶれがそろった。
終盤には私も竿を出させてもらったのだが、投入のたびにアタリがあり、ちゃっかりとエンジョイ。
1kg級の良型もゲットして、晩の食卓をにぎわせた。
当地のマダイは、いわゆるヒラメのシーズンになる冬場に良型が多く釣れる傾向にあるというが、数釣りシーズンの秋はアタリが多いうえに青物も交じりやすいので理屈抜きに面白い。
つまるところ、秋には秋の、冬には冬の面白さがあるから、それが分かっている大輔船長は年間を通して一つテンヤマダイで出船することにこだわっているのだろう。
穏やかな船長のもと、存分に釣りを楽しみたいアングラーへおすすめしたい船だ。
この日の最大は1.2kg
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後半は徐々にサイズアップ、アタリも一気に増えた
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イナダやワラサはよく交じる
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船宿information
茨城県日立久慈漁港 大さん弘漁丸
0294・52・3504
● 予約乗合。平日6人~、土日祝日8人~、仕立も受付。第3月曜定休。
● 釣り座は集合時間に花札で抽選。
船宿アクセス
車/常磐自動車道日立南太田インターを降り、国道6号を「日立、常陸太田」方面へ。
2km少し進んだ先にある「大みか町6丁目」交差点を右折して直進。
「日立港入口」交差点を突き進み、少し先右側が駐車場(看板あり)。
そのすぐ先に船着き場がある。なお、船着き場前まで車を進めての荷物の積み降ろしは可。
受付から下船までの流れ
大さん弘漁丸の設備とサービス
大さん弘漁丸の釣り物とシーズン
出典:
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隔週刊つり情報(2022年11月15号)※無断複製・転載禁止