長女の凪海ちゃんに「お父さんはどんな人?」と尋ねると、少しはにかみながら「優しい」と言う。
ゲンさんは、すっかりいいお父さんになっていた。
早川丸は洲ノ崎灯台を見上げる洲ノ崎栄ノ浦港にある
出典:
早川丸の大型船2隻は、房総半島の南西端、洲ノ崎灯台のすぐ下にある栄ノ浦港に浮かぶ。
白い灯台と青い空、常緑樹茂る崖に囲まれた風景は絵に描いたような、こぢんまりとして美しい漁村の風景だ。
保有する2ともイカの探索が可能な高性能機器を装備
出典:
カマちゃん・釜井 昌二(かまいしょうじ)
ボチボチ鍋の季節だよ!
アトリエぷらりおさかなイラストレーター。
A.T.LAB フィールドアドバイザー。
右奥から反時計回りに、イカ船担当の早川勝巳船長、おかみの幸子さん、孫の凪海ちゃん、海樹くん
出典:
ゲンさんこと早川元樹 船長43歳
出典:
30歳を機に洲ノ崎へ戻り船長に
職漁を生業としていた早川丸を遊漁船として開業したのは、大船長の早川勝巳船長。
御年65歳、まだまだ現役で舵を握り、第28早川丸で主にイカ釣りを担当する。
ちょいと厳しい頑固オヤジなら面倒見がよく、長年の経験とピカイチの操船技術で釣り人を楽しませる。
また、地元の船長たちからも一目置かれる存在で、困ったことがあれば勝巳船長に相談する船長も少なくないと聞く。
とはいえ、普段は優しいお爺ちゃん。
孫を前にすると目尻が下がる。
今回、私が会いに出かけたのは勝巳船長の長男、早川元樹船長。
通称、ゲンさん。
第21早川丸で春~夏はイサキ、秋~冬はカワハギを釣らせてくれる。
ゲンさんは昭和53年1月17日生まれの43歳。
ここ洲ノ崎で生まれ育った。
県立安房水産(現、館山総合)高校卒業後、専攻科(2年制)のうち漁業科へ進学。
卒業後、20歳のときに竹芝と伊豆諸島を結ぶ東海汽船に就職した。
「沖を通過する大きな客船を浜から眺めて、いつかあんな船の上で仕事がしてみたいと憧れていたんだ」と当時を振り返る。
憧れの仕事に就き、かめりあ丸やさるびあ丸はもちろん、昨年引退した豪華クルーズ客船ヴァンテアンで働いた時期もあったという。
東海汽船に10年間務めた30歳のとき、10年という節目もあってゲンさんは退職、洲ノ崎へ戻り、実家である早川丸の若船長となり、千代子さんと結婚。
ほどなく長女凪海ちゃん、2年後には長男の海樹君が誕生して4人家族となった。
若おかみ、千代子さんとは友人の紹介で知り合った。
「すごく田舎なんだけど、とてもいい所」とゲンさんが言う南房総市和田の出身。
大らかで、少し男前で、それでいて笑顔が素敵で親しみやすく、出船前や下船時の釣り人の接客にあたっている。
船宿での受付は大おかみの幸子さんが行うが、それ以外は千代子さんというのが最近の役割分担らしい。
そんな千代子さんを、「大船長や大おかみに負けない濃さがある」とゲンさんは笑い、リスペクトする。
洲ノ崎のカワハギは来春までのロングランターゲット
出典:
当日の船中最大は27cmほど。ワッペンサイズはまったく交じらず中~良型がそろった
出典:
レンタルタックルでカワハギ釣り初挑戦
出典:
ほぼ毎週釣りに出かけて今週はカワハギとか。次回はツ抜けしたいですね
出典:
カワハギの取材はいつも好日
久しぶりに早川丸を訪れたのは9月の初め。
海で泳ぎたくなるような晴れ晴れとした好天の日だった。
ターゲットは開幕したばかりのカワハギ。
初めてカワハギ釣りをする人もいて、ゲンさんが釣り方やエサの付け方などのレクチャーを終えてから出船、20分ほど走った富浦沖の水深12mからスタートした。
型を見るまでにそう時間はかからなかったが、時折本命が釣れ上がるスロースタート。
けれども釣れるカワハギは型ぞろいで、竿先を激しくたたく引きは見ていて楽しい。
我慢できなくなって竿を出してみると、幸先よくアタリがあって1投目から本命をキャッチ。
キモパンの良型をオケに泳がせて、すぐさま再投入するとまたヒット。
そんな感じで3連発。
カワハギにはいつも悶絶させられてばかりだけれど、たまにはこんなこともある。
そういえば、ゲンさんの船にカワハギ釣りの取材に来ると、いつも好日に当たっていた。
しかし、そんな好時合がずっと続くことはなく、やがて厳しい時間帯に。
どうやら薄濁りの潮のせいでカワハギが口を使わないポイントが多い様子。
それでも少しでもアタリが多い場所を丹念に探してくれて、最終的にトップはツを抜けた。
これから水温が下がり、カワハギの群れが固まってくればアタリも増えて、釣果も右肩上がりになるだろう。
久びさに再会したゲンさんは、とても幸せそうだった。
ひとまず初めて会ったころにはなかったその出っ張ったお腹を凹ませて、大船長も辞めたタバコを減らして、いつまでも元気に活躍し続けてもらいたい。
ゲンさん、お互い健康で、また会いましょう。
好天に恵まれたこの日は洲ノ崎~富浦沖の水深12~32mを中心に狙った
出典:
船宿information
電話0470・29・1095(詳細は巻末の情報欄参照)
URL: http://tsuribune-hayakawamaru.jp
● 予約乗合。第2、第4水曜日定休。
● 釣り座は予約順
船宿アクセス
●車/館山自動車道の終点「富浦インター」を出て、国道407号を館山市街方面へ。
「鶴谷八幡宮入口」交差点を右折して、突き当りを左折。
海岸沿いの「内房なぎさライン」を南下し、標識に従って洲ノ崎方面へと道なりに進む。
いつのまにか「房総フラワーライン」となった県道をひた走り、洲ノ崎灯台を右に見てから、左に大きくカーブした少し先右側に船宿。受付が終わったら来た道を700mくらい戻り、「早川丸乗船港」の立て看板がある路地を左折。
坂を下りた先の港内に駐車スペースがある。
受付から下船までの流れ
①県道沿いの船宿で乗船名簿に記入してから会計する②港へ移動して港内の駐車場に車を停める③荷物を持って船着き場へ移動する
出典:
④名前を呼ばれたら釣り座を選び、乗船して支度する⑤帰港したら荷物を持ってゆっくりと下船。重いものは駐車場まで運んでくれる⑥荷物を船宿の軽トラに積み込み、竿だけ持って駐車スペースへ
出典:
早川丸の設備とサービス
(左)全長19.8m、全幅4.3m、13t。エンジンはコマツ860馬力(右)全長21.8m、全幅4.9m、18t。エンジンはコマツ860馬力
出典:
(左)操舵室の後ろに広びろとしたデッキがある(中)各釣り座にはマグネットシート。イサキ釣りで重宝する(右)釣り物ごとにレンタルタックルも完備
出典:
(左)後部キャビンも広びろ(中)男性用トイレは船の前後にある(右)清掃が行き届いたトイレで女性も安心
出典:
(左)船の乗降にはステップがあるから安心(中)受付で仕掛けの販売あり(右)知る人ぞ知る早川丸ステッカー
出典:
早川丸の釣り物とシーズン
早川丸のカワハギ仕掛け例
人気商品はこちら!
釣り船予約サイト「釣割」のスタッフがオススメする釣り船はこちら!
【栄ノ浦港(千葉県)カワハギ船】人気ランキング
【栄ノ浦港(千葉県)カワハギ船】価格ランキング
隔週刊つり情報(2021年10月15日号)※無断複製・転載禁止