「いらっしゃい。今日は何釣り?」と、いつも番台から声をかけてきた吉久の先代、吉野仁助船長が亡くなってちょうど4年がたつ。
享年82歳だった。
20代のころ吉久へちょくちょく通っていた釣り客の私が、後にフィッシングライターとなって取材に出かけたとき、高度成長期に東京湾や船着き場のある旧江戸川放水路が被った公害について多くを語ってくれたことがあった。
普段、布袋様のような顔で私たち釣り人をもてなしてくれた仁助船長が、そのときばかりは険しい表情を崩さなかったことを思い出す。
プロフィール
カマちゃん◆釜井 昌二(かまいしょうじ)
山里で両生類の観察に夢中。
アトリエぷらりおさかなイラストレーター。
A.T.LAB フィールドアドバイザー。
東京湾のタチウオはもは や周年狙えるターゲット
出典:
4人の船長と個性的な仲乗りが2人
恰幅のよかった先代とは裏腹に、二代目となる現店主、吉野昭久船長はスリムな体つきで、朝の受付のみならず、27号船の船長も担う。
矢沢永吉の大ファンで、永ちゃんの話になると笑顔が弾ける56歳。
昨年8月に国立競技場で開催された永ちゃんの50周年メモリアルツアーへは、もちろん足を運んだ。
現在の吉久は、そんな昭久船長を含めて4名の船長が、得意な釣り物で釣り人をガイドしている。
私にとって唯一旧知のベテラン田村誠志船長が12号船担当。
イラストレーターでもある私にフグのイラストを依頼してくれている大澤正幸船長が23号船担当。
そして今回が初対面で、船長のみならずアングラーとしても活躍する小峯青船長が20号船担当。
さらに4人の船長のほかに仲乗り兼船長見習いのスタッフが二人。
その先輩格が安田大サーカス(芸人)のクロちゃんを完全にリスペクトした声と体格と表情を武器に釣り人の笑顔を引き出す、その名もズバリ、クロちゃんこと黒田浩司郎さん。
もう一人の後輩格が、弱冠22歳ながら板前経験があってイケメンの杉本光さん。
なんとも好対照の二人だが、二人ともテキパキと動き、よく働く。
船長にしろ、船長見習いにしろ、タイプは違えども好感を抱けるスタッフがそろっているのが昨今の吉久。
クロちゃんに限っては、抜きん出て個性的だ。
この日は走水沖の水深70m前後を中心に狙った
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クロちゃんこと仲乗りの黒田浩司郎さんは真冬にギョサン!
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ドラゴン級も釣れた好日に
そんなクロちゃんを従えて出船した昭久船長のタチウオ船に乗せていただいたのは1月初めのこと。
真冬にもかかわらず、素足にギョサンという出で立ちで船上を軽快に動き回るクロちゃんを眺めているだけでも十分に楽しい取材だったが、テンヤの方が123cm、ジギングの方が120cmといったドラゴンサイズをも釣り上げる好日に当たった。
ほとんどの方が楽しんだテンビン釣りは、パターンさえつかめればアタリが出せる状況で、掛けられるか掛けられぬかは腕次第。
上手な方で20本前後のタチウオを手中にした。
中でも小学校5年生の衣川志道君が手巻きリールのレンタルタックルで飽きることなく釣り続ける姿は印象的で、神様は楽しそうに釣り続ける彼に値千金のトラフグまでプレゼントした。
吉久がある浦安は、湾奥でなおかつ川の中から出船するからポイントまで少し時間がかかるのだけれど、航行中の変化に富んだ景色を楽しんだり、昼寝しながら帰港できたりすることはうれしい限り。
次に訪れたとき、杉本光君が舵を握っていたらいいな。
クロちゃんが、そのままのキャラで仲乗りしてくれていたらいいな。
そんなことを思いながら、思い出多き吉久を後にした。
ジギングでジャスト120cmのドラゴン級
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テンヤで123cmのドラゴン級
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指幅4本クラスがこの日のアベレージ
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トラフグは時折交じる外道
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船宿information
東京湾奥浦安 吉久
047・351・2983
URL:http://www.yoshikyu.com
● 予約乗合。火曜定休(祝日は出船)。
● 釣り座は先着順で船宿前の席札を取る(当日0時以降)。
2月の狙い目
タチウオ、フグ、ライトアジ、カワハギ、オカサゴ、アマダイ、メバル・カサゴ。
船宿アクセス
●車/首都高速湾岸線浦安インターを出て国道357号から県道242号へ進み、浦安駅方面へ。
「浦安橋東詰」交差点を斜め左方向の側道に入り、突き当りを左折してすぐ。
なお、首都高速小松川線一之江インターも最寄りインター。
どちらからも10分ほど。
●電車とバス/東京メトロ東西線「浦安駅」から東西線高架下を葛西方面へ歩く。
途中「吉久」と書かれた黄色い大きな看板があるので、その看板に従って斜め右方向へ。
そのまま直進して、突き当りを左折してすぐ。
徒歩5分ほど。
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隔週刊つり情報(2023年2月15号)※無断複製・転載禁止