現在の店主、岩瀬正紀船長は三浦半島新安浦港、長谷川丸の三代目。
その姓が岩瀬なのは、先代の娘さん(旧姓、長谷川)のご主人だから。
カマちゃんプロフィール
釜井 昌二(かまい しょうじ)
芋焼酎はソーダ割が好きなフィッシングライター。アトリエぷらりおさかなイラストレーター。A.T.LAB フィールドアドバイザー。
親しみやすい船宿づくりに努める船長たち
遡ること昭和初期。
初代となる先々代は、横須賀市小川町で建具店を営んでいた。
戦後、趣味で船を所有し、釣り人に乗せてくれと頼まれて沖へ案内したのが船宿の始まり。
「釣具屋を開店して遊漁船を生業とした当初は、戦艦三笠が置いてある三笠公園の辺りから船を出していたそうです。その後は、昭和末期に埋め立てられてしまった安浦漁港から長らく出船していたのですが、平成町の埋立事業が完了した後、現在の新安浦漁港に係留場所を移しました」と所在地の変遷をたどってくれた。
新安浦漁港は、昭和59年に始まった横須賀市新港町から三春町にかけての海面58万平方mの埋め立てにより誕生した。
平成4年11月に竣工し、その周囲には商業施設、公園などが建設、整備された。
平成26年に二代目となる先代が亡くなって以降は、正紀船長が船宿の舵取り役を担ってきた。
5年前には、釣り人として当宿に通っていた渡辺祥之船長(38歳)をスカウトして船長に育て上げ、昨年の夏には正紀船長の息子、岩瀬昂大船長(22歳)が船長デビューを果たした。
現在は船長3人、船3隻態勢で釣り人を迎え入れている。
渡辺船長は釣り好きが高じて船長になったわけだが、「とにかく釣りがうまくてね。アジを釣らせたら、いい日には半日で束釣りしちゃうんだよ」と常連さんがその釣りの腕前に太鼓判を押す。
船長になった今でも店休日に釣りに出かけることがあるそうだから、正真正銘の釣りキチなのだろう。
一方、岩瀬昂大船長は、「子供のころ、海が悪くて船が大きく揺れるような日和に釣りへ連れて行かれたせいか、沖釣りにはあまり興味が沸かなかった」と振り返る。
ところが、「いざ船長になって、私が操船しているタイラバ船で大きなマダイが釣れて喜んでいるお客様の姿を見ていたら、この仕事へのやりがいが膨らみました。親切、ていねいに接客することを心がけるとともに、皆様に楽しんでいただけるように努めています」とはにかみながらしっかりと語る。
言葉どおり、そのていねいな操船と接客姿勢は好感が抱けるから、日に日にファンを増やしていくに違いない。
3人の船長は、それぞれタイプが違うものの、長谷川丸の営業理念は共有できている。
年配や不慣れな釣り人の体調やコンディションに配慮することや、のんびりと釣りを楽しんでもらうこと、初心者にも気兼ねなく遊んでもらうことなど、安全第一はもちろんのこと、親しみやすくて居心地のいい船宿作りに努めている。
右から店主でイシモチ船担当の岩瀬正紀船長、アジ船担当の渡辺祥之船長、タチウオとタイラバ船担当の岩瀬昂大船長。
出典:
指幅3.5~4本級の良型主体
私が出かけた日は、午前タチビン仕掛けが6人。
「大潮回りなど潮が速いときはジギングの方は前、テンヤの方は後ろと、釣り座を指定させていただくことがあります」とのことだから、予約時に仕掛けを伝えておくようにしたい。
また、テンヤで使うイワシエサは、出船前に伝えておけば予備を希望分だけ船に積んでいってくれるとのこと。
一袋5匹単位で船上販売してくれる。
さて、潮止まりからのスタートとなったせいか、開始からしばらくはアタリが散発だったものの、お日様が高く昇るにつれ、ポツポツと型が出始めた。
ただ、反応はバッチリ出ているのに終始タチウオのやる気は今一つで、掛け損じに悶絶することもしばしば。
それでもどの釣り方もアタリはあって全員が顔を見られたが、この日はどちらかというとテンヤが優勢。
メーターオーバーも何本か交じって、指幅3.5~4本級の良型中心という走水沖らしい釣果に恵まれた。
長谷川丸を創業した亡き初代は、まさかこんな顔ぶれで船を出し、タチウオやタイラバが釣り物に加わるなどとは夢にも思わなかったはず。
あの世で、きっと驚いているに違いない。
当日は走水沖の水深60~70mを狙った。
出典:
(左上)付けエサはコノシロまたはサバの切り身が用意される。(左下)船宿仕掛けと無料貸し出しのテンビンとオモリ(紛失時有償)。(右上)テンヤ用の冷凍イワシの販売もあり。(右下)メタルジグは80~120g前後を用意しておこう。
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サイズがいいから引きも強烈。
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(左)足繁く通う常連さんも多い。(右)誘いがマッチしてヒットしたときはうれしい。
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(左)東京湾のタチウオは冬の好期を迎えている。(右)脂が乗った冬タチは食も楽しみ。
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(左)指幅4本クラスが当日のアベレージ。(真ん中)テンビン仕掛けで楽しむ人もまだまだ多い。(右)ジギングもOK。
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ジギングはフォールのアタリに注意しながら釣っていこう。
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船宿information
三浦半島新安浦港 長谷川丸
TEL:090・6021・5919
URL: hasegawamaru.blue.coocan.jp/
●乗合(空席あれば予約なしでも乗船可。タイラバは1週間前から受付の予約制)。金曜日定休。
●釣り座は先着順。
●タチウオはテンビン仕掛けのほかテンヤ、ジギングも可。予約時に釣法を伝えること。
船宿アクセス
●車/横浜横須賀道路の馬堀海岸ICで高速道路を降り、出口突き当たりを左折。国道16号を直進。三春町三丁目Y字路を右折してよこすか海岸通りへ。横須賀魚市場前交差点を右折して、突き当たりを左折。すぐ先が港内駐車場。
●電車/京浜急行電鉄「堀ノ内駅」下車。改札口を出て正面にあるファミリーマート手前から送迎してくれる。送迎は事前に要連絡のこと。
受付から下船までの流れ
(左上)釣り船駐車スペースに車を停める(駐車禁止場所に停めないこと)。(中央上)荷物を船に移動し、釣り座を確保する。(右上)船宿で乗船名簿に記入する。(左下)受付で会計。仕掛けの購入やレンタルの受け取りもこのときに。(中央下)船宿入口横の冷凍庫から氷を1個もらう。(右下)下船後は船宿前で手や道具が洗える。
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長谷川丸の船上設備とサービス
(左上)第三長谷川丸は海水循環パイプあり。(右上)各船横になれるキャビン完備。第三長谷川丸のみ電子レンジあり。(左下)カッパと長靴のレンタルもあり。(右下)釣り物ごとにレンタルタックルを完備。
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(上)送迎は京浜急行の堀ノ内駅ロータリー、ファミリーマート前から。(真ん中)クーラーは台車で船宿まで運んでくれる。(下)乗下船は広いステップがあるから安心。
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(上)アジ船で出船する第三長谷川丸。(真ん中)タチウオおよびタイラバ船で出船する第一長谷川丸。(下)イシモチ船で出船する第二長谷川丸。
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長谷川丸の釣り物とシーズン
長谷川丸のタチウオ仕掛け例
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【隔週刊つり情報(2021年2月15日号)※無断複製・転載禁止】